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第三十九話 限界集落(2)
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「先日、この村の中に魔素溜まりが発生し、そこから一匹のセイブウルフが生まれたのです」
「な!?」
生まれた??
もしかして、村の中で魔物がポップしたってこと??
だとしたらその魔素溜まりって場所はリスポーンポイントって事?
え、それってまずくない??
「おいおい、まじかよ・・・」
「一応、なんとか村の外に追い払う事は出来ましたが、その際に多くの怪我人を出してしまいまして・・・」
チラリと私を見るヘレンさん。
あー。それでギルド受付嬢が聖女が来たって騒いでたわけね。でも聖女って・・・。
でもまあ、この話の流れじゃ、お医者さんの数も薬の数も少なそうだし、私が出向く事になるのかな?
あとでクロイスにどのくらいまでなら治していいか確認しておかなきゃ。
怪我人の数も多いみたいだし、エリアヒールで範囲内を一気に治癒ってのが一番手っ取り早いんだけど、流石にダメだろうしなぁ。
「それで、ナナに回復魔法で治癒して欲しいってことか」
「はい。そしてその流れで、ベイク村への移住の説得をお願いできればと」
「なるほど。聖女のご威光ってそういう事か」
「はい。丸投げのようで、とても図々しいお願いだとは理解しているのですが」
「まあ、気持ちは分からんでもないが・・・」
そう言葉を返しながら、クロイスは私の方に視線を向ける。
何かな?私はノーコメントだよ。
何も喋るなって言ったのはそっちだからね。
困ったらコメントを求めるのは、ちょっと都合が良すぎないかな?
それに、どうせ今ここで私が口を開いたら、また面倒なことになると思うよ。
「悪いが、流石に軽々しく受けられる内容ではないな。どう繕ったところで、俺達は関係のない部外者だ。軽い気持ちで首を突っ込む訳にはいかない」
「そう、ですよね。申し訳ありません」
確かにそうだ。
些細な事ならばともかく、村を捨てるかどうかみたいな、そんな大事な事は、この村の人達で解決しないといけない。
「いや、こちらこそ力になれなくてすまない。だが、村人達の説得はともかく、怪我人の治療に関しては助力させて貰いたい」
「おお、それはありがとうございます。とても助かります」
まあ、その辺りがこの話の落とし所だね。
私も回復するのは別に構わないし。
ただ、どのくらいやって良いものか、ちゃんと確認しておかないとね。
「とは言え、そこまで期待はしないで貰えると助かる。コイツは多少の回復魔術が使えるだけの、ただの冒険者だ」
「はい、もちろんわかっています。流石に怪我人の数が多すぎます。いくら聖女・・・高位の回復術士とは言え、怪我人全員にヒールなどをかけていては、魔力があっという間に底をつき、本来の任務に支障が出てしまいますので」
「ま、まあ、そうだな」
クロイスが微妙な顔をしている。
私なら100人どころかそれ以上の数の怪我人でも簡単に癒してしまえると理解しているようだ。
けど、そんな事言えるわけないよね。
「ですので、聖女様・・・いえ、ナナ様には聖域の魔法陣を組んでいただきたいのです。そこに、村の人たちを集めます」
「聖域の魔方陣?」
私の知らないワードが出てきた。
クロイスも初耳のようで、ヘレンさんに聞き返している。
ゲーム時代でもなかったはずだ。少なくとも私は知らない。
それよりも、私が様付けで呼ばれていたり、聖女と呼ばれている事に関しては何も思わないのかな?クロイスくん。
ヘレンさんの聖女様発言に対して頑なにスルーをしているけど、そろそろ限界じゃないかのな?
その証拠に、さっきからヘレンさんは私の方をチラチラと見ながら、私と話をしたそうにしてるし。
「聖域の魔方陣とは、別名、魔法の教会とも呼ばれ、特殊なスクロールを使った秘術です。高位の回復術士が高純度かつ、膨大な魔力を呼び水にして、スクロールを使って魔法陣を組み上げ、自身を触媒とする事で一定の範囲を不可侵領域にする事が出来ます。その領域の中ではあらゆる攻撃が無効化され、生物は持続的に活性化されます」
「えーっと、つまり?」
「・・・簡単に言えば、安全地帯です」
「ほお」
なるほど。
絶対防御の結界内にリジェネ効果のエリアを展開か。
ちょっと面白いかも。
結界魔法と回復魔法の合わせ技っぽいから、ミランダちゃんが回復術士として育てば、私が結界魔法を担当して自前パーティーで使えそうかな?
いや、やりようによっては簡易的なものなら単独でも出来そうな・・・。
「発動さえして頂ければ、その後の結界の維持はそれほど魔力を必要としませんので、ギルド職員が引き継ぎ維持いたします」
「でも、それじゃぁ、余計にこの村から出ていってもらえなくなるんじゃないか?」
「大丈夫です!聖域の魔法陣は、ベイクの町への転移魔法陣の上に展開してもらいますので。最悪、魔法の教会ごと無理やりベイク村へと移住させちゃいます」
「ええ・・・」
ヘレンさん、わりとヤケクソ気味だね。
「な!?」
生まれた??
もしかして、村の中で魔物がポップしたってこと??
だとしたらその魔素溜まりって場所はリスポーンポイントって事?
え、それってまずくない??
「おいおい、まじかよ・・・」
「一応、なんとか村の外に追い払う事は出来ましたが、その際に多くの怪我人を出してしまいまして・・・」
チラリと私を見るヘレンさん。
あー。それでギルド受付嬢が聖女が来たって騒いでたわけね。でも聖女って・・・。
でもまあ、この話の流れじゃ、お医者さんの数も薬の数も少なそうだし、私が出向く事になるのかな?
あとでクロイスにどのくらいまでなら治していいか確認しておかなきゃ。
怪我人の数も多いみたいだし、エリアヒールで範囲内を一気に治癒ってのが一番手っ取り早いんだけど、流石にダメだろうしなぁ。
「それで、ナナに回復魔法で治癒して欲しいってことか」
「はい。そしてその流れで、ベイク村への移住の説得をお願いできればと」
「なるほど。聖女のご威光ってそういう事か」
「はい。丸投げのようで、とても図々しいお願いだとは理解しているのですが」
「まあ、気持ちは分からんでもないが・・・」
そう言葉を返しながら、クロイスは私の方に視線を向ける。
何かな?私はノーコメントだよ。
何も喋るなって言ったのはそっちだからね。
困ったらコメントを求めるのは、ちょっと都合が良すぎないかな?
それに、どうせ今ここで私が口を開いたら、また面倒なことになると思うよ。
「悪いが、流石に軽々しく受けられる内容ではないな。どう繕ったところで、俺達は関係のない部外者だ。軽い気持ちで首を突っ込む訳にはいかない」
「そう、ですよね。申し訳ありません」
確かにそうだ。
些細な事ならばともかく、村を捨てるかどうかみたいな、そんな大事な事は、この村の人達で解決しないといけない。
「いや、こちらこそ力になれなくてすまない。だが、村人達の説得はともかく、怪我人の治療に関しては助力させて貰いたい」
「おお、それはありがとうございます。とても助かります」
まあ、その辺りがこの話の落とし所だね。
私も回復するのは別に構わないし。
ただ、どのくらいやって良いものか、ちゃんと確認しておかないとね。
「とは言え、そこまで期待はしないで貰えると助かる。コイツは多少の回復魔術が使えるだけの、ただの冒険者だ」
「はい、もちろんわかっています。流石に怪我人の数が多すぎます。いくら聖女・・・高位の回復術士とは言え、怪我人全員にヒールなどをかけていては、魔力があっという間に底をつき、本来の任務に支障が出てしまいますので」
「ま、まあ、そうだな」
クロイスが微妙な顔をしている。
私なら100人どころかそれ以上の数の怪我人でも簡単に癒してしまえると理解しているようだ。
けど、そんな事言えるわけないよね。
「ですので、聖女様・・・いえ、ナナ様には聖域の魔法陣を組んでいただきたいのです。そこに、村の人たちを集めます」
「聖域の魔方陣?」
私の知らないワードが出てきた。
クロイスも初耳のようで、ヘレンさんに聞き返している。
ゲーム時代でもなかったはずだ。少なくとも私は知らない。
それよりも、私が様付けで呼ばれていたり、聖女と呼ばれている事に関しては何も思わないのかな?クロイスくん。
ヘレンさんの聖女様発言に対して頑なにスルーをしているけど、そろそろ限界じゃないかのな?
その証拠に、さっきからヘレンさんは私の方をチラチラと見ながら、私と話をしたそうにしてるし。
「聖域の魔方陣とは、別名、魔法の教会とも呼ばれ、特殊なスクロールを使った秘術です。高位の回復術士が高純度かつ、膨大な魔力を呼び水にして、スクロールを使って魔法陣を組み上げ、自身を触媒とする事で一定の範囲を不可侵領域にする事が出来ます。その領域の中ではあらゆる攻撃が無効化され、生物は持続的に活性化されます」
「えーっと、つまり?」
「・・・簡単に言えば、安全地帯です」
「ほお」
なるほど。
絶対防御の結界内にリジェネ効果のエリアを展開か。
ちょっと面白いかも。
結界魔法と回復魔法の合わせ技っぽいから、ミランダちゃんが回復術士として育てば、私が結界魔法を担当して自前パーティーで使えそうかな?
いや、やりようによっては簡易的なものなら単独でも出来そうな・・・。
「発動さえして頂ければ、その後の結界の維持はそれほど魔力を必要としませんので、ギルド職員が引き継ぎ維持いたします」
「でも、それじゃぁ、余計にこの村から出ていってもらえなくなるんじゃないか?」
「大丈夫です!聖域の魔法陣は、ベイクの町への転移魔法陣の上に展開してもらいますので。最悪、魔法の教会ごと無理やりベイク村へと移住させちゃいます」
「ええ・・・」
ヘレンさん、わりとヤケクソ気味だね。
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