77 / 90
第75話 初クエスト
しおりを挟む
マリンの受けたランクC常駐クエスト。
『サファギン討伐クエスト』
それは、ソレントと王都とを繋ぐ関所付近でその数を増やし始めた、ランクD相当の水陸両性魔物、サファギンを間引きすると言う目的の、いわゆる害獣駆除と言われるタイプの常駐クエストである。
ランクD相当の魔物とは言え、その生息地は足場も悪く、同時に複数体のサファギンとの戦闘も考えられる為、依頼としてはランクC以上の冒険者向けとのクエストとなっていた。
そのクエストの達成条件はシンプルで、一体以上のサファギンを討伐すると言うもの。
ちなみに、その討伐の証明として魔物の心臓である魔石を持ち帰る必要があり、その数によって報酬額が変動する。
また、サファギンの鱗にもそれなりに需要がある為、マジックバックを所有していてそこに空きがある場合は、そのままそのサファギンを持ち帰るか、サファギンの鱗の皮を剥いで魔石と一緒にギルドへと持ち帰るのが冒険者の間では一般的である。
エトは少なくともランクAの前衛冒険者程度の戦闘力は普通に持っており、『無尽蔵のポーチ改++』と言う、収納量無制限のチートなポーチも持っている為、このクエストをこなすのに当たっては何ら問題はない。
ただし、そこにマリンの護衛(+トコの面倒)とマリンのレベリングという裏ミッションが発生している為、エトにとってはそれなりに骨の折れるクエストとなっていた。
◆
「さて、日が暮れるまでにとっとと終わらせちゃおうかね」
「はい!よろしくお願いします!」
「ん。エト頑張れ」
私とマリン、そしてトコの三人は今、ソレントから少し離れた、王都へと繋がる関所『第二レーベン大橋』付近の湿地帯へとやって来ていた。
ちなみに、どうせ暇だからと言って一緒について来たトコは明らかにオムライス目当てであり、完全にただのオマケである。
言ってみれば護衛対象が無駄に一人増えただけであり、私の仕事が増えただけと言う事になるのだが、とは言え、まだ何もないあの地下工房に一人置いていくのも可哀想だし、どうせせっかく一緒に来ているのだから、マリンと一緒にレベリングでもしてやろうと言う腹積もりだ。
まあ、魔道具であるトコがレベリングをして強くなるのかは不明だが、危なくなれば鉄塊に変形もできるし、最悪ポーチの中にも逃げ込めるので、そこまで不安視はしていない。
カラミティに真っ二つに斬られても死ななかったくらいだしね。
「……とは言え、これはどうしたもんかね」
「はい。全然いませんね、サファギン」
「むう……」
そう。
ここに到着してからしばらく経つが、一向にお目当てのサファギンの姿が見つからない。
辺りの気配を探って見るも、サファギンはおろか、他の魔物の気配すら感じられない。
「お出かけ中でしょうか?」
「いやいや、魔物がどこにお出かけするのよ」
「ですよね。すみません、冗談です」
「……」
そんな冗談を言うマリンの表情はとても硬く、何気に緊張しているのが目に見える。
緊張を誤魔化すための冗談だったのだろうが、そこで冗談を言えてしまうメンタルはなかなかのものだ。
さて、本当にどう言うことだろう。
どうもこの一帯のだけではなく、割と広範囲で魔物達の姿が消えてしまっている感じだ。
これなら、安全の為に街道を使ってわざわざ大回りして来なくても、直接雑木林を突っ切って来ても問題なかった気がする。
いや、案外、もしそうしていたらこの状況の原因となった何かしらに、突然出くわすとかいう面倒な展開に遭遇していたかもしれない。
どうも私はそう言う事に巻き込まれる節があるからね。
しかし、困った。
対象の魔物がいなくてクエスト失敗とか、流石に笑えない。
私達の無茶をギルドなゴリ押してくれたナーシャさんにも、その無理を受けてクビになりかけている受付嬢さんにも、とてもじゃないが申し訳ない。
それに、敵がいなくて肝心のマリンのレベリングも出来ないんじゃ、何のために無理を通してクエストを受けたのかわからなくなってしまう。
結果として、一番どうでも良い、私の女子力が少し上がっただけとか本気で笑えない。
「うーん、これは想定外だね。困った……ん!?」
「??」
その時、ここから少し離れた場所から、今まで無かったはずの、とても大きな気配が感じられた。
「うそ!?」
「エトさん???」
何これ!?!!
相当強力な気配なんだけど!?
なんで今まで気付かなかったの!?
「あの……」
「静かに。なんか出た」
「ぇ……」
私は改めて周りの気配を探る。
その大きな気配の付近では、これまた先程までは無かったはずのいくつか他の魔物の気配も察知する。
しかし、その場所以外からは全くと言って良いほど他の気配は感じられない。
「なるほど。原因はこの気配のせいって事ね」
その気配を感じ取り、ようやく私は理解した。
恐らく、あの気配の存在に気付いた他の魔物達が、危険を感じて一斉にこの一帯から逃げ去った後という事だろう。
いるはずのサファギン達が綺麗にいなくなったのも、あれに根こそぎ食べられたか、一目散に逃げ出したかのどちらかと言う事だ。
まあ、争った形跡も見当たらないので、間違いなく前者だろうが、どちらにしても、あの気配の主はこの一帯の魔物達にとってはイレギュラーな存在ということになる。
ただ、例外として、その存在の近くには逃げずに側で留まっている魔物達もいくらかいる。
どう言うこと?
――――いや、待って!これってまるで……!
「いやいや……そんなの聞いてないんだけど……」
「え?」
思わず溢れた私の言葉に、マリンは不安そうな表情でこちらを見つめる。
この状況、凄く身に覚えがある。
とても強力な魔物と、そのそばに複数の魔物が侍るようにしている状況。
これは明らかに、古代種とそれに使役されてる魔物達の図だ。
まさか、こんな所にも古代種が現れてるって事?
いや、確かにギルドの依頼掲示板でも古代種調査の依頼書が多かったような気がする。
カラミティを倒したはずなのにそれ系の依頼がなくなっていなかった時点で気付くべきだった。
討伐に向かうべきか、でも、マリンとトコを連れていくわけにもいかないし、置いていくわけにもいかない。
だからって、流石にこのまま見逃すわけにも……。
「ううん……。って、え?」
その時、またしても状況が一変する。
私がどうしようかと困っていたら、突如、その巨大な気配が突然消えた。
しかもいつのまにか、近くにいた他の魔物の気配も消えている。
「は??どゆこと!?」
「エトさん、どうしたんですかさっきから。何かあったんですか!?」
「いや、えーっと」
どうしたと聞かれても、私にもサッパリだ。
しかし、さっきから困っては驚くと言う謎行動ばかりしている私に対し、マリンは不安と同時に困惑の表情も浮かべている。
ちなみにトコは、こんな状況にも関わらず、相変わらずの無表情で、安定の平常運転だ。
そんなトコを見ていると、私も少し、落ち着きを取り戻す。
「エト、挙動不審すぎ。-500点」
「いやいや、流石にそれは酷いでしょ。でもありがと。おかげでだいぶ落ち着いた」
「ん。ならいい」
取り敢えず、今はあたふたしてる場合じゃない。
すっかり置いてけぼりになっているマリンにもこの状況を説明する。
ほとんど私の憶測でしかないけど、たぶん大きく外れている事はないだろう。
「――――そんな!? 古代種って、あの鉱山の時にいた大きな蠍みたいな敵の事ですよね」
「そう。しかもさっきの気配は、そのキングスコーピオンなんかよりも全然強い感じだったよ」
「え……」
流石にカラミティ程ではないけれど、キングスコーピオンを三体同時に相手するくらいの脅威度はありそうだ。
「そんな気配が、今度は突然消えたんだよ。いくら何でも不気味すぎるでしょ」
「確かに……。でも、たまたま通りかかった冒険者に倒されたって事は?」
「うーん、どうだろう。マリンさんは実際にキングスコーピオンとの戦いを見てないからわからないかもだけど、あれってそんな簡単に倒せるようなものじゃないんだよね……」
「そ、そうなんですね……」
まあ、私やサフィアあたりなら、キングスコーピオンを単独でも普通に倒せるけども、さっきの気配のクラスともなれば、ソロではちょっとわからない。
「状況から見て、最初に突然気配が現れたのと同じように、単に気配を消しただけなのかもしれない」
「なるほど。魔物はそんな事が出来るんですね」
「いや、私はそんなの聞いた事無いけどね」
「え」
「まあ、カラミティもそれっぽい事を一度してたし、あのクラスなら出来ない事もないのかも?」
「結局、わからないって事ですね」
「そう言う事。だから困ってるんだよね。このまま放って帰るわけにも行かないし……。仕方ない。取り敢えず二人をどこか安全な所に送って、それから私が一人で……」
と、そんな話していたその時、
「?!!」
私は咄嗟に後ろに振り向き、素早く腰に掛けていた星砕の槌を右手に構え、そしてそのまま勢いよく左から右へと、その槌を横凪に振り抜いた。
するとそこには、その槌の軌道を避けるように体を捻らせ、そのままこちらに飛び掛かるように飛びあがる、鱗に覆われた緑色の魔物、サファギンの姿があった。
『ギギギギギ!!』
「……ちっ、今更サファギンとか、なんてタイミングよ。どうせならもうちょっとお出かけしてくれてても良かったのに!」
私はそんな言葉をぼやきつつも、振り抜いた槌の反動そのままに肩を後ろに引き、左足を斜め上へ撃ち放つ。
『――――ギッ!!』
突き放った左足の一撃はサファギンの腹部に命中し、そのまま大きく後方へと弾き飛ばした。
「悪いけど、私は格闘スキルもカンスト済みなんでね」
とは言え、鍛治師である私の格闘スキル上限値はそこまで高いものではなく、今の一撃でサファギンを倒し切るまでには至っていない。
それでもこの時代の格闘スキルを持つ冒険者よりはその数値は高く、それなりのダメージは入っているはずだ。
私の蹴りで飛ばされたサファギンは、ふらつきながらもすぐに立ち上がり、次の攻撃を仕掛け出そうとする素振りもなく、ただこちらを睨みつけていた。
「ん?もう終わり?……って、いやいや、まあ、そうなるよね」
その時、気付けば茂みの奥の方から複数のサファギン達が、こちらの様子を伺いながら現れ出した。
複数体との戦闘の可能性があるとは聞いていたが、やはりこの時代でも、サファギンは集団で徒党を組んでいるらしい。
にしても、ちょっと思っていたよりも数が多い。
そんな私の戸惑いもお構いなしに、サファギン達は目をギラつかせながら、ジリジリと少しずつこちらの方へと近づいてくる。
「数はともかく、なんで今までいなかったサファギン達がこんな突然……」
「エトさん……」
「大丈夫。取り敢えず今は私からは離れないで」
「は、はい」
不安そうにするマリンにそう声をかけ、私はこの状況の原因を冷静に考える。
原因があるとすれば、やはり先程の古代種と思われる気配関連だろう。
もしかすると、その強い気配が消えた事が何か関係あったりするのかもしれない。
もし、先程の強い気配が突然消えた原因が、誰か他の冒険者にに倒されたものであるとすれば、それで脅威の去ったサファギン達が元の場所に戻ってきたと考えれば辻褄は合う。
そして、戻った先には私たちがいて、縄張りを犯されて怒ったか、あるいはとってもおいしそうだとか思っているのだろう。
くそ、なんて最低なタイミングの巡り合わせだ。
「ど、どうしますか?」
「まあ、理由は分からないけど、この程度ならどうってことないよ。あと倍はいても問題ない。でも、誰かを守りながらっていうのはあんまりやったことがないから、ちょっと不安はあるけどね」
「そ、そうですか……」
いま私達の前に姿を現しているサファギン達の数は、ざっと15体~20体程度。
この時代の分類でもランクDの魔物らしいし、ゲーム時代でも普通の雑魚敵だった。
なので、多分、この程度なら私一人で問題ないし、神刀を出すまでもない。
ただ、マリンとトコを守りながらとなると、動き回れる範囲が限定されてしまうので、さすがに楽とは言いづらい。
「仕方ないね。トコ、もしもの時はマリンさんを守ってあげて」
「……ん」
「え?どうしてトコちゃんが私を?むしろ私がトコちゃんを守ります!!」
「うん、ありがとう。でも、大丈夫」
「いや、でも……」
流石に自分よりも幼い子供に守られると言うことに、納得がいかない様子のマリン。
恐らく、自分がこんな幼い子供よりも頼りなく思われていると言う思いと、自分よりも幼いトコを自分が守らなければという思いが、マリンの中にあるのだろう。
「本当に大丈夫だから。これは秘密だけど、トコも私と同じで、ちょっとみんなと違うんだ。だからマリンさんがどうこうって言うわけじゃないから。だから大丈夫、安心して」
「……はい」
今度は、私の言葉に素直に引き下がるマリン。
やはりマリンも、トコがただの幼い少女だとは思っていなかったのだろう。
そりゃ、鉱山でも退避せずに最前線の私のそばについていたし、このクエストにも当たり前のようについてきた。
何かあると思わない方が難しい。
「だったらエトさん」
「ん?なに?」
「せめて、今の私に出来ることを」
「ん?」
そういって、マリンは呪文を詠唱し始め、私に付与魔法をかけてきた。
「これで素早さと腕力が少し上がったはずです。まだ効果は低いので気休めかもしれませんが」
「いやいや、鉱山の時にも見てたから、かなりの効果があるのは知ってるし。ありがと、助かるよ。それじゃ、サクッと倒してきちゃうよ。なるべくそっちに危険が行かないようにはするつもりだけど、一応気を付けてね」
「はい!」
「ん」
そう言って私は星砕の槌を力強く握りしめ、サファギンの群れの方へと向かって勢いよく走り出す。
「せっかくの付与の効果が効いてるうちに、全員残らず倒しちゃうよ!!」
『ギギギ!!』
私はそう叫びながら、まずは先程蹴りの一撃を入れたサファギンに槌で一撃を叩きつけ、そこに飛び込んで来た別のサファギンをエルボーからの裏拳で弾き飛ばすと、そのすぐそばのサファギンに脳天からの槌の一撃を撃ち落とす。
そしてすぐさま背後から迫る攻撃を、真上に高くジャンプしてスレスレ掠めるように回避すると、そのままクルリと一回転し、サファギンの後頭部に蹴りを放つ。
着地と同時に体を屈め、強く地面を蹴って別のサファギンの懐に潜ると、腕を取って振り回すようにして投げ飛ばした。
「す、凄い……」
「ん。敵が弱すぎ」
私は矢継ぎ早に攻撃を繰り出し、みるみるうちに、サファギン達を倒して行く。
特に、槌で殴りつけられたサファギン達は、どれもその一撃だけで戦闘不能になっていたので、サファギン達の殲滅速度は予想以上に早かった。
「うん、力の乗り方がいつもより良い感じだ。それに体も少し軽い感じがするし、これなら早く終わりそうかな!」
マリンの付与術のおかげもあって、とても効率よくサファギン達を倒していく。
これなら思いの外早く片付くかと思いながら、手当たり次第にサファギンを倒していくが、しかし、その予想に反して、奥の方から次から次へとサファギン達が現れてくる。
「って、どんだけ湧いてくるのよ!ここってこんなにサファギンいたの!?」
クエストの依頼書にも最近増え始めたとは書いてたが、それにしたって多すぎる。
少なくとも、絶対にランクFの冒険者が受けちゃダメなやつだ。
あの受付嬢がクビになるのも納得できる。
こうなったらもう、マリンのレベリングとか言ってる場合じゃない。
根こそぎいなくなるまで倒すだけだ。
――――ギギギッ!
と、その時、私から少し離れた後の方、トコとマリンのいる方から、サファギンの声が聞こえてくる。
「な!?」
私は思わず後ろを振り返ると、トコとマリンの背後から一体のサファギンが二人に目掛けて飛び掛かっているのが目に入ってきた。
「!!二人とも!危な……え!?」
私が思わず叫びそうになったその瞬間、二人に飛び掛かって来ていたサファギンの側頭部に、一本の矢が突き刺さった。
「な、なに!?」
サファギンはその矢の勢いのまま横に飛ばされ、そしてそのまま、崩れ落ちるようにその場に倒れた。
私は咄嗟にその矢の放たれたであろう方向に顔を向け、射手の姿を確認する。
マリン達のいる場所から十数メートルほど右方向、そこにいたのは、とても意外な人物だった。
「おいおい、ギルマスが言ってた駆け出し冒険者ってエト達のことかよ」
こちらを見ながらそんな言葉を放つその人物。
それは、弓を構えた女冒険者と並んで立つ、ハーレム冒険者パーティーのリーダー、エルヴィンだった。
『サファギン討伐クエスト』
それは、ソレントと王都とを繋ぐ関所付近でその数を増やし始めた、ランクD相当の水陸両性魔物、サファギンを間引きすると言う目的の、いわゆる害獣駆除と言われるタイプの常駐クエストである。
ランクD相当の魔物とは言え、その生息地は足場も悪く、同時に複数体のサファギンとの戦闘も考えられる為、依頼としてはランクC以上の冒険者向けとのクエストとなっていた。
そのクエストの達成条件はシンプルで、一体以上のサファギンを討伐すると言うもの。
ちなみに、その討伐の証明として魔物の心臓である魔石を持ち帰る必要があり、その数によって報酬額が変動する。
また、サファギンの鱗にもそれなりに需要がある為、マジックバックを所有していてそこに空きがある場合は、そのままそのサファギンを持ち帰るか、サファギンの鱗の皮を剥いで魔石と一緒にギルドへと持ち帰るのが冒険者の間では一般的である。
エトは少なくともランクAの前衛冒険者程度の戦闘力は普通に持っており、『無尽蔵のポーチ改++』と言う、収納量無制限のチートなポーチも持っている為、このクエストをこなすのに当たっては何ら問題はない。
ただし、そこにマリンの護衛(+トコの面倒)とマリンのレベリングという裏ミッションが発生している為、エトにとってはそれなりに骨の折れるクエストとなっていた。
◆
「さて、日が暮れるまでにとっとと終わらせちゃおうかね」
「はい!よろしくお願いします!」
「ん。エト頑張れ」
私とマリン、そしてトコの三人は今、ソレントから少し離れた、王都へと繋がる関所『第二レーベン大橋』付近の湿地帯へとやって来ていた。
ちなみに、どうせ暇だからと言って一緒について来たトコは明らかにオムライス目当てであり、完全にただのオマケである。
言ってみれば護衛対象が無駄に一人増えただけであり、私の仕事が増えただけと言う事になるのだが、とは言え、まだ何もないあの地下工房に一人置いていくのも可哀想だし、どうせせっかく一緒に来ているのだから、マリンと一緒にレベリングでもしてやろうと言う腹積もりだ。
まあ、魔道具であるトコがレベリングをして強くなるのかは不明だが、危なくなれば鉄塊に変形もできるし、最悪ポーチの中にも逃げ込めるので、そこまで不安視はしていない。
カラミティに真っ二つに斬られても死ななかったくらいだしね。
「……とは言え、これはどうしたもんかね」
「はい。全然いませんね、サファギン」
「むう……」
そう。
ここに到着してからしばらく経つが、一向にお目当てのサファギンの姿が見つからない。
辺りの気配を探って見るも、サファギンはおろか、他の魔物の気配すら感じられない。
「お出かけ中でしょうか?」
「いやいや、魔物がどこにお出かけするのよ」
「ですよね。すみません、冗談です」
「……」
そんな冗談を言うマリンの表情はとても硬く、何気に緊張しているのが目に見える。
緊張を誤魔化すための冗談だったのだろうが、そこで冗談を言えてしまうメンタルはなかなかのものだ。
さて、本当にどう言うことだろう。
どうもこの一帯のだけではなく、割と広範囲で魔物達の姿が消えてしまっている感じだ。
これなら、安全の為に街道を使ってわざわざ大回りして来なくても、直接雑木林を突っ切って来ても問題なかった気がする。
いや、案外、もしそうしていたらこの状況の原因となった何かしらに、突然出くわすとかいう面倒な展開に遭遇していたかもしれない。
どうも私はそう言う事に巻き込まれる節があるからね。
しかし、困った。
対象の魔物がいなくてクエスト失敗とか、流石に笑えない。
私達の無茶をギルドなゴリ押してくれたナーシャさんにも、その無理を受けてクビになりかけている受付嬢さんにも、とてもじゃないが申し訳ない。
それに、敵がいなくて肝心のマリンのレベリングも出来ないんじゃ、何のために無理を通してクエストを受けたのかわからなくなってしまう。
結果として、一番どうでも良い、私の女子力が少し上がっただけとか本気で笑えない。
「うーん、これは想定外だね。困った……ん!?」
「??」
その時、ここから少し離れた場所から、今まで無かったはずの、とても大きな気配が感じられた。
「うそ!?」
「エトさん???」
何これ!?!!
相当強力な気配なんだけど!?
なんで今まで気付かなかったの!?
「あの……」
「静かに。なんか出た」
「ぇ……」
私は改めて周りの気配を探る。
その大きな気配の付近では、これまた先程までは無かったはずのいくつか他の魔物の気配も察知する。
しかし、その場所以外からは全くと言って良いほど他の気配は感じられない。
「なるほど。原因はこの気配のせいって事ね」
その気配を感じ取り、ようやく私は理解した。
恐らく、あの気配の存在に気付いた他の魔物達が、危険を感じて一斉にこの一帯から逃げ去った後という事だろう。
いるはずのサファギン達が綺麗にいなくなったのも、あれに根こそぎ食べられたか、一目散に逃げ出したかのどちらかと言う事だ。
まあ、争った形跡も見当たらないので、間違いなく前者だろうが、どちらにしても、あの気配の主はこの一帯の魔物達にとってはイレギュラーな存在ということになる。
ただ、例外として、その存在の近くには逃げずに側で留まっている魔物達もいくらかいる。
どう言うこと?
――――いや、待って!これってまるで……!
「いやいや……そんなの聞いてないんだけど……」
「え?」
思わず溢れた私の言葉に、マリンは不安そうな表情でこちらを見つめる。
この状況、凄く身に覚えがある。
とても強力な魔物と、そのそばに複数の魔物が侍るようにしている状況。
これは明らかに、古代種とそれに使役されてる魔物達の図だ。
まさか、こんな所にも古代種が現れてるって事?
いや、確かにギルドの依頼掲示板でも古代種調査の依頼書が多かったような気がする。
カラミティを倒したはずなのにそれ系の依頼がなくなっていなかった時点で気付くべきだった。
討伐に向かうべきか、でも、マリンとトコを連れていくわけにもいかないし、置いていくわけにもいかない。
だからって、流石にこのまま見逃すわけにも……。
「ううん……。って、え?」
その時、またしても状況が一変する。
私がどうしようかと困っていたら、突如、その巨大な気配が突然消えた。
しかもいつのまにか、近くにいた他の魔物の気配も消えている。
「は??どゆこと!?」
「エトさん、どうしたんですかさっきから。何かあったんですか!?」
「いや、えーっと」
どうしたと聞かれても、私にもサッパリだ。
しかし、さっきから困っては驚くと言う謎行動ばかりしている私に対し、マリンは不安と同時に困惑の表情も浮かべている。
ちなみにトコは、こんな状況にも関わらず、相変わらずの無表情で、安定の平常運転だ。
そんなトコを見ていると、私も少し、落ち着きを取り戻す。
「エト、挙動不審すぎ。-500点」
「いやいや、流石にそれは酷いでしょ。でもありがと。おかげでだいぶ落ち着いた」
「ん。ならいい」
取り敢えず、今はあたふたしてる場合じゃない。
すっかり置いてけぼりになっているマリンにもこの状況を説明する。
ほとんど私の憶測でしかないけど、たぶん大きく外れている事はないだろう。
「――――そんな!? 古代種って、あの鉱山の時にいた大きな蠍みたいな敵の事ですよね」
「そう。しかもさっきの気配は、そのキングスコーピオンなんかよりも全然強い感じだったよ」
「え……」
流石にカラミティ程ではないけれど、キングスコーピオンを三体同時に相手するくらいの脅威度はありそうだ。
「そんな気配が、今度は突然消えたんだよ。いくら何でも不気味すぎるでしょ」
「確かに……。でも、たまたま通りかかった冒険者に倒されたって事は?」
「うーん、どうだろう。マリンさんは実際にキングスコーピオンとの戦いを見てないからわからないかもだけど、あれってそんな簡単に倒せるようなものじゃないんだよね……」
「そ、そうなんですね……」
まあ、私やサフィアあたりなら、キングスコーピオンを単独でも普通に倒せるけども、さっきの気配のクラスともなれば、ソロではちょっとわからない。
「状況から見て、最初に突然気配が現れたのと同じように、単に気配を消しただけなのかもしれない」
「なるほど。魔物はそんな事が出来るんですね」
「いや、私はそんなの聞いた事無いけどね」
「え」
「まあ、カラミティもそれっぽい事を一度してたし、あのクラスなら出来ない事もないのかも?」
「結局、わからないって事ですね」
「そう言う事。だから困ってるんだよね。このまま放って帰るわけにも行かないし……。仕方ない。取り敢えず二人をどこか安全な所に送って、それから私が一人で……」
と、そんな話していたその時、
「?!!」
私は咄嗟に後ろに振り向き、素早く腰に掛けていた星砕の槌を右手に構え、そしてそのまま勢いよく左から右へと、その槌を横凪に振り抜いた。
するとそこには、その槌の軌道を避けるように体を捻らせ、そのままこちらに飛び掛かるように飛びあがる、鱗に覆われた緑色の魔物、サファギンの姿があった。
『ギギギギギ!!』
「……ちっ、今更サファギンとか、なんてタイミングよ。どうせならもうちょっとお出かけしてくれてても良かったのに!」
私はそんな言葉をぼやきつつも、振り抜いた槌の反動そのままに肩を後ろに引き、左足を斜め上へ撃ち放つ。
『――――ギッ!!』
突き放った左足の一撃はサファギンの腹部に命中し、そのまま大きく後方へと弾き飛ばした。
「悪いけど、私は格闘スキルもカンスト済みなんでね」
とは言え、鍛治師である私の格闘スキル上限値はそこまで高いものではなく、今の一撃でサファギンを倒し切るまでには至っていない。
それでもこの時代の格闘スキルを持つ冒険者よりはその数値は高く、それなりのダメージは入っているはずだ。
私の蹴りで飛ばされたサファギンは、ふらつきながらもすぐに立ち上がり、次の攻撃を仕掛け出そうとする素振りもなく、ただこちらを睨みつけていた。
「ん?もう終わり?……って、いやいや、まあ、そうなるよね」
その時、気付けば茂みの奥の方から複数のサファギン達が、こちらの様子を伺いながら現れ出した。
複数体との戦闘の可能性があるとは聞いていたが、やはりこの時代でも、サファギンは集団で徒党を組んでいるらしい。
にしても、ちょっと思っていたよりも数が多い。
そんな私の戸惑いもお構いなしに、サファギン達は目をギラつかせながら、ジリジリと少しずつこちらの方へと近づいてくる。
「数はともかく、なんで今までいなかったサファギン達がこんな突然……」
「エトさん……」
「大丈夫。取り敢えず今は私からは離れないで」
「は、はい」
不安そうにするマリンにそう声をかけ、私はこの状況の原因を冷静に考える。
原因があるとすれば、やはり先程の古代種と思われる気配関連だろう。
もしかすると、その強い気配が消えた事が何か関係あったりするのかもしれない。
もし、先程の強い気配が突然消えた原因が、誰か他の冒険者にに倒されたものであるとすれば、それで脅威の去ったサファギン達が元の場所に戻ってきたと考えれば辻褄は合う。
そして、戻った先には私たちがいて、縄張りを犯されて怒ったか、あるいはとってもおいしそうだとか思っているのだろう。
くそ、なんて最低なタイミングの巡り合わせだ。
「ど、どうしますか?」
「まあ、理由は分からないけど、この程度ならどうってことないよ。あと倍はいても問題ない。でも、誰かを守りながらっていうのはあんまりやったことがないから、ちょっと不安はあるけどね」
「そ、そうですか……」
いま私達の前に姿を現しているサファギン達の数は、ざっと15体~20体程度。
この時代の分類でもランクDの魔物らしいし、ゲーム時代でも普通の雑魚敵だった。
なので、多分、この程度なら私一人で問題ないし、神刀を出すまでもない。
ただ、マリンとトコを守りながらとなると、動き回れる範囲が限定されてしまうので、さすがに楽とは言いづらい。
「仕方ないね。トコ、もしもの時はマリンさんを守ってあげて」
「……ん」
「え?どうしてトコちゃんが私を?むしろ私がトコちゃんを守ります!!」
「うん、ありがとう。でも、大丈夫」
「いや、でも……」
流石に自分よりも幼い子供に守られると言うことに、納得がいかない様子のマリン。
恐らく、自分がこんな幼い子供よりも頼りなく思われていると言う思いと、自分よりも幼いトコを自分が守らなければという思いが、マリンの中にあるのだろう。
「本当に大丈夫だから。これは秘密だけど、トコも私と同じで、ちょっとみんなと違うんだ。だからマリンさんがどうこうって言うわけじゃないから。だから大丈夫、安心して」
「……はい」
今度は、私の言葉に素直に引き下がるマリン。
やはりマリンも、トコがただの幼い少女だとは思っていなかったのだろう。
そりゃ、鉱山でも退避せずに最前線の私のそばについていたし、このクエストにも当たり前のようについてきた。
何かあると思わない方が難しい。
「だったらエトさん」
「ん?なに?」
「せめて、今の私に出来ることを」
「ん?」
そういって、マリンは呪文を詠唱し始め、私に付与魔法をかけてきた。
「これで素早さと腕力が少し上がったはずです。まだ効果は低いので気休めかもしれませんが」
「いやいや、鉱山の時にも見てたから、かなりの効果があるのは知ってるし。ありがと、助かるよ。それじゃ、サクッと倒してきちゃうよ。なるべくそっちに危険が行かないようにはするつもりだけど、一応気を付けてね」
「はい!」
「ん」
そう言って私は星砕の槌を力強く握りしめ、サファギンの群れの方へと向かって勢いよく走り出す。
「せっかくの付与の効果が効いてるうちに、全員残らず倒しちゃうよ!!」
『ギギギ!!』
私はそう叫びながら、まずは先程蹴りの一撃を入れたサファギンに槌で一撃を叩きつけ、そこに飛び込んで来た別のサファギンをエルボーからの裏拳で弾き飛ばすと、そのすぐそばのサファギンに脳天からの槌の一撃を撃ち落とす。
そしてすぐさま背後から迫る攻撃を、真上に高くジャンプしてスレスレ掠めるように回避すると、そのままクルリと一回転し、サファギンの後頭部に蹴りを放つ。
着地と同時に体を屈め、強く地面を蹴って別のサファギンの懐に潜ると、腕を取って振り回すようにして投げ飛ばした。
「す、凄い……」
「ん。敵が弱すぎ」
私は矢継ぎ早に攻撃を繰り出し、みるみるうちに、サファギン達を倒して行く。
特に、槌で殴りつけられたサファギン達は、どれもその一撃だけで戦闘不能になっていたので、サファギン達の殲滅速度は予想以上に早かった。
「うん、力の乗り方がいつもより良い感じだ。それに体も少し軽い感じがするし、これなら早く終わりそうかな!」
マリンの付与術のおかげもあって、とても効率よくサファギン達を倒していく。
これなら思いの外早く片付くかと思いながら、手当たり次第にサファギンを倒していくが、しかし、その予想に反して、奥の方から次から次へとサファギン達が現れてくる。
「って、どんだけ湧いてくるのよ!ここってこんなにサファギンいたの!?」
クエストの依頼書にも最近増え始めたとは書いてたが、それにしたって多すぎる。
少なくとも、絶対にランクFの冒険者が受けちゃダメなやつだ。
あの受付嬢がクビになるのも納得できる。
こうなったらもう、マリンのレベリングとか言ってる場合じゃない。
根こそぎいなくなるまで倒すだけだ。
――――ギギギッ!
と、その時、私から少し離れた後の方、トコとマリンのいる方から、サファギンの声が聞こえてくる。
「な!?」
私は思わず後ろを振り返ると、トコとマリンの背後から一体のサファギンが二人に目掛けて飛び掛かっているのが目に入ってきた。
「!!二人とも!危な……え!?」
私が思わず叫びそうになったその瞬間、二人に飛び掛かって来ていたサファギンの側頭部に、一本の矢が突き刺さった。
「な、なに!?」
サファギンはその矢の勢いのまま横に飛ばされ、そしてそのまま、崩れ落ちるようにその場に倒れた。
私は咄嗟にその矢の放たれたであろう方向に顔を向け、射手の姿を確認する。
マリン達のいる場所から十数メートルほど右方向、そこにいたのは、とても意外な人物だった。
「おいおい、ギルマスが言ってた駆け出し冒険者ってエト達のことかよ」
こちらを見ながらそんな言葉を放つその人物。
それは、弓を構えた女冒険者と並んで立つ、ハーレム冒険者パーティーのリーダー、エルヴィンだった。
10
お気に入りに追加
1,167
あなたにおすすめの小説
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
ブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
異世界に召喚されたけど間違いだからって棄てられました
ピコっぴ
ファンタジー
【異世界に召喚されましたが、間違いだったようです】
ノベルアッププラス小説大賞一次選考通過作品です
※自筆挿絵要注意⭐
表紙はhake様に頂いたファンアートです
(Twitter)https://mobile.twitter.com/hake_choco
異世界召喚などというファンタジーな経験しました。
でも、間違いだったようです。
それならさっさと帰してくれればいいのに、聖女じゃないから神殿に置いておけないって放り出されました。
誘拐同然に呼びつけておいてなんて言いぐさなの!?
あまりのひどい仕打ち!
私はどうしたらいいの……!?
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。
武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。
人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】
前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。
そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。
そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。
様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。
村を出て冒険者となったその先は…。
※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。
よろしくお願いいたします。
自重知らずの転生貴族は、現在知識チートでどんどん商品を開発していきます!!
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
無限の時空間の中、いきなり意識が覚醒した。
女神の話によれば、異世界に転生できるという。
ディルメス侯爵家の次男、シオン・ディルメスに転生してから九年が経ったある日、邸の執務室へ行くと、対立国の情報が飛び込んできた。
父であるディルメス侯爵は敵軍を迎撃するため、国境にあるロンメル砦へと出発していく。
その間に執務長が領地の資金繰りに困っていたため、シオンは女神様から授かったスキル『創造魔法陣』を用いて、骨から作った『ボーン食器』を発明する。
食器は大ヒットとなり、侯爵領全域へと広がっていった。
そして噂は王国内の貴族達から王宮にまで届き、シオンは父と一緒に王城へ向かうことに……『ボーン食器』は、シオンの予想を遥かに超えて、大事へと発展していくのだった……
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる