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第74話 マリンの思惑
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再びギルド内に響き渡る、私の大きな叫び声。
そんな私の大声に、周りの冒険者達の視線がこちらに向く。
マリンは少し、申し訳なさそうな顔をしている。
「エトさん、ごめんなさい。でも、どうしても諦められなくて」
「いや、こっちこそごめん。まさか理詰めのマリンさんがそんな手で来るとは思わなかったから思わずちょっと取り乱しちゃったけど、むしろ冒険者をやるならそれくらいじゃないとダメなような気もするし。今回は油断してた私の負けだよ。気にしないで」
「なんか、すみません……」
まあ、仕方がない。
むしろ品行方正で極端に真面目すぎる方が、なんならこれからやりにくい様な気もするし。
さすがサフィアの妹だ。いざとなったら手段を選ばない所は、とても似ているのかも知れない。
「さて、それじゃあ……って、あれ?」
「どうしました??」
私が気持ちを入れ直してクエストの準備をするためにギルドを出ようと振り返ると、前方から一人の女性がこちらの方へとやって来て来るのが目に入った。
「え?ナーシャさん??」
「??」
「あら、やっぱりエトさんだったんですね。どうしたんですか、なにやら大きな声を出していたみたいですが。揉め事か何かですか?」
そこにいたのは、私がこの世界に来た初日にお世話になった、生産者ギルドの受付嬢、ナーシャさんだった。
「あれ?どうしてここにナーシャさんが??」
「ええ。ちょっと色々とありましてね。急遽、各ギルドの代表者が集められて話し合いをしていた所なんですよ」
「あ、そうなんですね」
どうやらギルドの方で何か問題があったらしく、つい先程まで、ソレントのギルド全体での緊急会議の様なものがあったらしい。
ただ、そんな場にどうして受付嬢のナーシャさんが代表として参加していたのかは、まあ、あえて考えない事にしよう。
下手に薮を突いても、きっといい事は何もない。
「ところで、エトさんは何を?随分と大声で叫んでいた様ですが。何かトラブルでも?私でどうにか出来る内容であれば力になりますよ?」
「い、いえ、大丈夫です」
「そう?」
恐らくナーシャさんならば、このクエストの件に関して上手くマリンを説得できるかも知れないが、それこそ反則みたいなものだ。
私は一度納得したんだし、今回は大人しくマリンのわがままに付き合うとしよう。
何か、思うところもある様だし。
「ああ、それならナーシャさん。ちょっと聞きたい事があるんですけど」
「聞きたい事?何でしょう?」
でも、ちょうど良かった。
この件に関して、少し気になっていた事があったんだ。
「実はつい今し方、ここの冒険者ギルドの受付嬢さんに、適性ランク外のクエストを受けさせてもらったんですけど、その時わりと無理を言っちゃって。それで受付嬢さんが上司とかに怒られたりしないかなって……」
「適正外のクエストを?なるほど」
私は、マリンが完膚なきまでに言い負かして退場してしまった、あの受付嬢について聞いてみる事にした。
流石にあれは、不憫過ぎたからね。
「あ……」
そんな私の言葉を聞いたマリンは、少しバツの悪い表情を浮かべ、私とナーシャさんとの会話に入って来た。
「すみません。私が少し舞い上がり過ぎてしまい、かなりの無理を言って悪い事をしてしまいました」
マリンはそう言い、こうべを垂れる。
やはり本人も、あれはやり過ぎだったと理解していた様だ。
マリンはギルドの内部事情にも明るいだけに、その受付嬢の顛末も、ある程度予想できているのだろう。
マリンのこの様子だと、やっぱりあの受付嬢さんは、上司に怒られる感じなのだろう。
「気にする事はありませんよ。冒険者の無茶に対応するのが受付嬢の仕事ですから。ちなみ、その適性外と言うのはどのくらいですか?」
「んと、登録したてのランクFがランクCの討伐クエストを受けたって内容なんだけど」
「……。それはまた……よく受けれましたね」
「あはは……」
「ごめんなさい……」
ナーシャさんはその内容を聞いて、素直に驚きの表情を見せる。
あのナーシャさんにこんな表情をさせるなんて、やはり相当な無茶を通したと言う事か。
「やっぱり、結構まずかったですかね?まさかクビとかになったりは……」
「そうですね……。まあ、大丈夫だとは思いますよ。エトさん達がそのクエストを失敗したり、達成しても大怪我を負ってしまった、とかでも無い限りは、流石にクビになると言う事は無いと思います。まあ、今後の出世も無いでしょうけど」
「……」
「……」
それって、私達が無傷でクエストをクリア出来なければクビになるって事だよね?
しかも、クリア出来ても出世は望めないとか、それってどちらにせよクビとほとんど変わらないのでは……。
私は思わずマリンの方に視線をやると、マリンもとてもバツの悪そうな表情でこちらを見ていた。
うん。だよねぇ。
そして、マリンは私が手に持つ依頼書に一瞬チラリと視線を動かすと、再び視線を私に戻し、小さく顔を横に振った。
まあ、そうなるよね。
「あの、ナーシャさん。クエストのキャンセルとかって……」
「はい。それは出来ますが、形式上、エトさん達はクエストの失敗と言う扱いになりますので、あまりおすすめはできません」
「あー。え?」
ん?オススメ出来ない?
確かに失敗の経歴が付くのは嬉しく無いけど、ギルドとしてはそんな無謀な行動を未然に防げて、むしろ助かるのでは?
ナーシャさんは私の戦闘での実力を知らないはずだし。
なら、どうしてオススメしないとか言うのだろう?
「冒険者にとって、依頼失敗の経歴は今後にとても大きく響きますし、何より、クエストをキャンセルしても、一度依頼したクエスト履歴はギルド側にも残るため、あの受付嬢の処遇は恐らく変わりません。むしろ、そのクエストを受けて無事に達成していただいた方が傷は浅く済むかと」
「そんな……」
何だこれ、もうほとんど詰んでるじゃないのよ。
結局、あの受付嬢さんの傷が深いか浅いかだけの違いしかない。
うわ、これどうしよう……。
「と、言うのが本来の流れですが、その辺は私の方で適当に上手くやっておきますよ」
「はえ?」
「ですので、エトさん達はクエストの方をしっかりと頑張って来ていただければ。もし失敗してしまっても問題ありませんので、怪我だけはしない様にして下さいね」
「え?あの、でも……」
「では、ちょっと話をつけて来ますので、エトさん達はくれぐれも怪我などないよう、お気をつけて。それでは失礼致します」
「あ……」
ナーシャさんはそう言って軽く会釈をしてすぐに、受付カウンターの方へと向かっていった。
そして、そのまま受付の中に入って行ったナーシャさんは、近くの受付嬢に声をかける。
「ちょっと貴女、ギルマスを呼んでくれる」
「え?な、ナーシャさん!?え、えっと、ギルマスはまだ会議室に……」
「ギルマスを呼んでくれる?」
「え?あ、は、はい!すぐに!」
そうしてナーシャさんは、そのままギルドの奥の方へと消えて行った。
「……あの、エトさん」
「う、うん。大丈夫。私もよくわかってないから。でも取り敢えず、あのナーシャさんは敵に回しちゃダメよ」
「……はい」
◆
その後、エト達は先程までの騒ぎによる周りの冒険者達からの視線に気付き、そそくさと逃げる様にギルドから出て行った。
そんなエト達を、ギルドの受付の奥の方から見ていたナーシャは、心配そうな表情を浮かべながら、大きくため息を一つ吐く。
「全く、エトさんたら。あまり無茶はしないでほしいわね。取り敢えず少し手を回しておきましょうか」
ナーシャはそう言いながら、チラリと視線を横に向ける。
そこには、割とガタイのいい中年程の男が、ナーシャの隣でエト達の後ろ姿を見送っていた。
その男は、先程ナーシャが呼びつけていた、この冒険者ギルドのギルドマスターであった。
「ほう。あれがお前のお気に入りのエトか。見たところ普通の少女にしか見えないが……ふむ。確かに変わった雰囲気はあるな」
「でしょ?話によれば、ステラ商会の会頭が初日に金貨を渡してたって話よ」
「は?おいおい、ステラ商会って……」
ギルマスは思わずナーシャの方へと振り向いて、言葉をつまらせ目を丸くする。
「すごいでしょ」
「いや、すごいと言うかとんでもねえな。ヤツにまで気に入られるとか……何者なんだアイツは」
「さあね。今のところ、ただの可愛らしい女の子としか。言っとくけど、エトさんに変なことしたらただじゃ済まないわよ」
「しねえよ。俺を何だと思ってんだよ。大体、お前らを敵に回すのがわかっててわざわざ余計な事なんかするかよ。面倒くさい」
「そ。なら良いけど。じゃあ後は頼んだわね」
「ったく、しゃあねえな」
そう言ってギルマスはギルド内を見渡すと、とある一組の冒険者パーティーを見つけ出し、そのパーティーの元へと真っ直ぐズカズカと歩き出した。
「おい、お前ら。ちょっと良いか。いいよな、ちょっと来い」
「え?って、はぁ!?ギルマス!?!?」
突然のギルマスからの声掛けに驚く冒険者。
それを見ていたナーシャは、呆れた表情でため息を吐く。
「ほんとにもう。何でギルマス本人が行くのよ。他の職員に行かせれば良いのに。彼ら驚いてるじゃないのよ」
そうして、エトのいないところで何やら色々と、エトを取り巻く環境が少しずつ、動き始めていたのだった。
――――そんな頃。
エトとトコとマリンの三人は、クエストに向かう準備のため、商業区の商店街道へとやって来ていた。
三人はこの商店街道で、三者三様の思惑を抱きながら、その足を進めていた。
「さて、じゃあまずはマリンさんの装備だね。流石にその普段着でクエストに行くわけにも行かないし。さっさと買って、さっさとクエスト終わらせちゃおう」
「はい!よろしくお願いします!私、頑張ります!!色々と!」
「ん。オムライスに期待」
良い感じに温度差の異なるエト達三人は、ひとまずマリンの装備を揃えるため、近場の武具店へと入って行った。
――――はずだったのだが。
「ね、ねえ、マリンさん??ここって??」
「すみません。すぐにすみますので」
エト達は武具店でマリンの装備品を揃えた後、何故かそのままクエストには出発せず、マリンに連れられて、とある店へとやって来ていた。
「いや、もうマリンさんの装備品は揃えたんだし、取り敢えずクエスト行かない??これ、今は必要ないよね??しかもこんなに大量に」
「いえ、必要です。エトさんは元が良いんだから今のうちから覚えておかないと駄目です」
「いや、だからって今やる事じゃ……」
「ダメです。こう言うのを後回しにしたら結局面倒になって後から後悔します。そんな女性冒険者をたくさん見て来ましたから」
「いや、でも……何で私が化粧品なんかを……」
そう、そこは商店街道の一等地にある化粧品店。
各種スキンケア商品からメイク道具まで、ありとあらゆるものが揃った、この街一番の高級コスメショップだった。
エトはここで、何故かクエストにも行かず、各種化粧品を大量に買う羽目になっていた。
「てか、こんなに買っても使い方もよくわからないし、そもそも、スキンケアはともかく、こんなに化粧品はいらないでしょ。私がメイクなんかしてどうすんのよ。多分必要になる事なんてないと思うよ」
エトは元の世界でもある程度のコスメは持っていたが、とは言え、言っても必要最低限のもの。
基本的に休みの日は家でゲームしかしていなかった様なインドアなエトにとって、ここまで気合の入った化粧品の数々はとてもじゃないが手に余るものだった。
「いえ、必要になる時は必ずあります、むしろないと困ります」
「え?」
「あ、いえ、なんでもないです。使い方なら私が教えますので、今のうちから覚えてください。メイクは女性の嗜みですから。いくら冒険者でも女性なら美しくあるべきです」
「いや、そんなこと言われても……。と言う事は、マリンさんもこれくらい持ってるって事?」
「いえ、流石にこの量は。そもそも、私がメイクなんかしても意味がないので」
「ええ……」
マリンのそんな返答に、エトは目を丸くして頭の上に『?』を浮かべる。
エトのこの反応は正しい。
マリンの発言は理不尽を通り越して、もはや無茶苦茶だと言わざるを得ない。
「ごめんなさい。ギルドでの件に続いてまた強引な事をしているのは自覚していますが、でも、これはとても大事なことなので」
「大事な事って……これが??」
「はい。わがままばかりですみません」
「いや、まあ、別に謝る程ではないけど……」
「そうですか!ありがとうございます!」
「……」
実はこのマリンの行動、それには理由があった。
それは、ギルドでのエトとの会話の際に感じ、そして生まれた、マリンのとある目的の為だった。
その目的とは、恐らくエトからすればかなりどうでも良い内容で、むしろ余計なお世話と言っても良い様なものだったが、マリンにとってはとても大真面目な内容だった。
その内容とは、
全力でエトを完璧な美少女に仕立て上げ、
そして兄であるサフィアと、
どうにかして、いい感じにくっ付けてしまおう!
なんならついでに『お姉様!』と呼んでみたい!!
という、至極くだらない内容であった。
マリンの頭の中は、その振る舞いとは裏腹に、割とピンク色だったのだ。
「きっと後悔はさせません!大丈夫です!私に任せていて下さい!!」
「はぁ……」
マリンの勢いに完全に押し切られるエト。
しかし、マリンのこの行動は、何も恋愛脳をただ拗らせただけの脳内お花畑な残念女子というわけではなく、ちゃんとした思いがあっての事だった。
これまで、マリンはサフィアと兄妹二人きりで誰も頼る人もなく、互いに支え合いながら必死に二人で生きて来た。
特にサフィアはマリンとの生活の為、マリンの兄として、様々な理不尽や苦境に見舞われながらも、一人がむしゃらにあらゆるものと戦って来た。
そんなサフィアは、必死の努力で冒険者として結果を残し、その後、王国軍でも実力で上まで登り詰め、そして遂には貴族の爵位まで手に入れた。
ようやく二人の幸せな暮らしが手に入ったと思ったその矢先、マリンが病に侵され、サフィアは手に入れた立場や爵位も全て捨てる勢いで、また再び、たった一人での孤独の奮闘を強いられた。
そして、エトとの出会いでマリンの命を救う事にも成功し、いよいよ今度こそは、やっと幸せになれると思ったその時、今度はサフィアに王国軍からの帰還の命令が下った。
マリンの命を救うためにと、サフィアは王国軍にかなりの無理を通して来た事もあり、マリンの命が救われた今、それはとても断ることの出来ないものだった。
サフィアは未だ、守るべきものを背負いながら、一人で戦い続けている。
マリンは思った。
自分のせいでサフィアの人生を台無しにしていると。
マリンは恨んだ。
神様はどこまでサフィアを苦しめるのかと。
マリンは嘆いた。
サフィアの味方はどこにもいないのかと。
そんな時。
マリンにとってエトとの邂逅は、まさに天啓と言っても過言ではなかった。
あの時、ギルドでエトから言われた言葉の内容が、その時のマリンにはとても衝撃的だった。
マリンがどれほど想いや覚悟を熱弁しても、エトはそんなマリンよりも、そんなマリンを思うサフィアの願いを優先した。
完全に論破したはずなのに、そんな事は関係ないと、土壇場であっさりとひっくり返されたのだ。
なるほど、だからサフィアは悩むことなく、自分をエトに預けたのかと、マリンはその時納得した。
エトはサフィアの初めての理解者であり、そして、サフィアにとって、とても信頼に足る人物であったのだ。
――――だったら、私がくっ付けるっきゃないでしょう!!!
これまで自分が奪ってしまっていたサフィアの幸せを、マリンは心の底から願うばかりに、少々おかしな方向へと突き進み始めてしまっていたのだった。
エトにとってもサフィアにとっても、本当に良い迷惑である。
結局、エトはマリンに言われるままに大量の化粧品を購入し、そしてそのまま、化粧室へと連れて行かれてしまった。
「え?なんで?」
「せっかくなので、このままお化粧しちゃいましょう。時間も無いので今回は私が完璧に仕上げますね。この後、美容院やお洋服も見に行かないとなので」
そして、化粧台の前のイスにエトを無理やり座らせて、サラッとこの後の予定を話すマリン。
「え?いや、ちょ、それ聞いてな……」
「動かないで下さい。メイクがずれます」
「うう……。トコ……タスケテ……」
思わずトコに助けを求めるエト。
そんな助けを求められたトコは、思わぬ展開にどうすれば良いの困っていた。
バトルのピンチならともかく、こう言うよくわからないピンチの対応方法など、流石にトコは持ち合わせてはいなかった。
「ん。んー……?ん……」
しかし、マリンは持ち合わせていた。
「トコちゃんも後でお化粧してあげるわね。きっと、トコちゃんもめちゃくちゃに可愛くなると思うわ。エトさんとトコちゃんが並んで歩いてたら、すれ違うみんな驚くんじゃ無いかしら」
「……そう」
「ええ。間違いわ。私が保証する」
「……ん。エトも化粧するべき」
「くそーーーーーーー!!!やっぱりこうなるのか!!」
「エトさん、動かないで」
「エト、大人しくする」
「うううう……こうなったら、誰か他に……」
エトは、トコが全く使い物にならない事を悟り、他に助けを求めるべく、ポーチの中からデバイスを取り出し、一番親身になってくれそうなマチルダへと、救援のメッセージを送る。
しかし。
「うう、返事ないし……」
マチルダも、そこまで暇ではなかったのだ。
そうして、その後マリン率いるエト達三人は化粧品店を出て、美容院、洋服店、雑貨屋と、足早に巡り、そしてようやく満足したのか、やっとこさクエストに向かうべく、ソレントの街の外へと出て行った。
「何だろう、これからクエストだって言うのにもうすっかり疲れているんだけど……」
「何言ってるんですか、エトさん!今からですよ!クエスト頑張りましょう!!」
「ん。終わったらオムライス」
三者三様の思惑を抱きながら、彼女たちは初めてのクエストに向けてその足を進め始めた。
そんな私の大声に、周りの冒険者達の視線がこちらに向く。
マリンは少し、申し訳なさそうな顔をしている。
「エトさん、ごめんなさい。でも、どうしても諦められなくて」
「いや、こっちこそごめん。まさか理詰めのマリンさんがそんな手で来るとは思わなかったから思わずちょっと取り乱しちゃったけど、むしろ冒険者をやるならそれくらいじゃないとダメなような気もするし。今回は油断してた私の負けだよ。気にしないで」
「なんか、すみません……」
まあ、仕方がない。
むしろ品行方正で極端に真面目すぎる方が、なんならこれからやりにくい様な気もするし。
さすがサフィアの妹だ。いざとなったら手段を選ばない所は、とても似ているのかも知れない。
「さて、それじゃあ……って、あれ?」
「どうしました??」
私が気持ちを入れ直してクエストの準備をするためにギルドを出ようと振り返ると、前方から一人の女性がこちらの方へとやって来て来るのが目に入った。
「え?ナーシャさん??」
「??」
「あら、やっぱりエトさんだったんですね。どうしたんですか、なにやら大きな声を出していたみたいですが。揉め事か何かですか?」
そこにいたのは、私がこの世界に来た初日にお世話になった、生産者ギルドの受付嬢、ナーシャさんだった。
「あれ?どうしてここにナーシャさんが??」
「ええ。ちょっと色々とありましてね。急遽、各ギルドの代表者が集められて話し合いをしていた所なんですよ」
「あ、そうなんですね」
どうやらギルドの方で何か問題があったらしく、つい先程まで、ソレントのギルド全体での緊急会議の様なものがあったらしい。
ただ、そんな場にどうして受付嬢のナーシャさんが代表として参加していたのかは、まあ、あえて考えない事にしよう。
下手に薮を突いても、きっといい事は何もない。
「ところで、エトさんは何を?随分と大声で叫んでいた様ですが。何かトラブルでも?私でどうにか出来る内容であれば力になりますよ?」
「い、いえ、大丈夫です」
「そう?」
恐らくナーシャさんならば、このクエストの件に関して上手くマリンを説得できるかも知れないが、それこそ反則みたいなものだ。
私は一度納得したんだし、今回は大人しくマリンのわがままに付き合うとしよう。
何か、思うところもある様だし。
「ああ、それならナーシャさん。ちょっと聞きたい事があるんですけど」
「聞きたい事?何でしょう?」
でも、ちょうど良かった。
この件に関して、少し気になっていた事があったんだ。
「実はつい今し方、ここの冒険者ギルドの受付嬢さんに、適性ランク外のクエストを受けさせてもらったんですけど、その時わりと無理を言っちゃって。それで受付嬢さんが上司とかに怒られたりしないかなって……」
「適正外のクエストを?なるほど」
私は、マリンが完膚なきまでに言い負かして退場してしまった、あの受付嬢について聞いてみる事にした。
流石にあれは、不憫過ぎたからね。
「あ……」
そんな私の言葉を聞いたマリンは、少しバツの悪い表情を浮かべ、私とナーシャさんとの会話に入って来た。
「すみません。私が少し舞い上がり過ぎてしまい、かなりの無理を言って悪い事をしてしまいました」
マリンはそう言い、こうべを垂れる。
やはり本人も、あれはやり過ぎだったと理解していた様だ。
マリンはギルドの内部事情にも明るいだけに、その受付嬢の顛末も、ある程度予想できているのだろう。
マリンのこの様子だと、やっぱりあの受付嬢さんは、上司に怒られる感じなのだろう。
「気にする事はありませんよ。冒険者の無茶に対応するのが受付嬢の仕事ですから。ちなみ、その適性外と言うのはどのくらいですか?」
「んと、登録したてのランクFがランクCの討伐クエストを受けたって内容なんだけど」
「……。それはまた……よく受けれましたね」
「あはは……」
「ごめんなさい……」
ナーシャさんはその内容を聞いて、素直に驚きの表情を見せる。
あのナーシャさんにこんな表情をさせるなんて、やはり相当な無茶を通したと言う事か。
「やっぱり、結構まずかったですかね?まさかクビとかになったりは……」
「そうですね……。まあ、大丈夫だとは思いますよ。エトさん達がそのクエストを失敗したり、達成しても大怪我を負ってしまった、とかでも無い限りは、流石にクビになると言う事は無いと思います。まあ、今後の出世も無いでしょうけど」
「……」
「……」
それって、私達が無傷でクエストをクリア出来なければクビになるって事だよね?
しかも、クリア出来ても出世は望めないとか、それってどちらにせよクビとほとんど変わらないのでは……。
私は思わずマリンの方に視線をやると、マリンもとてもバツの悪そうな表情でこちらを見ていた。
うん。だよねぇ。
そして、マリンは私が手に持つ依頼書に一瞬チラリと視線を動かすと、再び視線を私に戻し、小さく顔を横に振った。
まあ、そうなるよね。
「あの、ナーシャさん。クエストのキャンセルとかって……」
「はい。それは出来ますが、形式上、エトさん達はクエストの失敗と言う扱いになりますので、あまりおすすめはできません」
「あー。え?」
ん?オススメ出来ない?
確かに失敗の経歴が付くのは嬉しく無いけど、ギルドとしてはそんな無謀な行動を未然に防げて、むしろ助かるのでは?
ナーシャさんは私の戦闘での実力を知らないはずだし。
なら、どうしてオススメしないとか言うのだろう?
「冒険者にとって、依頼失敗の経歴は今後にとても大きく響きますし、何より、クエストをキャンセルしても、一度依頼したクエスト履歴はギルド側にも残るため、あの受付嬢の処遇は恐らく変わりません。むしろ、そのクエストを受けて無事に達成していただいた方が傷は浅く済むかと」
「そんな……」
何だこれ、もうほとんど詰んでるじゃないのよ。
結局、あの受付嬢さんの傷が深いか浅いかだけの違いしかない。
うわ、これどうしよう……。
「と、言うのが本来の流れですが、その辺は私の方で適当に上手くやっておきますよ」
「はえ?」
「ですので、エトさん達はクエストの方をしっかりと頑張って来ていただければ。もし失敗してしまっても問題ありませんので、怪我だけはしない様にして下さいね」
「え?あの、でも……」
「では、ちょっと話をつけて来ますので、エトさん達はくれぐれも怪我などないよう、お気をつけて。それでは失礼致します」
「あ……」
ナーシャさんはそう言って軽く会釈をしてすぐに、受付カウンターの方へと向かっていった。
そして、そのまま受付の中に入って行ったナーシャさんは、近くの受付嬢に声をかける。
「ちょっと貴女、ギルマスを呼んでくれる」
「え?な、ナーシャさん!?え、えっと、ギルマスはまだ会議室に……」
「ギルマスを呼んでくれる?」
「え?あ、は、はい!すぐに!」
そうしてナーシャさんは、そのままギルドの奥の方へと消えて行った。
「……あの、エトさん」
「う、うん。大丈夫。私もよくわかってないから。でも取り敢えず、あのナーシャさんは敵に回しちゃダメよ」
「……はい」
◆
その後、エト達は先程までの騒ぎによる周りの冒険者達からの視線に気付き、そそくさと逃げる様にギルドから出て行った。
そんなエト達を、ギルドの受付の奥の方から見ていたナーシャは、心配そうな表情を浮かべながら、大きくため息を一つ吐く。
「全く、エトさんたら。あまり無茶はしないでほしいわね。取り敢えず少し手を回しておきましょうか」
ナーシャはそう言いながら、チラリと視線を横に向ける。
そこには、割とガタイのいい中年程の男が、ナーシャの隣でエト達の後ろ姿を見送っていた。
その男は、先程ナーシャが呼びつけていた、この冒険者ギルドのギルドマスターであった。
「ほう。あれがお前のお気に入りのエトか。見たところ普通の少女にしか見えないが……ふむ。確かに変わった雰囲気はあるな」
「でしょ?話によれば、ステラ商会の会頭が初日に金貨を渡してたって話よ」
「は?おいおい、ステラ商会って……」
ギルマスは思わずナーシャの方へと振り向いて、言葉をつまらせ目を丸くする。
「すごいでしょ」
「いや、すごいと言うかとんでもねえな。ヤツにまで気に入られるとか……何者なんだアイツは」
「さあね。今のところ、ただの可愛らしい女の子としか。言っとくけど、エトさんに変なことしたらただじゃ済まないわよ」
「しねえよ。俺を何だと思ってんだよ。大体、お前らを敵に回すのがわかっててわざわざ余計な事なんかするかよ。面倒くさい」
「そ。なら良いけど。じゃあ後は頼んだわね」
「ったく、しゃあねえな」
そう言ってギルマスはギルド内を見渡すと、とある一組の冒険者パーティーを見つけ出し、そのパーティーの元へと真っ直ぐズカズカと歩き出した。
「おい、お前ら。ちょっと良いか。いいよな、ちょっと来い」
「え?って、はぁ!?ギルマス!?!?」
突然のギルマスからの声掛けに驚く冒険者。
それを見ていたナーシャは、呆れた表情でため息を吐く。
「ほんとにもう。何でギルマス本人が行くのよ。他の職員に行かせれば良いのに。彼ら驚いてるじゃないのよ」
そうして、エトのいないところで何やら色々と、エトを取り巻く環境が少しずつ、動き始めていたのだった。
――――そんな頃。
エトとトコとマリンの三人は、クエストに向かう準備のため、商業区の商店街道へとやって来ていた。
三人はこの商店街道で、三者三様の思惑を抱きながら、その足を進めていた。
「さて、じゃあまずはマリンさんの装備だね。流石にその普段着でクエストに行くわけにも行かないし。さっさと買って、さっさとクエスト終わらせちゃおう」
「はい!よろしくお願いします!私、頑張ります!!色々と!」
「ん。オムライスに期待」
良い感じに温度差の異なるエト達三人は、ひとまずマリンの装備を揃えるため、近場の武具店へと入って行った。
――――はずだったのだが。
「ね、ねえ、マリンさん??ここって??」
「すみません。すぐにすみますので」
エト達は武具店でマリンの装備品を揃えた後、何故かそのままクエストには出発せず、マリンに連れられて、とある店へとやって来ていた。
「いや、もうマリンさんの装備品は揃えたんだし、取り敢えずクエスト行かない??これ、今は必要ないよね??しかもこんなに大量に」
「いえ、必要です。エトさんは元が良いんだから今のうちから覚えておかないと駄目です」
「いや、だからって今やる事じゃ……」
「ダメです。こう言うのを後回しにしたら結局面倒になって後から後悔します。そんな女性冒険者をたくさん見て来ましたから」
「いや、でも……何で私が化粧品なんかを……」
そう、そこは商店街道の一等地にある化粧品店。
各種スキンケア商品からメイク道具まで、ありとあらゆるものが揃った、この街一番の高級コスメショップだった。
エトはここで、何故かクエストにも行かず、各種化粧品を大量に買う羽目になっていた。
「てか、こんなに買っても使い方もよくわからないし、そもそも、スキンケアはともかく、こんなに化粧品はいらないでしょ。私がメイクなんかしてどうすんのよ。多分必要になる事なんてないと思うよ」
エトは元の世界でもある程度のコスメは持っていたが、とは言え、言っても必要最低限のもの。
基本的に休みの日は家でゲームしかしていなかった様なインドアなエトにとって、ここまで気合の入った化粧品の数々はとてもじゃないが手に余るものだった。
「いえ、必要になる時は必ずあります、むしろないと困ります」
「え?」
「あ、いえ、なんでもないです。使い方なら私が教えますので、今のうちから覚えてください。メイクは女性の嗜みですから。いくら冒険者でも女性なら美しくあるべきです」
「いや、そんなこと言われても……。と言う事は、マリンさんもこれくらい持ってるって事?」
「いえ、流石にこの量は。そもそも、私がメイクなんかしても意味がないので」
「ええ……」
マリンのそんな返答に、エトは目を丸くして頭の上に『?』を浮かべる。
エトのこの反応は正しい。
マリンの発言は理不尽を通り越して、もはや無茶苦茶だと言わざるを得ない。
「ごめんなさい。ギルドでの件に続いてまた強引な事をしているのは自覚していますが、でも、これはとても大事なことなので」
「大事な事って……これが??」
「はい。わがままばかりですみません」
「いや、まあ、別に謝る程ではないけど……」
「そうですか!ありがとうございます!」
「……」
実はこのマリンの行動、それには理由があった。
それは、ギルドでのエトとの会話の際に感じ、そして生まれた、マリンのとある目的の為だった。
その目的とは、恐らくエトからすればかなりどうでも良い内容で、むしろ余計なお世話と言っても良い様なものだったが、マリンにとってはとても大真面目な内容だった。
その内容とは、
全力でエトを完璧な美少女に仕立て上げ、
そして兄であるサフィアと、
どうにかして、いい感じにくっ付けてしまおう!
なんならついでに『お姉様!』と呼んでみたい!!
という、至極くだらない内容であった。
マリンの頭の中は、その振る舞いとは裏腹に、割とピンク色だったのだ。
「きっと後悔はさせません!大丈夫です!私に任せていて下さい!!」
「はぁ……」
マリンの勢いに完全に押し切られるエト。
しかし、マリンのこの行動は、何も恋愛脳をただ拗らせただけの脳内お花畑な残念女子というわけではなく、ちゃんとした思いがあっての事だった。
これまで、マリンはサフィアと兄妹二人きりで誰も頼る人もなく、互いに支え合いながら必死に二人で生きて来た。
特にサフィアはマリンとの生活の為、マリンの兄として、様々な理不尽や苦境に見舞われながらも、一人がむしゃらにあらゆるものと戦って来た。
そんなサフィアは、必死の努力で冒険者として結果を残し、その後、王国軍でも実力で上まで登り詰め、そして遂には貴族の爵位まで手に入れた。
ようやく二人の幸せな暮らしが手に入ったと思ったその矢先、マリンが病に侵され、サフィアは手に入れた立場や爵位も全て捨てる勢いで、また再び、たった一人での孤独の奮闘を強いられた。
そして、エトとの出会いでマリンの命を救う事にも成功し、いよいよ今度こそは、やっと幸せになれると思ったその時、今度はサフィアに王国軍からの帰還の命令が下った。
マリンの命を救うためにと、サフィアは王国軍にかなりの無理を通して来た事もあり、マリンの命が救われた今、それはとても断ることの出来ないものだった。
サフィアは未だ、守るべきものを背負いながら、一人で戦い続けている。
マリンは思った。
自分のせいでサフィアの人生を台無しにしていると。
マリンは恨んだ。
神様はどこまでサフィアを苦しめるのかと。
マリンは嘆いた。
サフィアの味方はどこにもいないのかと。
そんな時。
マリンにとってエトとの邂逅は、まさに天啓と言っても過言ではなかった。
あの時、ギルドでエトから言われた言葉の内容が、その時のマリンにはとても衝撃的だった。
マリンがどれほど想いや覚悟を熱弁しても、エトはそんなマリンよりも、そんなマリンを思うサフィアの願いを優先した。
完全に論破したはずなのに、そんな事は関係ないと、土壇場であっさりとひっくり返されたのだ。
なるほど、だからサフィアは悩むことなく、自分をエトに預けたのかと、マリンはその時納得した。
エトはサフィアの初めての理解者であり、そして、サフィアにとって、とても信頼に足る人物であったのだ。
――――だったら、私がくっ付けるっきゃないでしょう!!!
これまで自分が奪ってしまっていたサフィアの幸せを、マリンは心の底から願うばかりに、少々おかしな方向へと突き進み始めてしまっていたのだった。
エトにとってもサフィアにとっても、本当に良い迷惑である。
結局、エトはマリンに言われるままに大量の化粧品を購入し、そしてそのまま、化粧室へと連れて行かれてしまった。
「え?なんで?」
「せっかくなので、このままお化粧しちゃいましょう。時間も無いので今回は私が完璧に仕上げますね。この後、美容院やお洋服も見に行かないとなので」
そして、化粧台の前のイスにエトを無理やり座らせて、サラッとこの後の予定を話すマリン。
「え?いや、ちょ、それ聞いてな……」
「動かないで下さい。メイクがずれます」
「うう……。トコ……タスケテ……」
思わずトコに助けを求めるエト。
そんな助けを求められたトコは、思わぬ展開にどうすれば良いの困っていた。
バトルのピンチならともかく、こう言うよくわからないピンチの対応方法など、流石にトコは持ち合わせてはいなかった。
「ん。んー……?ん……」
しかし、マリンは持ち合わせていた。
「トコちゃんも後でお化粧してあげるわね。きっと、トコちゃんもめちゃくちゃに可愛くなると思うわ。エトさんとトコちゃんが並んで歩いてたら、すれ違うみんな驚くんじゃ無いかしら」
「……そう」
「ええ。間違いわ。私が保証する」
「……ん。エトも化粧するべき」
「くそーーーーーーー!!!やっぱりこうなるのか!!」
「エトさん、動かないで」
「エト、大人しくする」
「うううう……こうなったら、誰か他に……」
エトは、トコが全く使い物にならない事を悟り、他に助けを求めるべく、ポーチの中からデバイスを取り出し、一番親身になってくれそうなマチルダへと、救援のメッセージを送る。
しかし。
「うう、返事ないし……」
マチルダも、そこまで暇ではなかったのだ。
そうして、その後マリン率いるエト達三人は化粧品店を出て、美容院、洋服店、雑貨屋と、足早に巡り、そしてようやく満足したのか、やっとこさクエストに向かうべく、ソレントの街の外へと出て行った。
「何だろう、これからクエストだって言うのにもうすっかり疲れているんだけど……」
「何言ってるんですか、エトさん!今からですよ!クエスト頑張りましょう!!」
「ん。終わったらオムライス」
三者三様の思惑を抱きながら、彼女たちは初めてのクエストに向けてその足を進め始めた。
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