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第1章.檸檬ネコのテト
第007愛.山田製作所、侵入③
しおりを挟む今回の潜入先に山田製作所アイルランド支部が選ばれた理由、それはネ……アタイはきぐるみの懐をゴソゴソして、メモを取り出したのヨ。
【ラクぱいせん、ココを見るネ。ミッション内容に『この企業で人間が異世界の住人を奴隷みたいに酷使してる』ってあるヨ】
アタイ、こう見えて“メモ魔”って位マメにメモ取るしっかり者なのネ……人間だった時ハ。
【そう、囚われてる異世界の住人達を開放する。今回それがアタシ達の『女神の務め』なのよね】
ふん、ふんふん。
スンスン、スン。
2匹で、そんな脳内会話を繰り広げながラ……現実はどうかと云うと、レモンイエローのネコとピンクフクロウが仲睦まじそうに鼻と鼻を擦り合わせてる様にしか見えないのヨ。
でも、実は……
【ラッキーね! たまたま入った搬入ドア、ターゲットの居場所に一番近かったみたいよ】
ほーホ……、ほーホ……。
実はフクロウの耳って、音の反射具合でソナーの様に周りの地形を把握出来るのネ。また眼も光を取り込む力に優れていて、暗くても良く見る事が出来るのヨ。
でもこれ、何と云う偶然なのネ! 偶然と云うより寧ろ、これは幸運なのヨ。誰にも見付かる事無く、しかも最短距離をチョイス出来るなんテ。
【おまけに、すぐそこにある螺旋階段を降りて行けばターゲットまで誰にも会わず行けそうね】
いえ、只の幸運では無いネ?……コレ。ターゲットの居場所まで、迷う事無く一本道ッテ。幾ら何でも、やり過ぎヨ。
がしっ!
再びピンクフクロウ……ラクは爪でアタイの背を掴んだネ。作戦が全て体躯に叩き込まれてるみたい、まるで流れ作業みたいにスムーズなのヨ。
【流石は“運”の女神ネ、『ラッキーストライク』には毎回助けて貰ってるヨ】
やっぱりカラクリ、有ったのネ。それにしてもこのチートな力、やはり異世界転生如きで人間が得られて良いものでは無いと思うヨ。
ばっさ、ばっさ、ばっさ。
アタイもラクも、螺旋階段は直接降り無いヨ。まず吹抜け部分まで飛んで行き、そこから一番下まで舞い降りて行くのネ。
ん? 吹抜け部分に差し掛かった所で、ラクがその場にホバリングしたまま動きが停まったヨ? どうしたネ?
【あ……、あ……】
え、ラクが言葉を失ってル……?
ラクの視線に合わせ、アタイも視線を下ろしたネ。すると、次の瞬間。
万物の事象を完全超越した、とんでも無い真実がアタイ達の下でスローモーに白日の下に晒け出される事になるのネ!
……へ? コレって一体、何なのヨ!??
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