53 / 58
第15章 領主の娘の帰る場所
1
しおりを挟む
1
アクアクリスの街、宝石商人ロワーズ宅。
街に2日ほど前についたレイピアは現在ここに住み込みで働いていた。働いているといっても宝石の売買をしているというわけではない。
冒険者としてロワーズの屋敷とロワーズ自身を護衛しているのだ。
アクアクリスの街は現在盗賊団が多く出没している。裕福な家庭や商人宅――特に宝石商などは狙われやすい。
実際ロワーズの屋敷も盗賊に何度も狙われたという。そのため冒険者を屋敷の護衛として雇い入れている。
住み込みも可ということで仕事と滞在場所、両方を探していたレイピアはすぐに飛びついた。しばらくここに滞在してこれからのことを考えようと思って。
宝石商人ロワーズは護衛の仕事をしたいと言ったレイピアに最初は驚きこそしたけれど、女だという理由で差別はしなかった。
もっとも、本当に仕事ができるかどうかテストをさせられたけれど。
***
「お願いします、ここで働かせて欲しいんです」
「君が、護衛に?」
ロワーズは40代半ばぐらいで、口髭をたくわえた穏やかな感じの男だ。パッと見、宝石商人には見えない。客との駆け引きをする商売よりも、のんびりと園芸でもしている方が似合っている。
その彼は驚いた顔で、レイピアを見る。
無理はない。いくら給料がいいからといって好き好んで盗賊と対峙する危険な仕事につきたがる女性など滅多にいないのだから。
少し困った様子で、ロワーズは口髭をさする。
「うーん……。護衛の仕事はきついよ? 危険も伴う。ちゃんとこなすことができるかい?」
「大丈夫です!」
レイピアにとってはその方が好都合でもあった。
忙しく働いていれば、いろいろ考えないで済む。2年前の父も、きっとこんな気持ちだったのかもしれない。
「ふむ。それじゃあテストをしようか」
「……テスト?」
眉をひそめるレイピア。
「これは君だけに限らず全員にやっているテストだから。なに、簡単なものだからあまり固く考えなくてもいい。……ラグス」
ロワーズは『ラグス』と声を掛けた。
レイピアとロワーズのいる応接間の奥の扉が開き、ラグスと呼ばれた男が入ってきた。
レイピアの体の2倍はあるのではないかと思うぐらいの屈強な大男だった。顔にも腕にも体にも至るところに刃物の傷があって、何度も死線を越えてきたことを伺わせる。護衛者というより、むしろ彼の方が盗賊に見えなくもない出で立ちだ。
その迫力に思わずごくり、と息をのむ。
「ほーお。今度はどんな奴が来たのかと思ったら小娘か」
ラグスはレイピアを見るなりおもしろそうに鼻を鳴らす。
「彼と、戦えということですか?」
ロワーズはにこやかに笑ったまま、レイピアのその問いには答えなかった。
屋敷の庭園に出たレイピアとラグスはそれぞれ刃を潰した剣を手に対峙した。
「止めてもいいんだよ?」
「いいえ、やります」
ロワーズの声を振り払い唇を噛み締め、キッとラグスを睨みつけた。
勝負はそれほど長くは続かなかった。
ラグスは一撃で勝負が決まると過信していたのだろう。
上段から振り下ろされた剣をレイピアは頭上すれすれのところで受け流した。その際に剣と剣が甲高い音を立てる。
「……っな!?」
小娘と思っていた相手に受け流されるとは露ほども思っていなかったらしい、ラグスが驚きの声をあげる。
スキルとユーザの剣の腕には適わなかったものの、レイピアの腕は決して悪いというわけではない。2年間のうちに剣の腕を上げたレイピアはそこら辺の者に負けないほどの力を身に付けている。
剣を引き、素早くラグスの背後に回り込むと腰に下げていた鞘でもって大男の膝の裏を打った。
思わぬ攻撃をくらったラグスはバランスを崩し、どう、と派手に地面に倒れる。
呼吸を整えると剣を鞘へと収める。
「いや、なんというか……お見事」
戦いの行方を見守っていたロワーズが、少々驚いた表情でパチパチと両手を打つ。相手に怪我をさせることもなくラグスを見事に倒したレイピアに対する素直な賞賛の証だった。
「まさかラグスを倒すとは思わなかった」
「そういうテストでしょう?」
女だと思って、ラグスを倒せるはずがないと思われていたのだろうか……。レイピアはムッと顔をしかめる。
「ははは。このテストはね、別にラグスを倒さなくてもよかったんだよ。彼と対峙して、逃げ出さなければ合格だったんだ」
「……は?」
ロワーズの口から出た意外な言葉にレイピアは目を丸くした。
「私はラグスと戦えなんて一度も言っていないよ」
確かに彼は一言も言っていない。レイピアがそう思い込んだだけだ。だが、あの状況だったら誰でも戦うものだと考えるではないか。
「最初に言ったよね? 簡単なものだって」
ロワーズのテストとは、盗賊を目の前にしても逃げ出してしまわないかどうか確かめるテストだったのだ。ラグスの顔立ちと体格、それを見ただけで怯え、逃げ出してしまう者は多いだろう。
そこで逃げ出してしまえば雇い入れはなし。
逃げなければ雇い入れる。そういうことだったのだ。
確かによく考えてみれば刃を潰した剣とはいえ、本気で戦えばどちらか怪我をしてしまう可能性が大きい。普通に考えたらこれから雇い入れようという相手に怪我をさせるはずがない。戦力にならなくなってしまうのだから。
そういうことだったの……。
レイピアは一気に脱力感を覚える。
「それなら、本気で戦う前に止めてくれればよかったのに……」
「ははは、すまないね。なんだか君の勇ましい姿を見ていたら止めるのを忘れていたよ」
ロワーズはにこやかに笑う。
やはり商人をしているだけあって、食えない性格だと脱力したレイピアは心の中で思った。そして宝石商人のその人を食ったような態度はどこかスキルを思い出させるものだった。
ちく、と胸がざわめく。
感情の揺れを、深く息を吐くことによって胸の奥に押し込めた。
こうしてレイピアは正式にロワーズの屋敷の護衛として雇われることとなった。寝所として屋敷の一室を与えられたため、そこに向かおうと歩き出す。
「待ってくれ!」
起き上がったラグスが巨体を揺らし、レイピアの元へ走ってくる。
さっきは油断したとか、納得いかないもう1度勝負しろとか、そういった内容の言葉が彼の口から出てくるのだと思った。
だが、ラグスの口から出た言葉、それは―――。
「おみそれしやした、姐さん!」
―――だった。
大男はレイピアの前に跪き、手を取り目を輝かせる。
「……姐、さん?」
ヒク、と口の端が引きつる。
「俺は今まで誰にも負けたことがなかった。自分の腕を過信しすぎていた……恥ずかしいことです。姐さんに負けてようやく自分が井の中の蛙であることに気がついた。それを気付かせてくれたあんたは女神だ……っ!」
感動にうち震え、巨体が揺れる。先程までの威圧感はどこへやら、凶暴な大型犬を思わせるラグスが今はまるで従順な子犬のようにしか見えない。
それに先程から変なことばかり言われている。
「俺を導いてくだせえ!」
「………」
ぐら、と心なしかレイピアの頭が揺れる。
頭痛を堪えるように、片手で額を押さえた。
アクアクリスの街、宝石商人ロワーズ宅。
街に2日ほど前についたレイピアは現在ここに住み込みで働いていた。働いているといっても宝石の売買をしているというわけではない。
冒険者としてロワーズの屋敷とロワーズ自身を護衛しているのだ。
アクアクリスの街は現在盗賊団が多く出没している。裕福な家庭や商人宅――特に宝石商などは狙われやすい。
実際ロワーズの屋敷も盗賊に何度も狙われたという。そのため冒険者を屋敷の護衛として雇い入れている。
住み込みも可ということで仕事と滞在場所、両方を探していたレイピアはすぐに飛びついた。しばらくここに滞在してこれからのことを考えようと思って。
宝石商人ロワーズは護衛の仕事をしたいと言ったレイピアに最初は驚きこそしたけれど、女だという理由で差別はしなかった。
もっとも、本当に仕事ができるかどうかテストをさせられたけれど。
***
「お願いします、ここで働かせて欲しいんです」
「君が、護衛に?」
ロワーズは40代半ばぐらいで、口髭をたくわえた穏やかな感じの男だ。パッと見、宝石商人には見えない。客との駆け引きをする商売よりも、のんびりと園芸でもしている方が似合っている。
その彼は驚いた顔で、レイピアを見る。
無理はない。いくら給料がいいからといって好き好んで盗賊と対峙する危険な仕事につきたがる女性など滅多にいないのだから。
少し困った様子で、ロワーズは口髭をさする。
「うーん……。護衛の仕事はきついよ? 危険も伴う。ちゃんとこなすことができるかい?」
「大丈夫です!」
レイピアにとってはその方が好都合でもあった。
忙しく働いていれば、いろいろ考えないで済む。2年前の父も、きっとこんな気持ちだったのかもしれない。
「ふむ。それじゃあテストをしようか」
「……テスト?」
眉をひそめるレイピア。
「これは君だけに限らず全員にやっているテストだから。なに、簡単なものだからあまり固く考えなくてもいい。……ラグス」
ロワーズは『ラグス』と声を掛けた。
レイピアとロワーズのいる応接間の奥の扉が開き、ラグスと呼ばれた男が入ってきた。
レイピアの体の2倍はあるのではないかと思うぐらいの屈強な大男だった。顔にも腕にも体にも至るところに刃物の傷があって、何度も死線を越えてきたことを伺わせる。護衛者というより、むしろ彼の方が盗賊に見えなくもない出で立ちだ。
その迫力に思わずごくり、と息をのむ。
「ほーお。今度はどんな奴が来たのかと思ったら小娘か」
ラグスはレイピアを見るなりおもしろそうに鼻を鳴らす。
「彼と、戦えということですか?」
ロワーズはにこやかに笑ったまま、レイピアのその問いには答えなかった。
屋敷の庭園に出たレイピアとラグスはそれぞれ刃を潰した剣を手に対峙した。
「止めてもいいんだよ?」
「いいえ、やります」
ロワーズの声を振り払い唇を噛み締め、キッとラグスを睨みつけた。
勝負はそれほど長くは続かなかった。
ラグスは一撃で勝負が決まると過信していたのだろう。
上段から振り下ろされた剣をレイピアは頭上すれすれのところで受け流した。その際に剣と剣が甲高い音を立てる。
「……っな!?」
小娘と思っていた相手に受け流されるとは露ほども思っていなかったらしい、ラグスが驚きの声をあげる。
スキルとユーザの剣の腕には適わなかったものの、レイピアの腕は決して悪いというわけではない。2年間のうちに剣の腕を上げたレイピアはそこら辺の者に負けないほどの力を身に付けている。
剣を引き、素早くラグスの背後に回り込むと腰に下げていた鞘でもって大男の膝の裏を打った。
思わぬ攻撃をくらったラグスはバランスを崩し、どう、と派手に地面に倒れる。
呼吸を整えると剣を鞘へと収める。
「いや、なんというか……お見事」
戦いの行方を見守っていたロワーズが、少々驚いた表情でパチパチと両手を打つ。相手に怪我をさせることもなくラグスを見事に倒したレイピアに対する素直な賞賛の証だった。
「まさかラグスを倒すとは思わなかった」
「そういうテストでしょう?」
女だと思って、ラグスを倒せるはずがないと思われていたのだろうか……。レイピアはムッと顔をしかめる。
「ははは。このテストはね、別にラグスを倒さなくてもよかったんだよ。彼と対峙して、逃げ出さなければ合格だったんだ」
「……は?」
ロワーズの口から出た意外な言葉にレイピアは目を丸くした。
「私はラグスと戦えなんて一度も言っていないよ」
確かに彼は一言も言っていない。レイピアがそう思い込んだだけだ。だが、あの状況だったら誰でも戦うものだと考えるではないか。
「最初に言ったよね? 簡単なものだって」
ロワーズのテストとは、盗賊を目の前にしても逃げ出してしまわないかどうか確かめるテストだったのだ。ラグスの顔立ちと体格、それを見ただけで怯え、逃げ出してしまう者は多いだろう。
そこで逃げ出してしまえば雇い入れはなし。
逃げなければ雇い入れる。そういうことだったのだ。
確かによく考えてみれば刃を潰した剣とはいえ、本気で戦えばどちらか怪我をしてしまう可能性が大きい。普通に考えたらこれから雇い入れようという相手に怪我をさせるはずがない。戦力にならなくなってしまうのだから。
そういうことだったの……。
レイピアは一気に脱力感を覚える。
「それなら、本気で戦う前に止めてくれればよかったのに……」
「ははは、すまないね。なんだか君の勇ましい姿を見ていたら止めるのを忘れていたよ」
ロワーズはにこやかに笑う。
やはり商人をしているだけあって、食えない性格だと脱力したレイピアは心の中で思った。そして宝石商人のその人を食ったような態度はどこかスキルを思い出させるものだった。
ちく、と胸がざわめく。
感情の揺れを、深く息を吐くことによって胸の奥に押し込めた。
こうしてレイピアは正式にロワーズの屋敷の護衛として雇われることとなった。寝所として屋敷の一室を与えられたため、そこに向かおうと歩き出す。
「待ってくれ!」
起き上がったラグスが巨体を揺らし、レイピアの元へ走ってくる。
さっきは油断したとか、納得いかないもう1度勝負しろとか、そういった内容の言葉が彼の口から出てくるのだと思った。
だが、ラグスの口から出た言葉、それは―――。
「おみそれしやした、姐さん!」
―――だった。
大男はレイピアの前に跪き、手を取り目を輝かせる。
「……姐、さん?」
ヒク、と口の端が引きつる。
「俺は今まで誰にも負けたことがなかった。自分の腕を過信しすぎていた……恥ずかしいことです。姐さんに負けてようやく自分が井の中の蛙であることに気がついた。それを気付かせてくれたあんたは女神だ……っ!」
感動にうち震え、巨体が揺れる。先程までの威圧感はどこへやら、凶暴な大型犬を思わせるラグスが今はまるで従順な子犬のようにしか見えない。
それに先程から変なことばかり言われている。
「俺を導いてくだせえ!」
「………」
ぐら、と心なしかレイピアの頭が揺れる。
頭痛を堪えるように、片手で額を押さえた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

【完結済】姿を偽った黒髪令嬢は、女嫌いな公爵様のお世話係をしているうちに溺愛されていたみたいです
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
王国の片田舎にある小さな町から、八歳の時に母方の縁戚であるエヴェリー伯爵家に引き取られたミシェル。彼女は伯爵一家に疎まれ、美しい髪を黒く染めて使用人として生活するよう強いられた。以来エヴェリー一家に虐げられて育つ。
十年後。ミシェルは同い年でエヴェリー伯爵家の一人娘であるパドマの婚約者に嵌められ、伯爵家を身一つで追い出されることに。ボロボロの格好で人気のない場所を彷徨っていたミシェルは、空腹のあまりふらつき倒れそうになる。
そこへ馬で通りがかった男性と、危うくぶつかりそうになり──────
※いつもの独自の世界のゆる設定なお話です。何もかもファンタジーです。よろしくお願いします。
※この作品はカクヨム、小説家になろう、ベリーズカフェにも投稿しています。
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。
婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ
水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。
それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。
黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。
叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。
ですが、私は知らなかった。
黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。
残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる