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第15話 桜木高校
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カササギ荘から十分ほど歩いたところにあたし達の通っている高校ーー桜木高校はある。
全校生徒約六百人。近所では有名な、マンモス校だ。
ちなみに木々羅は一年生ながらにしてすでに生徒会として活動しており、多くの人望を集めている。
ファンクラブもあるので、将来の生徒会長としてほぼ確実であると言えるだろう。
そんな木々羅があたしの顔が好きだと分かった昨日から、鬱陶しいくらい付きまとってくるのだが、今日のこの登校中もそうであった。
まず、あたしにバレないように、コソコソと後ろを着いてくる。真面目にストーカーとしか言えない状況。
後ろを振り返れば、ある時は壁に同化し、またある時は電柱の影から覗く顔が見え隠れし、そのまたある時は自分の真後ろにいたりする。
メリーさんかよ。
「あのさ、ウザいんだけど」
「あ、いや、ごめん。行く時間重なっちゃったから、せめて一緒に歩いてるように見えないようにしたんだけど……」
「ずっとストーカーされてたのかと思ってたわ」
ボケているとしか思えない回答に思わずあたしがツッコむと、彼は何とも言えないような顔をした。
「あのさ、一緒に学校行かない?」
「ごめんそれだけは無理」
木々羅と一緒に登校したい女の子なんて、桜木高校には山ほどいるだろう。
その中にはモデル並みにスタイル良かったり、可愛くてコミュ力の権化みたいな女の子達がいるはずだ。
そんな子達に木々羅と共に登校するあたしが遭遇した場合どうなるか。
やっかみの嵐に逢い、ただでさえいない友達から何もしていないのに嫌われるという悲惨なことになる。
あたしが普段から愛想が悪いからそんなことになる可能性があるというのも原因の一つなのは、否定しないけれど。
「深澤さんのツンデレ」
「ふざけたことぬかしてたらあんたの部屋写真に撮ってモザイクかけてグループLINEに流すよ」
あ、でもそもそもグループLINE入ってないわ、あたし。
「別にいいけど」
良いんかい。
「ともかくあたしは適当に時間潰して行くから。先行っててよ」
あたしがそう言うと、木々羅は降参とばかりに手を挙げた。それからハイハイ、と呟いて学校へと向かう。
「一体何で木々羅はあんなにあたしに構ってくるんだろ」
コンビニへと向かうあたしが呟いた声は、じわじわと鳴くセミの声に溶けて、消えていった。
全校生徒約六百人。近所では有名な、マンモス校だ。
ちなみに木々羅は一年生ながらにしてすでに生徒会として活動しており、多くの人望を集めている。
ファンクラブもあるので、将来の生徒会長としてほぼ確実であると言えるだろう。
そんな木々羅があたしの顔が好きだと分かった昨日から、鬱陶しいくらい付きまとってくるのだが、今日のこの登校中もそうであった。
まず、あたしにバレないように、コソコソと後ろを着いてくる。真面目にストーカーとしか言えない状況。
後ろを振り返れば、ある時は壁に同化し、またある時は電柱の影から覗く顔が見え隠れし、そのまたある時は自分の真後ろにいたりする。
メリーさんかよ。
「あのさ、ウザいんだけど」
「あ、いや、ごめん。行く時間重なっちゃったから、せめて一緒に歩いてるように見えないようにしたんだけど……」
「ずっとストーカーされてたのかと思ってたわ」
ボケているとしか思えない回答に思わずあたしがツッコむと、彼は何とも言えないような顔をした。
「あのさ、一緒に学校行かない?」
「ごめんそれだけは無理」
木々羅と一緒に登校したい女の子なんて、桜木高校には山ほどいるだろう。
その中にはモデル並みにスタイル良かったり、可愛くてコミュ力の権化みたいな女の子達がいるはずだ。
そんな子達に木々羅と共に登校するあたしが遭遇した場合どうなるか。
やっかみの嵐に逢い、ただでさえいない友達から何もしていないのに嫌われるという悲惨なことになる。
あたしが普段から愛想が悪いからそんなことになる可能性があるというのも原因の一つなのは、否定しないけれど。
「深澤さんのツンデレ」
「ふざけたことぬかしてたらあんたの部屋写真に撮ってモザイクかけてグループLINEに流すよ」
あ、でもそもそもグループLINE入ってないわ、あたし。
「別にいいけど」
良いんかい。
「ともかくあたしは適当に時間潰して行くから。先行っててよ」
あたしがそう言うと、木々羅は降参とばかりに手を挙げた。それからハイハイ、と呟いて学校へと向かう。
「一体何で木々羅はあんなにあたしに構ってくるんだろ」
コンビニへと向かうあたしが呟いた声は、じわじわと鳴くセミの声に溶けて、消えていった。
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