13 / 42
第三章 名探偵 かめ あらわる
突然のクライマックス
しおりを挟む
あたしの腕を掴みながら音もなく廊下に躍り出た男は、居間の扉の手前まで来るとあたしに頭を伏せるように指示した。
あたしは四つん這いになってから、額から冷や汗が垂れるのに気がついたの。
あわわ。
完ッ 全 に 巻き込まれちゃったわ!
あたしって傍から見たら、この男の仲間にしか見えないわよね?
新一にどうやって言い訳しようかを必死に考えていたら、部屋の中にいる男たちの声がハッキリと耳に聞こえてきた。
「それで、例の物は?」
「確認してくれ。」
風呂敷が解かれる衣擦れのような音とともに、男たちから感嘆のため息が漏れた。
「弾は?
装填はされているのか?」
「いや、まさか。
こちらの小袋に入っている。
本体は、明日すぐに使えるように整備しておいた。」
「全部で5丁か・・・よく集められたな。」
「『期待している』と、私の主からの言伝だ。」
ボソボソと話す声と微かに金属のぶつかる音。
詳細は分からないけれど、何だか物騒な雰囲気だけはあたしにも伝わった。
こ、怖いわ。
明日といえば仮面舞踏会。
誰に、何をする気なのかしら?
四つん這いになったあたしの足は小刻みに震え出した。
失敗した。こんなことになるなら、探偵の真似事なんて、するべきではなかった。
新一との約束も、破らなきゃ良かった・・・。
震えが止まらないあたしを察してか、外套の男はあたしの肩にゆっくりと手を回した。「大丈夫ですよ。」
それからそっとあたしに顔を近づけると、憂いある色を含んだ黒い瞳を曇らせてこう言った。
「見ず知らずの君を巻き込むつもりはありません。
中の奴らが風呂敷包みを譲渡する場面になったら、私はこの部屋に突入する。
君はその隙にこの建物から逃げてください。」
え、このヤバそうな部屋に入る気なの?
あたしは慌てて、男の外套の裾を引っ張った。
「早まらないで!」
「よく事情は分からないけど、若くて色男なのに勿体ない!
・・・じゃなくて、無茶なことはしないで!
あなたが怪我をしたら悲しむ人が居るだろうし、人類の損失ははかりしれないわ。」
だって色男は希少なのよーッ!
「あなたが思っているより、人間の生命は儚いの。
だから、1日でも悔いのないように生きて!」
あたしはまだ15歳だけど、幼い時に両親を事故で一度に亡くしているから、生命の尊さは身に沁みて理解している。
だから、目の前で生命を粗末にしようとする人を放って置くわけにはいかないわ。
あたしの言葉に男は大きい瞳をもっと見開いて、あたしの向こう側を凝視した。
「私が居なくなったら、喜ぶ人間は居るが悲しむ人間は居ないと思う。」
わーん、頑固者!
ちっとも気持ちが伝わらないわ。
どうしたら、冷静になってもらえるのかしら。
・・・あ、そうだ。
あたしは廊下の床に座り直して、肩に乗せられた男の腕を手に取った。
それから手のひらを引き寄せて、その親指の付け根を優しく押した。
「な、何をする?」
「あのね、知人が教えてくれたんだけど、こうすると緊張や疲れがほぐれるの。
あなたは頭が凝り固まってるみたいだから、少しでも柔らかくなってほしくて。」
男は拍子が抜けたような顔をして、黙ってあたしにされるがままになっていた。
イイ子ね。脱力したほうが、効果が出るのよ。
「例えば、固い物と固い物がぶつかると割れちゃうけど、柔らかい物同士なら割れないでしょ。
あいつらと何があったかは知らないけど、忘れてみない?
大体は水に流せるもんよ。」
指圧のせいか、冷たくなっていた男の細くて固い手のひらが、徐々に温かさを取り戻してきた。
「確かに。解されると、とても気持ちがいいです。」
そうそう。
あたしも初めて新一に指圧された時は、そう思った・・・と言いかけた時、
男は急にあたしをその胸にガバッと引き寄せ、抱きしめたのよ!
ええーーー!!
「ありがとう。
貴女に感謝する。」
男の硬い頬と唇があたしの首元に触れ、ハスキーな声があたしの耳を占めた。
死ぬ死ぬ、死んじゃう!
あたしは思春期真っただ中‼
その瞬間、あたしは階段側の通路へと思いきり突き飛ばされたのよ!
ド ン‼
「キャアッ!
危ないじゃない、何するのッ⁉」
つんのめりながら後方を振り返ると、男はすでに居間の中へと突入していて、複数の男たちの怒号と破壊音が廊下まで響いた。
怖い、逃げなきゃだわ!
後ろは見ずに転がり落ちるように階段を降りて1階に行き、その勢いのまま廊下を突っ走って裏口までたどり着いたのだけど、あたしは何とも言えない違和感にそのまま足を止めた。
だって、来た時に使用人たちでごった返していた裏口はガランとしていて、誰も居なかったのよ。
な、何で?
あり得ないわ。
頭が誤作動する。
まさか、あいつらが来る前に人払いでもしたとか?
そのまま、何も考えずに外に逃げれば良かったのだけど、まだあたしの体には、外套の男に抱きしめられた感触と、耳元に当たる暖かな吐息が残っていた。
良心と悪意があたしの心をせめぎ合って、あたしはついに踵を返した。
決めた。
あの男を助けよう!
あたしだけ、逃げるわけにはいかないわ。
でも人っ子一人見当たらないこの状況じゃ、助けを呼ぶこともできない!
しかも、和館に人を呼びに行くにも、その間に男が殺されてしまう可能性もあるから、ここであたしが何とかしなきゃならないんだ。
あたしはない脳味噌を必死にかき回した。
1階で何か武器になりそうなものは無かったかしら?
厨房に包丁はあるわね。
でも、ひ弱な女が包丁を1本振り回したところで、男たちに取り押さえられておしまいよ。
その時何かが爆発するような凄まじい音が天井を揺らして、ドタドタと複数の人間が走り回る足音が聞こえた。
わーん、時間がない!
天井の隙間から零れ落ちる埃を見て、あたしはハッと思いついた。
あッ、そうよ。
あれならイケるわ!
あたしは奥の厨房へと全速力で走った。
それから、厨房で1番大きな生ゴミを溜めている樽と不燃ゴミの木箱を持ち上げ、竈の横に置いた。
樽の蓋を取ると、この世の物とは思えない匂いが辺りに充満した。
ウッ、臭いわ。
悪臭に耐えながら竈に薪と新聞紙を焚べて、マッチの火を投げ入れたあたしは、竈の内部が赤く燃えるのを見計らって、竹筒を懸命に吹いた。
フーフー!
早く竈全体に燃え広がってよ‼
勢いよく炎が燃え盛ったところで、樽と木箱を逆さにしたあたしは、竈めがけて中身を全てぶちまけた。
すぐに変な汁やら魚の頭やらが燃えたり蒸発したりして、黒い煙が竈全体からモクモクと出てきた。
いつも生ゴミや不燃ゴミを外で燃やすと、信じられないくらい黒い煙が立ち昇るの。
今回はそれを利用して、火事が起きたと思わせようってわけ。
あたしは厨房の窓と扉を開け放って思いきり叫んだ。
「火事よー!」
フライパンに延べ棒をガンガンと叩きつけ、叫びながら階段を駆け上がる。
黒い煙もあたしの後ろからサアァと立ち昇ると、あっという間に部屋の半分を埋めつくした。
「火事です!
厨房から火が出ました!
燃えています!!
誰か居るなら早く逃げて!」
階段を登りきるきると、すぐに居間から黒ずくめの男たちが走ってくるのが見えた。
「早く逃げろ!」
「ゲホッ、ひでぇ匂いだ‼」
「あいつはどうするんだ?」
「捨て置け、行くぞ。」
1人だけ覆面に着物姿の男が、残酷な言葉を放った。
「火事なら証拠は残らない。
むしろ好都合だ。」
ええ、もう殺しちゃったの⁉
あたしが呆然と立ちすくむ横を男たちが足早に駆け抜ける。
モクモクとした黒い煙が2階まで立ち上ってきて視界も悪いし、男たちは黒い覆面を被っていて顔は見えなかったのだけど、その1人があたしの横を通った時、よく知ってる爽やかな匂いがした。
これ、知ってるわ!
松の木の匂いよ・・・。
後ろ髪を引かれる思いをしながらも、男の1人を呼び止めるわけにもいかず、あたしは全員が去るのを待ってから、居間に飛び込んだ。
机や椅子、壁に掛けられた額が不調和に倒れたり、転がったりしているのが目に入った。
よく見ると、赤い血のようなものが点々と絨毯を汚している。
その点を追って行きついた先に、あたしは思わず悲鳴をあげた。
「きゃッ・・・⁉」
荒された居間の窓側で、外套の男がうつ伏せに倒れていた。
あたしは四つん這いになってから、額から冷や汗が垂れるのに気がついたの。
あわわ。
完ッ 全 に 巻き込まれちゃったわ!
あたしって傍から見たら、この男の仲間にしか見えないわよね?
新一にどうやって言い訳しようかを必死に考えていたら、部屋の中にいる男たちの声がハッキリと耳に聞こえてきた。
「それで、例の物は?」
「確認してくれ。」
風呂敷が解かれる衣擦れのような音とともに、男たちから感嘆のため息が漏れた。
「弾は?
装填はされているのか?」
「いや、まさか。
こちらの小袋に入っている。
本体は、明日すぐに使えるように整備しておいた。」
「全部で5丁か・・・よく集められたな。」
「『期待している』と、私の主からの言伝だ。」
ボソボソと話す声と微かに金属のぶつかる音。
詳細は分からないけれど、何だか物騒な雰囲気だけはあたしにも伝わった。
こ、怖いわ。
明日といえば仮面舞踏会。
誰に、何をする気なのかしら?
四つん這いになったあたしの足は小刻みに震え出した。
失敗した。こんなことになるなら、探偵の真似事なんて、するべきではなかった。
新一との約束も、破らなきゃ良かった・・・。
震えが止まらないあたしを察してか、外套の男はあたしの肩にゆっくりと手を回した。「大丈夫ですよ。」
それからそっとあたしに顔を近づけると、憂いある色を含んだ黒い瞳を曇らせてこう言った。
「見ず知らずの君を巻き込むつもりはありません。
中の奴らが風呂敷包みを譲渡する場面になったら、私はこの部屋に突入する。
君はその隙にこの建物から逃げてください。」
え、このヤバそうな部屋に入る気なの?
あたしは慌てて、男の外套の裾を引っ張った。
「早まらないで!」
「よく事情は分からないけど、若くて色男なのに勿体ない!
・・・じゃなくて、無茶なことはしないで!
あなたが怪我をしたら悲しむ人が居るだろうし、人類の損失ははかりしれないわ。」
だって色男は希少なのよーッ!
「あなたが思っているより、人間の生命は儚いの。
だから、1日でも悔いのないように生きて!」
あたしはまだ15歳だけど、幼い時に両親を事故で一度に亡くしているから、生命の尊さは身に沁みて理解している。
だから、目の前で生命を粗末にしようとする人を放って置くわけにはいかないわ。
あたしの言葉に男は大きい瞳をもっと見開いて、あたしの向こう側を凝視した。
「私が居なくなったら、喜ぶ人間は居るが悲しむ人間は居ないと思う。」
わーん、頑固者!
ちっとも気持ちが伝わらないわ。
どうしたら、冷静になってもらえるのかしら。
・・・あ、そうだ。
あたしは廊下の床に座り直して、肩に乗せられた男の腕を手に取った。
それから手のひらを引き寄せて、その親指の付け根を優しく押した。
「な、何をする?」
「あのね、知人が教えてくれたんだけど、こうすると緊張や疲れがほぐれるの。
あなたは頭が凝り固まってるみたいだから、少しでも柔らかくなってほしくて。」
男は拍子が抜けたような顔をして、黙ってあたしにされるがままになっていた。
イイ子ね。脱力したほうが、効果が出るのよ。
「例えば、固い物と固い物がぶつかると割れちゃうけど、柔らかい物同士なら割れないでしょ。
あいつらと何があったかは知らないけど、忘れてみない?
大体は水に流せるもんよ。」
指圧のせいか、冷たくなっていた男の細くて固い手のひらが、徐々に温かさを取り戻してきた。
「確かに。解されると、とても気持ちがいいです。」
そうそう。
あたしも初めて新一に指圧された時は、そう思った・・・と言いかけた時、
男は急にあたしをその胸にガバッと引き寄せ、抱きしめたのよ!
ええーーー!!
「ありがとう。
貴女に感謝する。」
男の硬い頬と唇があたしの首元に触れ、ハスキーな声があたしの耳を占めた。
死ぬ死ぬ、死んじゃう!
あたしは思春期真っただ中‼
その瞬間、あたしは階段側の通路へと思いきり突き飛ばされたのよ!
ド ン‼
「キャアッ!
危ないじゃない、何するのッ⁉」
つんのめりながら後方を振り返ると、男はすでに居間の中へと突入していて、複数の男たちの怒号と破壊音が廊下まで響いた。
怖い、逃げなきゃだわ!
後ろは見ずに転がり落ちるように階段を降りて1階に行き、その勢いのまま廊下を突っ走って裏口までたどり着いたのだけど、あたしは何とも言えない違和感にそのまま足を止めた。
だって、来た時に使用人たちでごった返していた裏口はガランとしていて、誰も居なかったのよ。
な、何で?
あり得ないわ。
頭が誤作動する。
まさか、あいつらが来る前に人払いでもしたとか?
そのまま、何も考えずに外に逃げれば良かったのだけど、まだあたしの体には、外套の男に抱きしめられた感触と、耳元に当たる暖かな吐息が残っていた。
良心と悪意があたしの心をせめぎ合って、あたしはついに踵を返した。
決めた。
あの男を助けよう!
あたしだけ、逃げるわけにはいかないわ。
でも人っ子一人見当たらないこの状況じゃ、助けを呼ぶこともできない!
しかも、和館に人を呼びに行くにも、その間に男が殺されてしまう可能性もあるから、ここであたしが何とかしなきゃならないんだ。
あたしはない脳味噌を必死にかき回した。
1階で何か武器になりそうなものは無かったかしら?
厨房に包丁はあるわね。
でも、ひ弱な女が包丁を1本振り回したところで、男たちに取り押さえられておしまいよ。
その時何かが爆発するような凄まじい音が天井を揺らして、ドタドタと複数の人間が走り回る足音が聞こえた。
わーん、時間がない!
天井の隙間から零れ落ちる埃を見て、あたしはハッと思いついた。
あッ、そうよ。
あれならイケるわ!
あたしは奥の厨房へと全速力で走った。
それから、厨房で1番大きな生ゴミを溜めている樽と不燃ゴミの木箱を持ち上げ、竈の横に置いた。
樽の蓋を取ると、この世の物とは思えない匂いが辺りに充満した。
ウッ、臭いわ。
悪臭に耐えながら竈に薪と新聞紙を焚べて、マッチの火を投げ入れたあたしは、竈の内部が赤く燃えるのを見計らって、竹筒を懸命に吹いた。
フーフー!
早く竈全体に燃え広がってよ‼
勢いよく炎が燃え盛ったところで、樽と木箱を逆さにしたあたしは、竈めがけて中身を全てぶちまけた。
すぐに変な汁やら魚の頭やらが燃えたり蒸発したりして、黒い煙が竈全体からモクモクと出てきた。
いつも生ゴミや不燃ゴミを外で燃やすと、信じられないくらい黒い煙が立ち昇るの。
今回はそれを利用して、火事が起きたと思わせようってわけ。
あたしは厨房の窓と扉を開け放って思いきり叫んだ。
「火事よー!」
フライパンに延べ棒をガンガンと叩きつけ、叫びながら階段を駆け上がる。
黒い煙もあたしの後ろからサアァと立ち昇ると、あっという間に部屋の半分を埋めつくした。
「火事です!
厨房から火が出ました!
燃えています!!
誰か居るなら早く逃げて!」
階段を登りきるきると、すぐに居間から黒ずくめの男たちが走ってくるのが見えた。
「早く逃げろ!」
「ゲホッ、ひでぇ匂いだ‼」
「あいつはどうするんだ?」
「捨て置け、行くぞ。」
1人だけ覆面に着物姿の男が、残酷な言葉を放った。
「火事なら証拠は残らない。
むしろ好都合だ。」
ええ、もう殺しちゃったの⁉
あたしが呆然と立ちすくむ横を男たちが足早に駆け抜ける。
モクモクとした黒い煙が2階まで立ち上ってきて視界も悪いし、男たちは黒い覆面を被っていて顔は見えなかったのだけど、その1人があたしの横を通った時、よく知ってる爽やかな匂いがした。
これ、知ってるわ!
松の木の匂いよ・・・。
後ろ髪を引かれる思いをしながらも、男の1人を呼び止めるわけにもいかず、あたしは全員が去るのを待ってから、居間に飛び込んだ。
机や椅子、壁に掛けられた額が不調和に倒れたり、転がったりしているのが目に入った。
よく見ると、赤い血のようなものが点々と絨毯を汚している。
その点を追って行きついた先に、あたしは思わず悲鳴をあげた。
「きゃッ・・・⁉」
荒された居間の窓側で、外套の男がうつ伏せに倒れていた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
(完結)親友の未亡人がそれほど大事ですか?
青空一夏
恋愛
「お願いだよ。リーズ。わたしはあなただけを愛すると誓う。これほど君を愛しているのはわたしだけだ」
婚約者がいる私に何度も言い寄ってきたジャンはルース伯爵家の4男だ。
私には家族ぐるみでお付き合いしている婚約者エルガー・バロワ様がいる。彼はバロワ侯爵家の三男だ。私の両親はエルガー様をとても気に入っていた。優秀で冷静沈着、理想的なお婿さんになってくれるはずだった。
けれどエルガー様が女性と抱き合っているところを目撃して以来、私はジャンと仲良くなっていき婚約解消を両親にお願いしたのだった。その後、ジャンと結婚したが彼は・・・・・・
※この世界では女性は爵位が継げない。跡継ぎ娘と結婚しても婿となっただけでは当主にはなれない。婿養子になって始めて当主の立場と爵位継承権や財産相続権が与えられる。西洋の史実には全く基づいておりません。独自の異世界のお話しです。
※現代的言葉遣いあり。現代的機器や商品など出てくる可能性あり。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる