19 / 38
#19 猿渡うらら
しおりを挟む
どんよりした低くて厚ぼったい灰色の雲からは、冷たい雫がいつ落ちてきてもおかしくない空模様でした。
下校時、私はひとりで五色邸へと自転車を走らせていました。
実家へは徒歩15分くらいで着くのですが、五色邸に帰るには自転車でも30分はかかってしまいます。
以前に紘次郎が自転車で走った近道を思い出そうとしても、あの時は頭がふわふわしていたのでどこをどう走ったのか自分の記憶に自信がありませんでした。
雲が広がっているせいかいつもより辺りが薄暗かったので、街灯がある大きな通りを選んで走っていると女中の八重子とすれ違いました。
「あら、みつきさま! お帰りなさいませ。」
買い物かごを腕に下げて澄まし顔で歩いていた八重子は、一度立ち止まってからその場でおじぎをしました。
「ごきげんよう。」
私も慌てて自転車のサドルから降りて会釈しました。
「お買い物ですか?」
「ええ。豆腐屋のラッパが聞こえましてね。」
振り返ると三輪車の荷台に大きな箱を乗せたお豆腐屋さんが主婦たちに囲まれていました。
あの白い箱の中にはできたての豆腐や油揚げがぎっしりと詰まっているのでしょう。景気の良いラッパの音色に吸い込まれるようにどんどん人垣が増えていきました。
「それでは、またあとで。雨が降りそうですから急いでお帰りになってくださいね。」
軽く頭を下げた八重子に、私はためらいつつも追いすがりました。
「あの、今日の麗さまのご予定はご存知ですか?」
この一週間は麗さまと私はすれ違いの日が多くて、週末以外は顔を合わせないことが多かったのです。
お仕事でお忙しいことは重々承知しているので、私からは予定を聞くことを避けていたのですが、今日は譲れない胸に秘めたことがあるので思い切って八重子に聞いてしまいました。
「いえ、今日のご予定は会議だと聞いていますから、そのあとの飲み会にも強制参加で午前様ですね。」
「そうですか・・・。」
私はがっかりして、うなだれました。
昼休みにようこと【猿渡】と名乗る少女のことを聞いて以来、麗さまと話をしたかったのに・・・。
「何回もごめんなさい。
つかぬことを聞くけども、八重子は【猿渡】という女性について何かご存知ではありませんか?」
「【うらら】さまなら、今はお屋敷にいませんよ。」
【うらら】は今は居ない?
私は予想していなかった八重子の言葉に、ドキリとしました。
「【猿渡うらら】は女装しているときの麗さまの源氏名だと、私はうかがっていたのだけど・・・。」
八重子がハッとした顔をしたあと、気まずそうに顔をそむけました。
「うう。あたしゃ、また余計なこと言っちゃいましたかね・・・。」
「お願いよ、八重子。私には大事なことだから教えてほしいの。
その方はどんな方なの?」
「私から聞いたとは、麗さまに言わないでくださいね。」
しぶしぶ前置きした八重子が、声をひそめて言いました。
「麗さまが、とても大切に思っているかたですわ。」
※
その日の私は目が冴えてしまい、なかなか寝つけませんでした。
【猿渡うらら】は、麗さまの【大切に思っている方】
その方がなぜ、私を騙して偽の手紙を書いたり舞台から突き落とすようなことをしたのでしょうか・・・。
しかも、女装をしている麗さまが【うらら】と名乗る理由は?
考えれば考えるほどに頭の中は混乱して焦れったく、なかなか眠気はやって来そうにないのです。
零時を少し過ぎたころ、私は身体を起こして枕元の灯りに手を伸ばしました。
さて、これからどうしましょう。
実家ならともかく、夜更けに不眠で徘徊している令嬢なんて、五色家では不良だと思われるに決まっていますから、廊下の突き当りにあるお手洗いに行って帰ってくるのが関の山でしょうか。
私はそっと浴衣に羽織をひっかけて寝所を出てみました。
素足のままで庭に面した廊下に出ると、木の床なのに氷を踏んでいるようです。
足裏から伝わる冷気が全身を細かく震えさせて、余計に目が覚めてしまいました。
スイッチ一つで電気が点く洋風の実家に慣れている私にとって、日本家屋の五色家の夜は灯りが乏しくて少し怖いように思えるのでした。
特に歩くたびにミシ・・・ミシ・・・と音を立てる木の廊下は、余計な想像力をかきたてるのに充分すぎるほど。
私はなるべく周りを見ないようにしながら、携帯ランプの仄暗い灯を手にお手洗いに行くことにしました。
帰りもなるべく早く帰ろうと思いながら手水で手を清めていると、肩にヒヤリとした感触が・・・。
「キャ・・・。」
思わず携帯ランプを投げ捨てて声をあげようとした私の口が、誰かの大きな手でふさがれました。
「ごめんね。」
その手の主は、芳醇な果実のような匂いを漂わせた麗さまでした。
軍服のシャツの胸元をはだけた顔はほんのり赤く上気していて、色気が増しているに見えます。
私は麗さまの温かい手の感触を感じながら、携帯ランプを持ちなおしました。
「お帰りなさいませ。麗さまで良かったわ。
私、もしやお化けかと。」
「お化け?
ああ、みつきも見えたのかい?」
「エッ。」
「ほら、そこに足のない女性がひとり・・・!」
「ヒッ!」
思わず麗さまの腕にすがりついて顔を隠すと「クックック・・・」と、頭の上から麗さまの含み笑いが聞こえたのです。
「冗談だよ。
みつきがあんまりにも素直だから、イジワルしたくなるんだよねえ。」
私は麗さまの引き締まった硬い腕から身を離すと、頬をふくらませました。
「ひどいわ、麗さまったら。私、実家に帰らせていただきますよ。」
「それはだめ。」
私の浴衣の裾をそっと握りながら、麗さまが真剣な面持ちで言いました。
「冗談でも、そんなことは言わないで。」
「はい、あの・・・申し訳ありません。」
前にも感じた、あのふわふわした心地よい感情に揺られながら、私は麗さまから目が離せなくなりました。
この方は今は女装をされていないのに、どうしてこんなに魅惑的なの?
「ねえ、起きたついでに庭を一緒に散歩しない? みつきに見せたいものがあるんだ。」
下校時、私はひとりで五色邸へと自転車を走らせていました。
実家へは徒歩15分くらいで着くのですが、五色邸に帰るには自転車でも30分はかかってしまいます。
以前に紘次郎が自転車で走った近道を思い出そうとしても、あの時は頭がふわふわしていたのでどこをどう走ったのか自分の記憶に自信がありませんでした。
雲が広がっているせいかいつもより辺りが薄暗かったので、街灯がある大きな通りを選んで走っていると女中の八重子とすれ違いました。
「あら、みつきさま! お帰りなさいませ。」
買い物かごを腕に下げて澄まし顔で歩いていた八重子は、一度立ち止まってからその場でおじぎをしました。
「ごきげんよう。」
私も慌てて自転車のサドルから降りて会釈しました。
「お買い物ですか?」
「ええ。豆腐屋のラッパが聞こえましてね。」
振り返ると三輪車の荷台に大きな箱を乗せたお豆腐屋さんが主婦たちに囲まれていました。
あの白い箱の中にはできたての豆腐や油揚げがぎっしりと詰まっているのでしょう。景気の良いラッパの音色に吸い込まれるようにどんどん人垣が増えていきました。
「それでは、またあとで。雨が降りそうですから急いでお帰りになってくださいね。」
軽く頭を下げた八重子に、私はためらいつつも追いすがりました。
「あの、今日の麗さまのご予定はご存知ですか?」
この一週間は麗さまと私はすれ違いの日が多くて、週末以外は顔を合わせないことが多かったのです。
お仕事でお忙しいことは重々承知しているので、私からは予定を聞くことを避けていたのですが、今日は譲れない胸に秘めたことがあるので思い切って八重子に聞いてしまいました。
「いえ、今日のご予定は会議だと聞いていますから、そのあとの飲み会にも強制参加で午前様ですね。」
「そうですか・・・。」
私はがっかりして、うなだれました。
昼休みにようこと【猿渡】と名乗る少女のことを聞いて以来、麗さまと話をしたかったのに・・・。
「何回もごめんなさい。
つかぬことを聞くけども、八重子は【猿渡】という女性について何かご存知ではありませんか?」
「【うらら】さまなら、今はお屋敷にいませんよ。」
【うらら】は今は居ない?
私は予想していなかった八重子の言葉に、ドキリとしました。
「【猿渡うらら】は女装しているときの麗さまの源氏名だと、私はうかがっていたのだけど・・・。」
八重子がハッとした顔をしたあと、気まずそうに顔をそむけました。
「うう。あたしゃ、また余計なこと言っちゃいましたかね・・・。」
「お願いよ、八重子。私には大事なことだから教えてほしいの。
その方はどんな方なの?」
「私から聞いたとは、麗さまに言わないでくださいね。」
しぶしぶ前置きした八重子が、声をひそめて言いました。
「麗さまが、とても大切に思っているかたですわ。」
※
その日の私は目が冴えてしまい、なかなか寝つけませんでした。
【猿渡うらら】は、麗さまの【大切に思っている方】
その方がなぜ、私を騙して偽の手紙を書いたり舞台から突き落とすようなことをしたのでしょうか・・・。
しかも、女装をしている麗さまが【うらら】と名乗る理由は?
考えれば考えるほどに頭の中は混乱して焦れったく、なかなか眠気はやって来そうにないのです。
零時を少し過ぎたころ、私は身体を起こして枕元の灯りに手を伸ばしました。
さて、これからどうしましょう。
実家ならともかく、夜更けに不眠で徘徊している令嬢なんて、五色家では不良だと思われるに決まっていますから、廊下の突き当りにあるお手洗いに行って帰ってくるのが関の山でしょうか。
私はそっと浴衣に羽織をひっかけて寝所を出てみました。
素足のままで庭に面した廊下に出ると、木の床なのに氷を踏んでいるようです。
足裏から伝わる冷気が全身を細かく震えさせて、余計に目が覚めてしまいました。
スイッチ一つで電気が点く洋風の実家に慣れている私にとって、日本家屋の五色家の夜は灯りが乏しくて少し怖いように思えるのでした。
特に歩くたびにミシ・・・ミシ・・・と音を立てる木の廊下は、余計な想像力をかきたてるのに充分すぎるほど。
私はなるべく周りを見ないようにしながら、携帯ランプの仄暗い灯を手にお手洗いに行くことにしました。
帰りもなるべく早く帰ろうと思いながら手水で手を清めていると、肩にヒヤリとした感触が・・・。
「キャ・・・。」
思わず携帯ランプを投げ捨てて声をあげようとした私の口が、誰かの大きな手でふさがれました。
「ごめんね。」
その手の主は、芳醇な果実のような匂いを漂わせた麗さまでした。
軍服のシャツの胸元をはだけた顔はほんのり赤く上気していて、色気が増しているに見えます。
私は麗さまの温かい手の感触を感じながら、携帯ランプを持ちなおしました。
「お帰りなさいませ。麗さまで良かったわ。
私、もしやお化けかと。」
「お化け?
ああ、みつきも見えたのかい?」
「エッ。」
「ほら、そこに足のない女性がひとり・・・!」
「ヒッ!」
思わず麗さまの腕にすがりついて顔を隠すと「クックック・・・」と、頭の上から麗さまの含み笑いが聞こえたのです。
「冗談だよ。
みつきがあんまりにも素直だから、イジワルしたくなるんだよねえ。」
私は麗さまの引き締まった硬い腕から身を離すと、頬をふくらませました。
「ひどいわ、麗さまったら。私、実家に帰らせていただきますよ。」
「それはだめ。」
私の浴衣の裾をそっと握りながら、麗さまが真剣な面持ちで言いました。
「冗談でも、そんなことは言わないで。」
「はい、あの・・・申し訳ありません。」
前にも感じた、あのふわふわした心地よい感情に揺られながら、私は麗さまから目が離せなくなりました。
この方は今は女装をされていないのに、どうしてこんなに魅惑的なの?
「ねえ、起きたついでに庭を一緒に散歩しない? みつきに見せたいものがあるんだ。」
3
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
女の子大好きな色男に惚れた騎士隊長は、BL展開のつもりでいました
ミクリ21
恋愛
女の子大好きな色男の魔法剣士のマリウス。
彼に惚れてしまった騎士隊長のジョルテは、BL展開になってもいいから積極的にアピールをする。
女の子大好きなマリウスは、当然それを迷惑がっていた。
誰もがマリウスを男だと思っていたので、誰もがBLだと思っていた………しかし!
実はマリウスは………男じゃなくて女だった!?
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。
光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。
昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。
逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。
でも、私は不幸じゃなかった。
私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。
彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。
私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー
例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。
「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」
「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」
夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。
カインも結局、私を裏切るのね。
エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。
それなら、もういいわ。全部、要らない。
絶対に許さないわ。
私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー!
覚悟していてね?
私は、絶対に貴方達を許さないから。
「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。
私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。
ざまぁみろ」
不定期更新。
この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる