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第六章「雌雄を決する時」

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「私は、おのれの考えを過信するあまり、誤った判断を下してしまいました。みずから責任を取り、役職を辞して宮廷を去りたく存じます」
「たわむれを申すな、アンブローネよ。何はともあれ、エゼキウス王との戦いには勝ったのだ。それもこれも、おまえの見事な采配があったればこそ」
 暴君ダリオンは、魔女アンブローネを引き留めるべく再三にわたり翻意をうながした。
 望みがあれば何でも与えるし、おのれに至らぬ点があれば悔いあたらめるとまで言った。
 しかし、それでもアンブローネの決心は変わらなかった。
 暴君ダリオンとて、いまや一族郎党を率いる豪族の頭領ではない。いくつもの国家や民族からなる大帝国の君主なのだ。
 たたでさえ愛人関係にあるのではないかと疑われているのに、名だたる諸侯らを差し置いて自分の側近ばかり重用するわけにはいかない。
 魔女アンブローネが下したこの決断の背景には、暴君ダリオンの後継者をめぐる宮廷内の不和があったとも言われる。
 アンブローネは、旧王朝を支持する派閥を排除して安定した支配体制を築くべく、かねてより血筋を重んじて御曹司ゲリオンを跡継ぎに推していた。
 その一方でダリオン自身は、過去に不祥事を起こした件もあって、自分の甥に当たるゲリオンをあまり好ましく思っていなかった。
 若かりしころの自分と似ていて我が強く、それでいて曲がった根性を持っており、いずれ手がつけられなくなると感じていたからだ。
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