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第一章「絶倫王」
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「――者共、かかれ!」
ダリオン将軍は、天にかざした剣を振り下ろして帝都エルドランドへ軍勢をけしかける。
「朕は出陣する! 家来たちよ、ついて参れ!」
皇太子アクセル二世は、幼君であっても決して臆病ではなかった。
かの偉大なる皇帝と称えられた父親アクセル一世の背中を見て育っただけに、いささか勇猛に過ぎたとも言えよう。
「早まってはならぬと申したはずですぞ、太子!」
賢者グリフィムは、武装した家臣たちが取り巻く物騒な宮中にあって、あくまでも籠城を主張する。
「今はただ、時が来るまで城にこもって守りを固めておればよいのです! 皇帝へご即位遊ばれたのち、あらためて天下に号令なされば、帝国各地の諸侯らがお味方に馳せ参じましょう!」
「ええい邪魔だ、ずる剥けの亀頭め! 地下牢にぶち込んでしまえ!」
皇太子アクセル二世は、しつこく裳裾にすがる賢者グリフィムを足蹴にして、鞭打ちの刑を与えた。
当時まだ十代半ばと若かった皇太子アクセル二世は、みずから陣頭に立って指揮を執り、城門を開けていざ野戦へ打って出た。
雨のごとく降りそそぐ矢をかえりみず、果敢にも馬を駆って奇襲を仕掛ける。敵の包囲が崩れたのを見て、これまで守備に徹していた兵士たちも気勢を上げて攻勢に転じる。
「まんまと罠にかかりましたね」
魔女アンブローネは、漆黒のベールで素顔を隠してほくそ笑む。
皇太子アクセル二世が率いる軍勢は、まるで申し合わせたように反旗をひるがえしてダリオン軍へ寝返った。
前後左右に敵味方が入り乱れ、たちまち混乱に陥る。
「おのれ、逆賊ダリオンはどこだ! 正々堂々この朕と一騎打ちをせい! 貴様の尻穴に我が槍を突き刺してくれようぞ!」
「ふん、まだろくに皮も剥けておらぬ青二才めが。二度とそんな減らず口が利けぬよう、それがしが喉奥まで巨根をくわえさせてやろう」
勝負はあっけなく決まった。まるで歯が立たなかったと言っていい。
「皇太子を殺めてはなりません。人質として捕らえるのです」
「我が最愛の妻アクセラの仇だ。このまま生かしてはおけん」
「ですが、童貞を手にかければ旦那様の名誉に傷がつきます。王家の末裔たる男子を処断したとあっては、はたして民衆はどう思うでしょう?」
「ならばこの代償は、処女の血をもってあがなわん」
ダリオン将軍は、天にかざした剣を振り下ろして帝都エルドランドへ軍勢をけしかける。
「朕は出陣する! 家来たちよ、ついて参れ!」
皇太子アクセル二世は、幼君であっても決して臆病ではなかった。
かの偉大なる皇帝と称えられた父親アクセル一世の背中を見て育っただけに、いささか勇猛に過ぎたとも言えよう。
「早まってはならぬと申したはずですぞ、太子!」
賢者グリフィムは、武装した家臣たちが取り巻く物騒な宮中にあって、あくまでも籠城を主張する。
「今はただ、時が来るまで城にこもって守りを固めておればよいのです! 皇帝へご即位遊ばれたのち、あらためて天下に号令なされば、帝国各地の諸侯らがお味方に馳せ参じましょう!」
「ええい邪魔だ、ずる剥けの亀頭め! 地下牢にぶち込んでしまえ!」
皇太子アクセル二世は、しつこく裳裾にすがる賢者グリフィムを足蹴にして、鞭打ちの刑を与えた。
当時まだ十代半ばと若かった皇太子アクセル二世は、みずから陣頭に立って指揮を執り、城門を開けていざ野戦へ打って出た。
雨のごとく降りそそぐ矢をかえりみず、果敢にも馬を駆って奇襲を仕掛ける。敵の包囲が崩れたのを見て、これまで守備に徹していた兵士たちも気勢を上げて攻勢に転じる。
「まんまと罠にかかりましたね」
魔女アンブローネは、漆黒のベールで素顔を隠してほくそ笑む。
皇太子アクセル二世が率いる軍勢は、まるで申し合わせたように反旗をひるがえしてダリオン軍へ寝返った。
前後左右に敵味方が入り乱れ、たちまち混乱に陥る。
「おのれ、逆賊ダリオンはどこだ! 正々堂々この朕と一騎打ちをせい! 貴様の尻穴に我が槍を突き刺してくれようぞ!」
「ふん、まだろくに皮も剥けておらぬ青二才めが。二度とそんな減らず口が利けぬよう、それがしが喉奥まで巨根をくわえさせてやろう」
勝負はあっけなく決まった。まるで歯が立たなかったと言っていい。
「皇太子を殺めてはなりません。人質として捕らえるのです」
「我が最愛の妻アクセラの仇だ。このまま生かしてはおけん」
「ですが、童貞を手にかければ旦那様の名誉に傷がつきます。王家の末裔たる男子を処断したとあっては、はたして民衆はどう思うでしょう?」
「ならばこの代償は、処女の血をもってあがなわん」
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