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煌めくルビーに魅せられて番外編 吸血鬼の執愛
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怒った瑞稀が寝室から出て行く。勢いよく扉が閉じられたあと、静まり返ったベッドの上でひとり、収拾のつかない自己嫌悪に駆られた。
こうなることは、頭の片隅でわかっていたハズなのに、吸血鬼の唾液によって寝乱れた瑞稀の姿を目の当たりにしたら、タガが外れてしまった。
彼のことをずっと欲していたから、それはなおのこと。しかも――。
「事前になにもしないって言ったのに、この有様って、俺ってば本当にバカ……」
宣言どおりにしたのは、牙の先っぽだけで、ほんの少し血をいただいたこと。前回吸血したときのものと、味の比較をしたかったので、迷うことなく血を吸った。
瑞稀の血を舌の上で堪能し、さらに美味しくなっていることを確認する。吸血したせいで、彼の下半身は硬く張り詰めていた。己のしたことの責任をしっかりとらなければと、瑞稀ジュニアを口に含んだまではよかったんだ。
(興奮していたとはいえ、吸血鬼のままシてしまったことにより、瑞稀ジュニアに唾液がついて、イってるのに絶頂していないみたいな感覚に陥らせてしまった――)
『やぁっ、あっ…んあっ……イったのに…なんか変、だよ』
頬を紅潮させて涙目で告げた瑞稀に、しまったと咄嗟に思い、慌てて人間の姿になったが、すでに遅し。
「瑞稀、大丈夫か?」
『っ、んん……躰が熱くて苦しぃ』
キスで吸血鬼の唾液を与えたことはあったが、瑞稀ジュニアに与えたことがなかったせいで、どうやら刺激が強すぎたらしい。それをうまいこと相殺しようと、ふたたび吸血鬼になり、瑞稀にキスをして唾液を与えた。
「瑞稀?」
頬に手を添えて、名前を呼んでみる。するとピクっと躰を震わせて、肩を竦めた。
『マサさんの手がっ、肌に触れる……だけで、感じちゃってイっちゃいそ』
(――しまった! 余計に瑞稀をビンカンにさせてしまったのか)
ここはマイルドにせねばと人間に戻って、優しく瑞稀の躰を抱き寄せた。
『んあっ!』
力をあまり入れずに、そっと抱き寄せただけなのに、瑞稀は生きのいい魚のように躰をビクつかせてイってしまった。
『ぁあっ…あ……っは…ぁ』
潤んだ瞳で縋るように俺を見つめる瑞稀は、荒い呼吸を何度も繰り返し、抱きしめる俺と離れようとしたのか、両腕で胸を押す。その瞬間、瑞稀ジュニアと俺自身が軽く接触。お互い小さな呻き声をあげた。
『マサさんっ』
俺は瑞稀の意思を尊重すべく、上半身を起こして距離をとった。そして瑞稀の下半身に移動し、自分の両腕を彼の太ももに手を添えて、ぐいっと持ちあげる。
「瑞稀の出した白いローションを使って、俺も一緒に気持ちよくなりたい」
言いながら腰を押し進めて、瑞稀ジュニアと俺自身が感じる部分を、なぞるように擦り合わせはじめた。
『やっ、そこっ、だめ!』
そう言いつつも瑞稀は腰をへこへこ動かし、両足先をぎゅっと丸めて、感じていることを俺に知らせる。
「激しくしない、こうしてゆっくりしてあげるから」
『もぉっ、ぁッ…きもち、いのい゛ら゛な゛い゛ぃッッ』
こうして感じまくっている瑞稀の姿で、見事にやられた俺は、本気でイヤがっているのにもかかわらず、思う存分にシてしまったのである。
恋人との喧嘩ははじめてじゃない。むしろ手馴れているところもある。それなのに瑞稀が相手だと、どうにもうまくいかない。
「偽った自分じゃなく、吸血鬼のことを含めて、すべてを曝け出したところを瑞稀に見せているせいで、これ以上嫌われたら立ち直れない」
頭を両手でかきむしったところで、なにも解決しないのはわかる。さっきだって謝っても、全然聞いてもらえなかった。だけどこのままでは、もっと関係の修復ができないのは、百も承知だから――。
俺はなけなしの勇気を振り絞り、手早く着替えて瑞稀が料理をしているキッチンに向かうことにした。
怒った瑞稀が寝室から出て行く。勢いよく扉が閉じられたあと、静まり返ったベッドの上でひとり、収拾のつかない自己嫌悪に駆られた。
こうなることは、頭の片隅でわかっていたハズなのに、吸血鬼の唾液によって寝乱れた瑞稀の姿を目の当たりにしたら、タガが外れてしまった。
彼のことをずっと欲していたから、それはなおのこと。しかも――。
「事前になにもしないって言ったのに、この有様って、俺ってば本当にバカ……」
宣言どおりにしたのは、牙の先っぽだけで、ほんの少し血をいただいたこと。前回吸血したときのものと、味の比較をしたかったので、迷うことなく血を吸った。
瑞稀の血を舌の上で堪能し、さらに美味しくなっていることを確認する。吸血したせいで、彼の下半身は硬く張り詰めていた。己のしたことの責任をしっかりとらなければと、瑞稀ジュニアを口に含んだまではよかったんだ。
(興奮していたとはいえ、吸血鬼のままシてしまったことにより、瑞稀ジュニアに唾液がついて、イってるのに絶頂していないみたいな感覚に陥らせてしまった――)
『やぁっ、あっ…んあっ……イったのに…なんか変、だよ』
頬を紅潮させて涙目で告げた瑞稀に、しまったと咄嗟に思い、慌てて人間の姿になったが、すでに遅し。
「瑞稀、大丈夫か?」
『っ、んん……躰が熱くて苦しぃ』
キスで吸血鬼の唾液を与えたことはあったが、瑞稀ジュニアに与えたことがなかったせいで、どうやら刺激が強すぎたらしい。それをうまいこと相殺しようと、ふたたび吸血鬼になり、瑞稀にキスをして唾液を与えた。
「瑞稀?」
頬に手を添えて、名前を呼んでみる。するとピクっと躰を震わせて、肩を竦めた。
『マサさんの手がっ、肌に触れる……だけで、感じちゃってイっちゃいそ』
(――しまった! 余計に瑞稀をビンカンにさせてしまったのか)
ここはマイルドにせねばと人間に戻って、優しく瑞稀の躰を抱き寄せた。
『んあっ!』
力をあまり入れずに、そっと抱き寄せただけなのに、瑞稀は生きのいい魚のように躰をビクつかせてイってしまった。
『ぁあっ…あ……っは…ぁ』
潤んだ瞳で縋るように俺を見つめる瑞稀は、荒い呼吸を何度も繰り返し、抱きしめる俺と離れようとしたのか、両腕で胸を押す。その瞬間、瑞稀ジュニアと俺自身が軽く接触。お互い小さな呻き声をあげた。
『マサさんっ』
俺は瑞稀の意思を尊重すべく、上半身を起こして距離をとった。そして瑞稀の下半身に移動し、自分の両腕を彼の太ももに手を添えて、ぐいっと持ちあげる。
「瑞稀の出した白いローションを使って、俺も一緒に気持ちよくなりたい」
言いながら腰を押し進めて、瑞稀ジュニアと俺自身が感じる部分を、なぞるように擦り合わせはじめた。
『やっ、そこっ、だめ!』
そう言いつつも瑞稀は腰をへこへこ動かし、両足先をぎゅっと丸めて、感じていることを俺に知らせる。
「激しくしない、こうしてゆっくりしてあげるから」
『もぉっ、ぁッ…きもち、いのい゛ら゛な゛い゛ぃッッ』
こうして感じまくっている瑞稀の姿で、見事にやられた俺は、本気でイヤがっているのにもかかわらず、思う存分にシてしまったのである。
恋人との喧嘩ははじめてじゃない。むしろ手馴れているところもある。それなのに瑞稀が相手だと、どうにもうまくいかない。
「偽った自分じゃなく、吸血鬼のことを含めて、すべてを曝け出したところを瑞稀に見せているせいで、これ以上嫌われたら立ち直れない」
頭を両手でかきむしったところで、なにも解決しないのはわかる。さっきだって謝っても、全然聞いてもらえなかった。だけどこのままでは、もっと関係の修復ができないのは、百も承知だから――。
俺はなけなしの勇気を振り絞り、手早く着替えて瑞稀が料理をしているキッチンに向かうことにした。
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