上 下
17 / 25
煌めくルビーに魅せられて番外編 吸血鬼の執愛

しおりを挟む
「マサさんがお願い事を言うと、ルビー色の瞳が淡く光って、目が離せなくなるんです。そしたら頭の中がほわほわして、そのお願い事を聞かなきゃってなるんですけど」

「そんな感じなんだ、実におもしろい」

 催眠の体験談を、内心ワクワクしながら聞き入る。

「はい。だけどほわほわを妙に意識したら、聞いていたお願い事が、どこかにいっちゃうんです」

 そのせいで瑞稀は、俺の催眠にかからなかったというわけなんだな。本当に不思議なコだ。

「俺の瞳に催眠の作用があることがわかって、なんだかおもしろいな」

「マサさんの瞳もですけど、声も影響している気がします。いつもより耳に声が残っているんですよ」

「なるほど。ちょっと実験してみてもいいかい?」

 言いながら吸血鬼に変身して、瑞稀の顔の前に自分の顔を近づけた。

「変なお願い事をしないでくださいね」

「瑞稀好きだ」

「ぶっ! いきなりなにを言って」

 瑞稀の顔が、耳まで朱に染まる。相当照れているらしい。

「瑞稀がほしい」

「ほほほっほしがっても、あげることはできません」

「少しでいいから」

「少しって、なにをねだってるんですか?」

 からかいがいのある瑞稀をもっと翻弄すべく、もっと卑猥な言葉を頭の中で考えた。

「先っぽだけでガマンしてあげる」

「ちょっ、それっていったい」

「ふふっ、わかってるクセに」

「本当にわかりませんって」

「全部はねだらない、本当だよ。痛くしないように、丁寧にしてあげる」

 そう言って、舌先で首筋をつーっとなぞった。

「ひっ!」

 細身の躰がビクつき、瑞稀の下半身のカタチが変わっているのを知らせる。

「おかしいな。俺はまだ血を吸っていないのに、瑞稀ジュニアが大きくなっているみたいだが」

「やっ、あの…これはその……」

 体を縮こませて必死に腰を引き、言いわけを考える瑞稀が、かわいくて仕方ない。

「吸血鬼の俺は、いつも深く牙を突き立てて相手の血を吸うが、今夜は先っぽだけ使って、一瞬だけで終わらせようと思っていたのに」

「え?」

「瑞稀ジュニアが大きくなったことについて、俺が全力で責任を持たなければならないね。小さくなるまで搾り取ってあげよう!」

「わっ、まっ待ってマサさんっ! そんな~」

 こうして自分の都合のいいように瑞稀を思う存分に貪り、あとから叱られてしまったのである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

イケメン王子四兄弟に捕まって、女にされました。

天災
BL
 イケメン王子四兄弟に捕まりました。  僕は、女にされました。

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

ヒロインの兄は悪役令嬢推し

西楓
BL
異世界転生し、ここは前世でやっていたゲームの世界だと知る。ヒロインの兄の俺は悪役令嬢推し。妹も可愛いが悪役令嬢と王子が幸せになるようにそっと見守ろうと思っていたのに…どうして?

愛などもう求めない

白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。 「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」 「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」 目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。 本当に自分を愛してくれる人と生きたい。 ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。  ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。 最後まで読んでいただけると嬉しいです。

【BL】月光〜絶望から救ってくれたのはキミだった〜

樺純
BL
T地区とP地区はあるウイルス汚染により人間が人間でなくなってしまった。そのウイルスから逃げるようにして祖母と一緒に故郷のT地区を離れたツキヤ。ツキヤは立ち入り禁止地域となってしまったT地区にいつか祖母を帰してあげたいと考え、そのウイルスの抗体を見つけようとウイルスの研究をするようになる。しかし、祖母はその時を迎える事なく亡くなってしまう。それでもツキヤは研究を続けていた。そんなある日、久しぶりの休日に納車したばかりの新車に乗って自身の故郷であるT地区の隣町までドライブをしに出かけた。懐かしい森の中の風景に心躍らせていたツキヤ。しかし、ツキヤの車は道路に置かれていた小さな何かを轢いてしまいタイヤがパンクしてしまう。焦ったツキヤがスマホを取り出しロードサービスに電話をしようとするも電波は入らず、ひと気も全くない。ツキヤは仕方なく森の中にある道路沿いを歩いて民家まで向かおうとするが、いつの間にか森の中へと迷い込んでしまい、おまけに雨まで降り出してしまう。最悪な状況になってしまったツキヤが意気消沈していたその時、大きな雷の音が鳴り響き、咄嗟に身を縮こめたツキヤはぬかるんだ地面に足を取られ転んでしまい、頭を強打し意識を失ってしまう。ツキヤが次に目を覚ました時にはツキヤの目の前にはある男がいたのだが……

泣くなといい聞かせて

mahiro
BL
付き合っている人と今日別れようと思っている。 それがきっとお前のためだと信じて。 ※完結いたしました。 閲覧、ブックマークを本当にありがとうございました。

陽気な吸血鬼との日々

波根 潤
BL
バイト帰りに男が倒れているのを見つけた面倒くさがりな高校生、杉野清飛(スギノ セイト)はなけなしの良心から彼を助けようと声をかける。 男は杉野の亡き母がその存在を嬉々として語っていた吸血鬼であった。 それをきっかけに始まる奇妙にも穏やかな共同生活。 湧きあがる感情に戸惑いつつも、杉野は陽気な吸血鬼との日常に心地よさを抱き初める。 しかし、吸血鬼にはある秘密があってーー。 陽気で面倒見の良い吸血鬼×投げやりで面倒くさがりな高校生のお話です。 ※吸血鬼について独自の設定とふんわりとした解釈のお話になってるので、思っているようなお話ではないかもしれません。優しい目で見てくださるとありがたい。 (自分としては)ハッピーエンドの予定です。 BL小説を書くのは初めてですが、楽しんでくだされば幸いです。

【完結】僕の大事な魔王様

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
BL
母竜と眠っていた幼いドラゴンは、なぜか人間が住む都市へ召喚された。意味が分からず本能のままに隠れたが発見され、引きずり出されて兵士に殺されそうになる。 「お母さん、お父さん、助けて! 魔王様!!」 魔族の守護者であった魔王様がいない世界で、神様に縋る人間のように叫ぶ。必死の嘆願は幼ドラゴンの魔力を得て、遠くまで響いた。そう、隣接する別の世界から魔王を召喚するほどに……。 俺様魔王×いたいけな幼ドラゴン――成長するまで見守ると決めた魔王は、徐々に真剣な想いを抱くようになる。彼の想いは幼過ぎる竜に届くのか。ハッピーエンド確定 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/11……完結 2023/09/28……カクヨム、週間恋愛 57位 2023/09/23……エブリスタ、トレンドBL 5位 2023/09/23……小説家になろう、日間ファンタジー 39位 2023/09/21……連載開始

処理中です...