FF~フォルテシモ~

相沢蒼依

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救愛

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***

 げっそり――あの後ねっこり、お説教された私。当然なんだけども……。

「いくら俺の情報を手に入れたいからとはいえ、こんなモノを使って山田くんを恐喝するとは、言語道断ですっ!」

「だって……マットが見つからなくて焦ったんだもん」

 しょんぼりして言っても、マットの怒りは収まらない。

 ――チッ、奥の手を使うか。

 ふぬっと目頭に神経集中。頑張るコト10秒で涙を溜めると、上目遣いでマットを見た。

 ちょっとたじたじとなったのをしっかり確認してから、マットの左腕を自分の胸の谷間にしっかりと埋もれるようにして、ぎゅっと腕を絡める。

「マットのことが好きだから、どうしても知りたかったの」

 うるうる、ムギュムギュ作戦。

「蓮……」

「ごめんなさい」

「――って、こんな安い手に引っ掛かりませんよ」

 シュッと腕を引き抜くと、私のオデコにデコピンした。

「痛いっ!」

「まったく反省してませんね、困った彼女です」

 困ったとか言いながら、何故だか楽しそうなマット。

「お仕置きはこれくらいにして、さてどうしますかね」

「会いに行こうよ。近くなんだし」

「……君は置いて行きますから」

 サックリ言ってくれたけど、私の記憶力は半端ないんだよ。

「あのねマット、次は連れて行きますと前回しっかりと断言したのに、どうしてそんなことを私に言えるのかな」

 その言葉に、ウッと言葉に詰まる。何で、連れて行きたくないんだろ?

「だって……蓮が好きそうな感じの男だから」

「大丈夫だよ、安心して。私、その人にめっちゃ嫌われてるから」

「彼に何をしたんですか?」

「何もしてないよ。多分、生理的に受け付けないだけじゃないのかな」

 そう言っても疑惑の眼差しで、マットは私を見るのだった。
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