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救出
山田side
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「どこに隠したのよ?」
怒っている朝比奈さんに、呆れながら言ってやる。
「……知らない」
あれからお昼時に、毎日現れるようになった。まるでストーカーみたいだ……。
「山田くんは今川部長の部下でしょ、何で知らないの?」
「いつも一緒に仕事をしているワケじゃないんだって。しかもお昼だって別々だし」
日参される俺の身にもなって欲しい。
会長の孫娘がやってくるという現実を目の当たりにした周りの視線が興味津々で、これでもかと注がれている状態をぜひとも悟ってほしい。
「信じらんない!」
朝比奈さんは吐き捨てるように言うと、諦めて部署から出て行った。
その言葉そっくり、そのままお返しするよ。何で今川部長に興味を抱いたんだ?
「信じられない……」
思わず同じ言葉を呟いた。
年齢差15歳だぜ――俺の年齢から15歳引くと、犯罪になるお年頃の女の子になってしまう。まさかとは思うが今川部長、朝比奈さんを相手にするようなことはないよな。いくらあの朝比奈さんでも難攻不落な常識人、今川部長は落とせまい。
「同じ建物にいてもフロアが違えば、まったく会えないもんな」
だから、お昼時を狙って通っている。
恋人の叶さんがバイトしていたコーヒーショップに、足繁く通っていた当時のことを思い出してしまった。好きな人に会いたい気持ちは、分からなくはないんだけど――
「あの朝比奈さんに、手を貸す気になれない」
もう少しだけ、可愛げがあったらなぁ。
叶さんが作ってくれたお弁当(久しぶりに作ってくれたのだ)を食べながら、ぼんやり考えていた俺。後ほど朝比奈さんから脅迫されるとは、夢にも思っていなかった。
怒っている朝比奈さんに、呆れながら言ってやる。
「……知らない」
あれからお昼時に、毎日現れるようになった。まるでストーカーみたいだ……。
「山田くんは今川部長の部下でしょ、何で知らないの?」
「いつも一緒に仕事をしているワケじゃないんだって。しかもお昼だって別々だし」
日参される俺の身にもなって欲しい。
会長の孫娘がやってくるという現実を目の当たりにした周りの視線が興味津々で、これでもかと注がれている状態をぜひとも悟ってほしい。
「信じらんない!」
朝比奈さんは吐き捨てるように言うと、諦めて部署から出て行った。
その言葉そっくり、そのままお返しするよ。何で今川部長に興味を抱いたんだ?
「信じられない……」
思わず同じ言葉を呟いた。
年齢差15歳だぜ――俺の年齢から15歳引くと、犯罪になるお年頃の女の子になってしまう。まさかとは思うが今川部長、朝比奈さんを相手にするようなことはないよな。いくらあの朝比奈さんでも難攻不落な常識人、今川部長は落とせまい。
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だから、お昼時を狙って通っている。
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「あの朝比奈さんに、手を貸す気になれない」
もう少しだけ、可愛げがあったらなぁ。
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