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「龍、持ってるカバンを足元に置いて」
物置というよりも、おじさんの趣味部屋になってる室内の作りに圧倒されて、周りをきょろきょろ見渡す僕に、浩司兄ちゃんが突然声をかけた。
「うん、わかった」
言われたとおりに足元にカバンを置くと、どこから引っ張り出したのかわからない白いたすきを手にした浩司兄ちゃんが、にこやかな顔で目の前に立つ。
(――おしおきするって、こんな場所でなにをする気だろう?)
頬にうつろな笑いを浮かべる浩司兄ちゃんを、目線だけで見上げたら――。
「浩司兄ちゃん!?」
浩司兄ちゃんは持っているたすきで、僕の両目を塞ぐ。布は薄地なので室内の明かりがほんのりわかるものの、浩司兄ちゃんの姿は完全に見えない。
「俺に嘘をついた罰、ちゃんと受けるんだよ。いいね?」
「つっ!」
僕の耳元で喋った浩司兄ちゃんの吐息がふわっと耳の穴にかかり、すごくくすぐったくて、思いっきり肩を竦めてしまった。
「みっ、見えないのは怖い……」
「大丈夫、安心して。俺が龍に痛いなにかを、したことはないだろう?」
「そうだけど、でも……」
「新品の制服が汚れないように、ブレザーを脱がすよ」
顔の横にあった浩司兄ちゃんの気配が消えて、その代わりにブレザーを脱がせる手がかけられたのがわかった。ボタンを外し、そのまま僕を抱きしめるように近づいて、手際よくブレザーを脱がす。そして首元に手がかかった。
「ネクタイも外すの?」
「ああ。だけどワイシャツは、ボタンを外すだけで脱がさないから」
宣言どおりにされたことで、ワイシャツの隙間から晒されている肌が僅かなのが、外気に触れることでわかる。ボタンを全部外していないらしい。
「龍、両手をしっかりあげて、右手で左手首を掴んでくれ。いいと言うまで放しちゃダメだよ」
さっきから謎なことばかり、優しい口調で命令されるゆえに、恐るおそる両腕を頭の上にあげる。利き手で左手首をぎゅっと掴んだ。
「浩司兄ちゃん、僕にこんなことをさせて、いったいなにをす――」
なにをするのと訊ねる前に、ふわふわしたものが首筋を掠めるように撫でる。
「ひゃっ!」
「釣りで使う鳥の羽だよ。一番柔らかいところで龍の肌に触れてるから、キズはつかない」
浩司兄ちゃんは楽しそうに言いながら、それを使って胸の真ん中も同じようになぞっていく。
「あっ、それ、はあの……くすぐったい」
「俺に嘘をついた罰だからね。ちゃんと我慢しなきゃ」
胸の真ん中から下腹へ蠢く鳥の羽が、ゆっくりと左胸の頂きに近づき、くるくる円を描くように動いた。
「あっ! んんっ」
感じてる声が出そうになり、ぎゅっと下唇を噛みしめる。
「左手首を掴んでる右手が、結構緩んでるよ」
「だって、なんか変な、感じで」
「変な感じって、具体的にどんな感じなんだい?」
浩司兄ちゃんはふたたび僕の耳元で喋りだす。傍にいるだけで息が耳にかかり、余計に気になって仕方ない。
物置というよりも、おじさんの趣味部屋になってる室内の作りに圧倒されて、周りをきょろきょろ見渡す僕に、浩司兄ちゃんが突然声をかけた。
「うん、わかった」
言われたとおりに足元にカバンを置くと、どこから引っ張り出したのかわからない白いたすきを手にした浩司兄ちゃんが、にこやかな顔で目の前に立つ。
(――おしおきするって、こんな場所でなにをする気だろう?)
頬にうつろな笑いを浮かべる浩司兄ちゃんを、目線だけで見上げたら――。
「浩司兄ちゃん!?」
浩司兄ちゃんは持っているたすきで、僕の両目を塞ぐ。布は薄地なので室内の明かりがほんのりわかるものの、浩司兄ちゃんの姿は完全に見えない。
「俺に嘘をついた罰、ちゃんと受けるんだよ。いいね?」
「つっ!」
僕の耳元で喋った浩司兄ちゃんの吐息がふわっと耳の穴にかかり、すごくくすぐったくて、思いっきり肩を竦めてしまった。
「みっ、見えないのは怖い……」
「大丈夫、安心して。俺が龍に痛いなにかを、したことはないだろう?」
「そうだけど、でも……」
「新品の制服が汚れないように、ブレザーを脱がすよ」
顔の横にあった浩司兄ちゃんの気配が消えて、その代わりにブレザーを脱がせる手がかけられたのがわかった。ボタンを外し、そのまま僕を抱きしめるように近づいて、手際よくブレザーを脱がす。そして首元に手がかかった。
「ネクタイも外すの?」
「ああ。だけどワイシャツは、ボタンを外すだけで脱がさないから」
宣言どおりにされたことで、ワイシャツの隙間から晒されている肌が僅かなのが、外気に触れることでわかる。ボタンを全部外していないらしい。
「龍、両手をしっかりあげて、右手で左手首を掴んでくれ。いいと言うまで放しちゃダメだよ」
さっきから謎なことばかり、優しい口調で命令されるゆえに、恐るおそる両腕を頭の上にあげる。利き手で左手首をぎゅっと掴んだ。
「浩司兄ちゃん、僕にこんなことをさせて、いったいなにをす――」
なにをするのと訊ねる前に、ふわふわしたものが首筋を掠めるように撫でる。
「ひゃっ!」
「釣りで使う鳥の羽だよ。一番柔らかいところで龍の肌に触れてるから、キズはつかない」
浩司兄ちゃんは楽しそうに言いながら、それを使って胸の真ん中も同じようになぞっていく。
「あっ、それ、はあの……くすぐったい」
「俺に嘘をついた罰だからね。ちゃんと我慢しなきゃ」
胸の真ん中から下腹へ蠢く鳥の羽が、ゆっくりと左胸の頂きに近づき、くるくる円を描くように動いた。
「あっ! んんっ」
感じてる声が出そうになり、ぎゅっと下唇を噛みしめる。
「左手首を掴んでる右手が、結構緩んでるよ」
「だって、なんか変な、感じで」
「変な感じって、具体的にどんな感じなんだい?」
浩司兄ちゃんはふたたび僕の耳元で喋りだす。傍にいるだけで息が耳にかかり、余計に気になって仕方ない。
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