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裁判記録:だから僕は――④
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一緒に肩を並べ、笹木の家に向かう途中でコンビニに寄って、それぞれ好きな物を買った。
「香坂先輩とふたりで呑むの、はじめてですね。宴会のときは、なかなか傍に寄ることができなかったから、結構嬉しいかも」
「確かに! 僕の周りはいっつも女子社員がいて、誰も近づけない状態だったしな」
「そうなんですよ。話したいことがあっても、何だか近づけない雰囲気があったし。あれだけモテるのに、彼女がいないのが不思議ですよ」
そんな他愛のない会話をしながら、ようやく笹木の自宅があるマンションに到着。エレベーターに乗り込むと、15階のボタンを押す。
「少しだけ散らかってますけど、勘弁してくださいね」
「彼女が来たら、いろいろ言われたりしないのか?」
「あー……まぁ。しょうがないねと苦笑いされてます」
後頭部を掻きながら肩を竦める笹木が、結構可愛いなぁと思ってしまった。自分にはない、そういう素直なところは恨めしくなる。
程なくして15階に到着、一番奥にある扉まで連れられた。笹木が手早く鍵を開けて、中に誘ってくれる。
「あーあ、香坂先輩が来るなら、もっと綺麗にしておけば良かった……」
「何を今更。言うほど酷くないじゃないか。実際、僕の家の方が雑然としているよ」
目の前に広がるワンルーム。最初に目に付いたのは、大きな本棚が3つも備えつけられていることだった。読書家なのは、意外な発見だな。
「適当に座っててください、今準備するんで」
「準備とかいらないから。買ったヤツを、ぱぱっと開けちゃえばいいだろ、ほら座れって」
キッチンに行こうとした笹木の腕を引っ張り、グレーのソファにふたり仲良く並んで座った。
「つまみを摘むぅ♪ ほらほら、笹木も手伝えって。そっちの開けてくれ」
「あ、はいっ。すみません、香坂先輩の流れるような動きに、つい見とれてしまって。するめそーめんを開けるっと」
「僕の動きって、何か変?」
ビニール袋の中からビールを数本取り出して、強引に笹木に手渡しながら訊ねてみる。
「えっと、他の人にはない独特の間っていうか、惹きつけられる、見えない何かがあるっていうか。指先も俺とは違って、すらっとしていて綺麗だし」
あたふたしながら言う笹木の手から、ビールを奪ってやった。
「褒めてくれた礼として、この綺麗な指で開けてやるよ」
ぷしゅっと音をさせてリングプルを開けたら、少しだけ泡が出てくる。奪ったときに、揺らしてしまったせいだろう。
「ありがとうございます……」
「いいっていいって。なんだかんだ、いつも仕事のフォローしてもらってるし、日頃の礼もちゃかり兼ねているからさ。さぁて、笹木の明るい未来に向かって、かんぱーいっ!」
「乾杯です」
かちんと缶を鳴らして乾杯、ぐびぐびとビールを流し込んだ。
(――笹木の明るい未来を、彼女ごと黒く染めてやるけどね)
さてさてどのタイミングで、押し倒してやろうか……。できることなら絶好のタイミングでそれを、ぱーっと発動させたいものだが。
「なぁ笹木って、どこで彼女を捕まえたんだ?」
まずは、敵の情報を仕入れなければ。落し込むのに、それなりのことを知っておかなければ、対処のしようがないから。
「このことナイショにしてくださいよ、会社です」
「マジで!? 僕の知ってる人か? 誰なんだよ、おい」
「これ以上は、教えることができません。どんなに頼まれてもダメです」
必死に追いすがる僕を完全無視して、笹木は美味しそうにビールを呑む。
「なんだよ、冷たいな。もしかして、大っぴらにできない相手なのかよ。カレシ持ちとか、人の奥さんだったり」
「まぁ当たらずといえども、遠からずって感じですね。年上で、結構可愛い人ですよ」
(顔に似合わず、コイツやるな――)
「そっか、笹木の好みは年上だったのか。見た目以上に、甘えただもんな」
「すみませんね、甘えたで。どうしても相手に、包容力を求めちゃうんです」
――ほうほう、可愛がられたいということか。
「そういう香坂先輩の好みは、どんなコなんですか? 理想が高すぎて、彼女ができないんじゃ?」
いつもより饒舌に喋る笹木に、苦笑いするしかない。少ししか呑んでないのに、もう酔っ払ったのか。
「僕は、笹木みたいな感じが好みだけど」
「(゚ー゚*?)はい?」
素早く顔を寄せて、唇に触れるだけのキスをしてやった。
「ななななっ、何やってですか!? 酔っ払ったからって、こんなことするなんて」
「意外と僕、包容力はある方だよ。試してみないか?」
しれっとしながら言ってやると、音が鳴りそうな勢いで、首をぶんぶん横に振りまくる。
「だったら――そうだな、お前の好きなアイツ。葩御 稜に迫られてると思い込めば?」
「そんなの……」
「笹木が秘密を教えてくれたから、僕の秘密も教えてあげる。実は、葩御 稜の従兄なんだ。血の繋がりがあるから、顔が似ているんだよ」
両手でそっと笹木の頬を包み込み、顔を近づけた。
「それに男とヤるなんて、浮気のカウントに入らない。安心して身を任せるといいって」
にこやかに笑いながら手に持っていた缶ビールをテーブルに置き、笹木の持ってるものも同じように置いてやった。
「――身を任せるぅっ!?」
目を大きく見開き、驚愕の表情を浮かべた笹木の唇に目がけて、噛みつくようなキスをする。
罪を犯すなら、ひとりよりふたりがいい。同じ罪を共有することによって、ふたりを縛り付ける材料になる。しかもそれが、すごくいい刺激にもなるんだ。最高じゃないか。
「ンンッ……やっ、香坂せ、んぱ――」
「あっ、こら暴れんなって。だからノンケは面倒くさいんだ」
キスに酔いしれていたいというのに、こんな雰囲気じゃゆっくりと堪能できやしない。
チッと舌打ちしながら笹木のネクタイを手早く外し、抵抗できないように後ろ手に縛り上げる。そして仰向けに戻してみたら、小さい目から涙を溢している姿が目に留まった。
「いいね、その顔。ゾクゾクしてくるよ、マジで。それでは笹木の躰をご開帳ぅ♪」
ワイシャツのボタンを2,3個外してから、両手で一気に引き裂いてみたら、浅黒い肌が顔を覗かせた。弾け飛んだボタンが、音もなくフローリングの床を四方に転がっていく。
見慣れたいつもの光景に口元を緩ませつつ、スラックスを脱がせようとベルトに手をかけたとき。
「やめてくださいっ! こんなの……俺は香坂先輩を」
「何だよ、うっさいな。僕を軽蔑したいなら、勝手にすればいい。そんな軽蔑する相手に、これから感じさせられることを、思いっきりされちゃうけどね」
「うっ……」
急に大人しくなったお蔭で、するっとスラックスを脱がせることに成功。破れたワイシャツをそのまま身にまとった、トランクス姿の笹木は下唇を噛みしめ、恨めしげに僕を見上げた。
「僕に彼女ができないのは、こういうワケだよ。イヤというほど分かっただろ? それとも何か、この行為に理由が必要か?」
「り、ゆぅ……?」
力なく動く唇に、触れそうで触れない位置で、ぴたりと止まってあげる。
「ちょっと魔がさしたと言ったらお前がキズつくだろうから、愛していると言ってやるよ。笹木を愛してる……」
さっきしてやったキスとは違う、優しいキスからスタートして、ゆっくりと味わいながら感じさせた。
「うっ……あぁ、ぅっ――」
より丁寧に、口内を責めてあげる。逃げようとする舌を絡めて、くちゅくちゅと音をたてて吸い上げてから、顔の角度を変えた。
下唇を食みながら自分のネクタイを解き、ワイシャツのボタンも外して手早く脱いだ。
「はぁはぁ、やめ、も……イヤ、だ」
「止めてくれっていう割には、しっかり感じているじゃないか。ほら、ここ」
耳元で囁いて、その部分に直に触れてやる。
「うっ!?」
「僕にキスされて、こんな風になるなんて結構エロいんだね、笹木ってば」
「ちがっ、これは、ひゃっ!?」
ふふっと笑って吐息をかけてやり、耳のふちを舌でなぞる様に舐めあげた。
「だっ、ああぁ…それ、くすぐった、いですって。……やっ…はぁ、あっ……ンンッ!」
過剰に反応してくれた笹木にサービスすべく、耳の穴に舌をねじ込み、スクリューのように動かしてやる。
「…っん…う、あ…そこばっかり……っ、やめっ!」
「じゃあ、どこがいいんだよ、お前は?」
右手で笹木自身を扱き上げ、左手で胸の突起物を摘むようにこねくり回した。他にも、敏感な部分を容赦なく責め立ててやる。
「っや…っは、そ、んなと、こ触らない…んぁ、やだっ……」
はじめてということを考慮して、この夜は繋がることなく、散々笹木の躰をオモチャにした。しっかりと快感を与え続けて、淫靡な夜は終了したのだった。
一緒に肩を並べ、笹木の家に向かう途中でコンビニに寄って、それぞれ好きな物を買った。
「香坂先輩とふたりで呑むの、はじめてですね。宴会のときは、なかなか傍に寄ることができなかったから、結構嬉しいかも」
「確かに! 僕の周りはいっつも女子社員がいて、誰も近づけない状態だったしな」
「そうなんですよ。話したいことがあっても、何だか近づけない雰囲気があったし。あれだけモテるのに、彼女がいないのが不思議ですよ」
そんな他愛のない会話をしながら、ようやく笹木の自宅があるマンションに到着。エレベーターに乗り込むと、15階のボタンを押す。
「少しだけ散らかってますけど、勘弁してくださいね」
「彼女が来たら、いろいろ言われたりしないのか?」
「あー……まぁ。しょうがないねと苦笑いされてます」
後頭部を掻きながら肩を竦める笹木が、結構可愛いなぁと思ってしまった。自分にはない、そういう素直なところは恨めしくなる。
程なくして15階に到着、一番奥にある扉まで連れられた。笹木が手早く鍵を開けて、中に誘ってくれる。
「あーあ、香坂先輩が来るなら、もっと綺麗にしておけば良かった……」
「何を今更。言うほど酷くないじゃないか。実際、僕の家の方が雑然としているよ」
目の前に広がるワンルーム。最初に目に付いたのは、大きな本棚が3つも備えつけられていることだった。読書家なのは、意外な発見だな。
「適当に座っててください、今準備するんで」
「準備とかいらないから。買ったヤツを、ぱぱっと開けちゃえばいいだろ、ほら座れって」
キッチンに行こうとした笹木の腕を引っ張り、グレーのソファにふたり仲良く並んで座った。
「つまみを摘むぅ♪ ほらほら、笹木も手伝えって。そっちの開けてくれ」
「あ、はいっ。すみません、香坂先輩の流れるような動きに、つい見とれてしまって。するめそーめんを開けるっと」
「僕の動きって、何か変?」
ビニール袋の中からビールを数本取り出して、強引に笹木に手渡しながら訊ねてみる。
「えっと、他の人にはない独特の間っていうか、惹きつけられる、見えない何かがあるっていうか。指先も俺とは違って、すらっとしていて綺麗だし」
あたふたしながら言う笹木の手から、ビールを奪ってやった。
「褒めてくれた礼として、この綺麗な指で開けてやるよ」
ぷしゅっと音をさせてリングプルを開けたら、少しだけ泡が出てくる。奪ったときに、揺らしてしまったせいだろう。
「ありがとうございます……」
「いいっていいって。なんだかんだ、いつも仕事のフォローしてもらってるし、日頃の礼もちゃかり兼ねているからさ。さぁて、笹木の明るい未来に向かって、かんぱーいっ!」
「乾杯です」
かちんと缶を鳴らして乾杯、ぐびぐびとビールを流し込んだ。
(――笹木の明るい未来を、彼女ごと黒く染めてやるけどね)
さてさてどのタイミングで、押し倒してやろうか……。できることなら絶好のタイミングでそれを、ぱーっと発動させたいものだが。
「なぁ笹木って、どこで彼女を捕まえたんだ?」
まずは、敵の情報を仕入れなければ。落し込むのに、それなりのことを知っておかなければ、対処のしようがないから。
「このことナイショにしてくださいよ、会社です」
「マジで!? 僕の知ってる人か? 誰なんだよ、おい」
「これ以上は、教えることができません。どんなに頼まれてもダメです」
必死に追いすがる僕を完全無視して、笹木は美味しそうにビールを呑む。
「なんだよ、冷たいな。もしかして、大っぴらにできない相手なのかよ。カレシ持ちとか、人の奥さんだったり」
「まぁ当たらずといえども、遠からずって感じですね。年上で、結構可愛い人ですよ」
(顔に似合わず、コイツやるな――)
「そっか、笹木の好みは年上だったのか。見た目以上に、甘えただもんな」
「すみませんね、甘えたで。どうしても相手に、包容力を求めちゃうんです」
――ほうほう、可愛がられたいということか。
「そういう香坂先輩の好みは、どんなコなんですか? 理想が高すぎて、彼女ができないんじゃ?」
いつもより饒舌に喋る笹木に、苦笑いするしかない。少ししか呑んでないのに、もう酔っ払ったのか。
「僕は、笹木みたいな感じが好みだけど」
「(゚ー゚*?)はい?」
素早く顔を寄せて、唇に触れるだけのキスをしてやった。
「ななななっ、何やってですか!? 酔っ払ったからって、こんなことするなんて」
「意外と僕、包容力はある方だよ。試してみないか?」
しれっとしながら言ってやると、音が鳴りそうな勢いで、首をぶんぶん横に振りまくる。
「だったら――そうだな、お前の好きなアイツ。葩御 稜に迫られてると思い込めば?」
「そんなの……」
「笹木が秘密を教えてくれたから、僕の秘密も教えてあげる。実は、葩御 稜の従兄なんだ。血の繋がりがあるから、顔が似ているんだよ」
両手でそっと笹木の頬を包み込み、顔を近づけた。
「それに男とヤるなんて、浮気のカウントに入らない。安心して身を任せるといいって」
にこやかに笑いながら手に持っていた缶ビールをテーブルに置き、笹木の持ってるものも同じように置いてやった。
「――身を任せるぅっ!?」
目を大きく見開き、驚愕の表情を浮かべた笹木の唇に目がけて、噛みつくようなキスをする。
罪を犯すなら、ひとりよりふたりがいい。同じ罪を共有することによって、ふたりを縛り付ける材料になる。しかもそれが、すごくいい刺激にもなるんだ。最高じゃないか。
「ンンッ……やっ、香坂せ、んぱ――」
「あっ、こら暴れんなって。だからノンケは面倒くさいんだ」
キスに酔いしれていたいというのに、こんな雰囲気じゃゆっくりと堪能できやしない。
チッと舌打ちしながら笹木のネクタイを手早く外し、抵抗できないように後ろ手に縛り上げる。そして仰向けに戻してみたら、小さい目から涙を溢している姿が目に留まった。
「いいね、その顔。ゾクゾクしてくるよ、マジで。それでは笹木の躰をご開帳ぅ♪」
ワイシャツのボタンを2,3個外してから、両手で一気に引き裂いてみたら、浅黒い肌が顔を覗かせた。弾け飛んだボタンが、音もなくフローリングの床を四方に転がっていく。
見慣れたいつもの光景に口元を緩ませつつ、スラックスを脱がせようとベルトに手をかけたとき。
「やめてくださいっ! こんなの……俺は香坂先輩を」
「何だよ、うっさいな。僕を軽蔑したいなら、勝手にすればいい。そんな軽蔑する相手に、これから感じさせられることを、思いっきりされちゃうけどね」
「うっ……」
急に大人しくなったお蔭で、するっとスラックスを脱がせることに成功。破れたワイシャツをそのまま身にまとった、トランクス姿の笹木は下唇を噛みしめ、恨めしげに僕を見上げた。
「僕に彼女ができないのは、こういうワケだよ。イヤというほど分かっただろ? それとも何か、この行為に理由が必要か?」
「り、ゆぅ……?」
力なく動く唇に、触れそうで触れない位置で、ぴたりと止まってあげる。
「ちょっと魔がさしたと言ったらお前がキズつくだろうから、愛していると言ってやるよ。笹木を愛してる……」
さっきしてやったキスとは違う、優しいキスからスタートして、ゆっくりと味わいながら感じさせた。
「うっ……あぁ、ぅっ――」
より丁寧に、口内を責めてあげる。逃げようとする舌を絡めて、くちゅくちゅと音をたてて吸い上げてから、顔の角度を変えた。
下唇を食みながら自分のネクタイを解き、ワイシャツのボタンも外して手早く脱いだ。
「はぁはぁ、やめ、も……イヤ、だ」
「止めてくれっていう割には、しっかり感じているじゃないか。ほら、ここ」
耳元で囁いて、その部分に直に触れてやる。
「うっ!?」
「僕にキスされて、こんな風になるなんて結構エロいんだね、笹木ってば」
「ちがっ、これは、ひゃっ!?」
ふふっと笑って吐息をかけてやり、耳のふちを舌でなぞる様に舐めあげた。
「だっ、ああぁ…それ、くすぐった、いですって。……やっ…はぁ、あっ……ンンッ!」
過剰に反応してくれた笹木にサービスすべく、耳の穴に舌をねじ込み、スクリューのように動かしてやる。
「…っん…う、あ…そこばっかり……っ、やめっ!」
「じゃあ、どこがいいんだよ、お前は?」
右手で笹木自身を扱き上げ、左手で胸の突起物を摘むようにこねくり回した。他にも、敏感な部分を容赦なく責め立ててやる。
「っや…っは、そ、んなと、こ触らない…んぁ、やだっ……」
はじめてということを考慮して、この夜は繋がることなく、散々笹木の躰をオモチャにした。しっかりと快感を与え続けて、淫靡な夜は終了したのだった。
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