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本編

14。ー幸福

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 寝室に移って、ベッドの上で濃厚なキスをした。
 先生の舌は空気の隙間のなく口の中に吸い付いてきて、わたしの舌と絡んだり、歯の並びに沿ってなぞったりする。
 先生がすることはなんでも好きだけど、キスが一番かもしれない。

「もっとぉ……」
 唇が離れてしまったから、もっと欲しいとねだった。
「少し待っていろ。いまはこっちを舐めるから」
 先生が消えちゃって、わたしは膝が持ち上がって、ぺちゃぺちゃと音が聞こえた。

「ひゃう……」
 敏感なとこが、くすぐられたり、広げられたり、めくられたりする。
「きもちいい……」
 腰が動いてしまう。

「せんせい……キス、は?」
「入れたら飽きるほどしてやる」
「いまどっちも、は?」
 わたしの脚がずれて、先生が現れた。

「……もしかして、あのジュースみたいなホットワインでも酔ったのか」
「酔ってないもん」
 この間みたいにはなってない。
 すると先生がわたしの真正面まできて、ほっぺたを触られた。

「ちょっと熱いな……あの時もそうだったが、酔うと欲しがるタイプか」
 あのとき……?
「まあ時間はたっぷりあるし、遊んでやろうか」
 先生は一度ベッドから降りて、隣りの部屋にいくと、黒い袋を手にして戻って来た。

「なぁに、それ……?」
「きみにとっていいものだ」
 先生は中身の棒状のものを小さく投げて、反転させて手に持ったみたいだけど、その後もそれがクルクル回っているように見えたから、わたしはやっぱりちょっと酔っているのかもしれない。

 先生はそれを、わたしのたくさん濡れているところに当てた。
 低くて鈍い音がして、徐々に振動していく。

「ぅっ……きもち、い、い」
 先生の指とは違う、重くて鈍い刺激——
 その振動は、弱くなったり強くなったりした。弱いと、肩から力が抜ける。強くなると、身構える。わたしは、たぶん面白いくらいにそれに合わせて反応してしまった。

「あああ、」
 そんなずっと勢いよく刺激されたら、
「んっ、やぁ、」
「逝くときは言え」
 いく……
 ああ、そうか。登りつめてくる、あのときのだ。
「いくぅ……いき、ます、」
 当てられているところから電気が走ってきて、それが背骨を駆け抜ける——
 
 曲げられて浮いていた脚が、だらんとなった。
 そして快感の波が引いてきて、呼吸を取り戻した頃。わたしは自分の入り口にひんやりとした機械の味を感じて、後ろに下がった。

「やぁ……入れ、ないで……」
「なぜだ」
「せんせいじゃないものが、入ってくるのは……こわい、から……」
 築島先生は、黙ってそれを止めた。
 それを近くに置いて、そして先生はいつもの手順で入ってきた——いっぱいいっぱいだ。

「苦しいか」
「うん」
「まったく、小さいもので慣らしておけばいいものを……」

 さっきの宣言通り、先生は長いキスをしてくれた。
 先生が片手間じゃなくて真剣にキスするとき、それは本当に溶けそうになる。身体の骨がなくなっちゃったみたいで、抱きついているのも精一杯だ。

 先生はこの間もずっと前後に動いていた。
 わたしはなんで疲れないんだろうと不思議だった。

 一回唇が離れて、先生はわたしの頭を両手で包んだ。

「これからの休日は、睡眠不足になることを覚悟しておけ」
「うん」
「ずっとだ」
「うん」

「他の男とは関わるな」
「うん」
「特にうちのゼミ生とは二人でいるな」
「うん……」

 わたしは幸福感で溢れていて、睡眠不足とか、他の人と仲良くしないことは、全然大したことじゃないと思った。

「そうしたら、いくらでも可愛がってやる」

「いくらでもだ」


 * * *
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