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8話

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「おいおいおいおい!!なんだこれぇぇ!!」

紅血鹿コウケツジカ紅玉兎ルビーラビット、それに黒闇狼ダークウルフまで‥‥。こんなに状態のいい上級魔物見たことねぇよ。」

なぜだか放心状態の厳ついお兄さんを放っておいて売れそうなものを出していく。

「まて、まてまてまて!まだあるのか?嘘だろ!嘘だよなぁ!!」

「ありますよ?魔物は大きいのばかりで容量が足りないので結構捨ててきたけど薬草とか果物はたくさん採ってきました!!」

「ふぁっ?!月華草に氷華‥‥。うわっ?!これ星苺じゃねぇか。まじか、ハハっ。
どれも滅多に手に入らない希少なものばかり。魔輝石まであるのか。
それにこの大きさはやばいな。最高級ランクじゃないか?
他にも炎鳥の尾羽に黄金桃、魔女の果実、銀月花、代わり身石、幻惑蝶の粉‥‥。」

「あの‥‥買い取れるものありましたか?」

不安げな顔で見つめる瞳は潤んでいて庇護欲をそそるのを本人は全くわかっていない。

「ああ、どれも高値で売れるもんばかりだぜ。正直滅多にお目にかかれないようなもんばかりだからな。全部買い取りたいがそうもいかねぇ。流石にものなものだからな。」

「??‥‥それはどうゆう?」

「ああ、悪い悪い。いいか、よく聞け。
お前さんわかってなさそうだからな。
お前さんが採ってきたものはどれも素晴らしいものばかりだ。滅多に手に入らないような希少なものばかり。
 まあこれだけの物を採って来れるってことは実力も相当あるんだろう。だかな‥‥価値を知らなすぎる。平然とこんな場所で出していいようなもんじゃねぇぞ?まずは価値を知れ!じゃないと悪い奴らに二束三文で騙し取られるぞ。
 きっと強いんだろうけどギルドまでの道中気をつけろよ。周りの目を見てみろ。
 驚いてる人が大半だが中には打算的な目をしてる奴もいる。これだけ金になるもん持ってたら無理やり奪おうとする奴らもいるだろう。
 特にお前見た目は可憐な少女だから弱そうなんだよなぁ。」

「そうですか‥‥。アドバイスありがとうございます!!とりあえずギルド目指してそこで情報を仕入れることに専念します!!」

「ああ、そうしろよ。冒険者は荒くれ者が多いから気をつけろよ。」

「はいっ!!へへっ。」

「何笑ってんだ?」

「いや、なんか心配してくれるのが嬉しくて。」

「はぁ~、なんかお前見てると不安になるんだよなぁ。よしっ!!えーっと、買取だったよな。結構話が脱線しちまったが全部は買い取れねぇ。」

「はい、街に入るだけのお金が手に入れば大丈夫です!!」

「じゃあ紅玉兎ルビーラビットと銀雪花を買い取らせてくれ。紅玉兎が金貨3枚で銀雪花が金貨2枚な。」

「?!こんなにっ?」

「あのなぁ。どっちも希少素材だぞ。特に紅玉兎なんて綺麗に仕留められていてこんなに大きなルビーを額につけている個体は珍しい。
銀雪花もそうだ。大森林の奥深く条件が揃った時にしか咲かない花だ。なかなか辿り着ける冒険者はいねぇぞ?自覚しろ自覚!!」

「はっはい!!あの!ありがとうございます!!何かお礼を‥‥。」

「いいっていいって。どうしてもって言うなら‥‥。なあ冒険者になるんだろう?なら指名依頼を出したいからそんときはよろしくな!」

「指名依頼ですか?」

「ああ、ある程度のランクまで上がれば指名依頼がくる。商会としては手に入れたい素材があるときに信頼できる冒険者に依頼を出すことがあるんだが素材の採取依頼って意外と難しくてな。討伐依頼なら簡単にできる冒険者もいるんだが採取依頼は特に繊細さや知識も必要なものが多いから依頼通り完璧な状態で採って来れるやつは少ないんだ。だからお前が引き受けてくれると助かる。」

「わかりました!!任せてください!!」

「ははっ、頼もしい限りだぜ。何かあれば頼れよ。」

「はい!!ありがとうございます!!」

「じゃあな!!」

お金も手に入ったので無事に街に入ることができた。
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