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仲睦まじく肩を寄せ合ってとある宿に入っていく男女。
フードで一応は隠しているようだが本気で隠そうとしているようには見えない。
フードの下に見えるのは金髪ロングの髪。彼女は私の義妹であるマリカ。
一方義妹と肩を寄せ合っている男は私が思いを寄せる婚約者。ルックスだけは良い我が伯爵家の領地とは正反対に位置する侯爵家の三男デルクだ。
自分の婚約者が義妹と2人で宿に入って行くところを見てしまうなんて酷い裏切りよね‥‥。ふふっ、あははっ!
笑いが止まらないわ!こんなにも上手く行くだなんて!さあ、舞台は整った。あとこの場に必要なのはお父様とお兄様だわ。早速呼びにいきましょう!
失敗するわけには行かないわ。今日この日のために好きでもない人を好きなフリして入念に準備を進めてきたのだから!
ーーーー
義妹‥‥。私にとって目の上のたんこぶのような存在。
私にはふたつ上の兄がいる。私と兄は正真正銘血のつながった兄弟だ。母はもともと体が弱く、私を産んだ後の肥立ちが悪く私が2歳になる頃に亡くなってしまった。
父は入婿で母が存命の頃は存在感が薄かったわ。母が亡くなって兄が爵位を継ぐこのになったけれど兄は当時4歳。兄が成人するまでの代理として父が立つことになった。母が亡くなってから父は我が物顔でふるまうようになった。正統な後継者である兄を追いやって自分がまるで伯爵であるかのように‥‥。私は女だったからか無関心だった。幼くして母を失い兄まで気軽に会うこともできない。無関心な父。母が亡くなってから父によって雇われた冷たい使用人。昔からの母への忠誠心の強い使用人は解雇されてしまった。
母の死後まもなくして父は後妻を連れてきた。ーー異母妹を伴って。父は母が存命のころから母を裏切っていたのだ。喪に服すべき期間に後妻を迎えるだなんて‥‥。何を考えているの?
後妻がやってきた日から私の生活は変わった。正統な血を継ぐ私が義母は気に入らなかったのでしょう。ことあるごとに私を叱り、理不尽な要求をされる。幸いだったのは食事を止められることや暴力はなかったこと。母が亡くなるまで動けなかった臆病な人たちは周りの目を随分と警戒していた。
食事は与えられるけれど家族の集う食堂へは出入りを禁止され、使用人と同じ質素な食事。義妹のお下がりの私には似合わないドレス。
大切なものは全て義妹に奪われた。私が持っていたドレスも。お気に入りの使用人も。母からの今では形見となった贈り物も。
「いいな~お姉さまのそれ素敵ね?ちょうだい!」
その言葉に逆らう力を私は持たなかった。拒否を示すと罵倒され、強制的に取り上げられる。いつの日か私はあきらめることを覚えた。私は物や周囲に執着することがなくなった。
それでも‥‥。それでも私にだって譲れないものがある。ねえ、義妹?あなたは私の逆鱗に触れてしまったのよ?
フードで一応は隠しているようだが本気で隠そうとしているようには見えない。
フードの下に見えるのは金髪ロングの髪。彼女は私の義妹であるマリカ。
一方義妹と肩を寄せ合っている男は私が思いを寄せる婚約者。ルックスだけは良い我が伯爵家の領地とは正反対に位置する侯爵家の三男デルクだ。
自分の婚約者が義妹と2人で宿に入って行くところを見てしまうなんて酷い裏切りよね‥‥。ふふっ、あははっ!
笑いが止まらないわ!こんなにも上手く行くだなんて!さあ、舞台は整った。あとこの場に必要なのはお父様とお兄様だわ。早速呼びにいきましょう!
失敗するわけには行かないわ。今日この日のために好きでもない人を好きなフリして入念に準備を進めてきたのだから!
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義妹‥‥。私にとって目の上のたんこぶのような存在。
私にはふたつ上の兄がいる。私と兄は正真正銘血のつながった兄弟だ。母はもともと体が弱く、私を産んだ後の肥立ちが悪く私が2歳になる頃に亡くなってしまった。
父は入婿で母が存命の頃は存在感が薄かったわ。母が亡くなって兄が爵位を継ぐこのになったけれど兄は当時4歳。兄が成人するまでの代理として父が立つことになった。母が亡くなってから父は我が物顔でふるまうようになった。正統な後継者である兄を追いやって自分がまるで伯爵であるかのように‥‥。私は女だったからか無関心だった。幼くして母を失い兄まで気軽に会うこともできない。無関心な父。母が亡くなってから父によって雇われた冷たい使用人。昔からの母への忠誠心の強い使用人は解雇されてしまった。
母の死後まもなくして父は後妻を連れてきた。ーー異母妹を伴って。父は母が存命のころから母を裏切っていたのだ。喪に服すべき期間に後妻を迎えるだなんて‥‥。何を考えているの?
後妻がやってきた日から私の生活は変わった。正統な血を継ぐ私が義母は気に入らなかったのでしょう。ことあるごとに私を叱り、理不尽な要求をされる。幸いだったのは食事を止められることや暴力はなかったこと。母が亡くなるまで動けなかった臆病な人たちは周りの目を随分と警戒していた。
食事は与えられるけれど家族の集う食堂へは出入りを禁止され、使用人と同じ質素な食事。義妹のお下がりの私には似合わないドレス。
大切なものは全て義妹に奪われた。私が持っていたドレスも。お気に入りの使用人も。母からの今では形見となった贈り物も。
「いいな~お姉さまのそれ素敵ね?ちょうだい!」
その言葉に逆らう力を私は持たなかった。拒否を示すと罵倒され、強制的に取り上げられる。いつの日か私はあきらめることを覚えた。私は物や周囲に執着することがなくなった。
それでも‥‥。それでも私にだって譲れないものがある。ねえ、義妹?あなたは私の逆鱗に触れてしまったのよ?
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