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5話 ギルドタグ

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「ギルドへの登録は完了いたしましたのでここからはギルド加入にあったての基本事項と注意事項をわたくし、当ギルドの副ギルドマスターを務めていますリネーからご説明させていただきます。」

「お願いします!」

「先ほどお渡ししたギルドタグには種類があり、低い順から見習いルーキーブルーアイアンブロンズシルバーゴールド白金プラチナブラックとなっております。ほとんどの冒険者が鉄~銅ランクですよ。ブラックは伝説上の英雄に与えられたランクなので現在はそのランクに達している人はいません。見習いから青へは依頼内容には関係なく5つ達成すると上がることができます。ランクは依頼の達成度、貢献度から上がるようになっています。鉄ランクからは昇格試験がございます。試験内容は常に変わるので受ける際に確認してください。また、ダンジョンへの入場は鉄ランクから許可されます。」

「なるほど‥‥。」

「ギルドタグは身分を証明するものであると同時に亡くなった時の遺品となります。タグをなくした場合は速やかにギルドにて再発行手続きをお願いいたします。なお、再発行は有料となっておりますのでご注意ください。これで説明は以上となります。気になることがあればいつでも聞いてください。」

「ありがとう。早速なんだがおすすめの宿をきいてもいいか?あと魔物や薬草について詳しく知りたいんだがギルドの方で講習とかやってたりするのか?」

「はい、まず宿の方ですが何かご希望はございますか?」

「そうだな‥‥。ある程度警備がしっかりしていて個室がいい。あとできればシャワーが欲しい。」

多少高くなっても安全と快適さ重視で!先の見通しが立っていないから節約すべきだとは思うけど慣れない環境で宿代をケチれば悲惨なことになるだろう。快眠は何よりも重要だからな!それに日本人としてシャワーがないのは耐えられない!!

「その条件ですと少しお高めにはなってしまいますが『止まり木』という宿がおすすめですよ。シャワーは共同にはなりますが宿にございます。他ですと貴族や裕福な商人向けになってしまいますが‥‥。」

「ありがとう。『止まり木』に行ってみるよ。」

「ではギルドで行っている講習ですが見習いランクを対象に無料で戦闘講習を行っております。戦闘に関する知識や実践における基本的な武器の扱い方などをギルド推薦の先輩冒険者の指導のもと指導しております。薬草や魔物に関する知識が知りたければ2階にある資料室に魔物図鑑や薬草図鑑がございますのでお読みになってみてください。」

「戦闘講習‥‥。それを受けたいんだがどうすればいい?」

「はい、ではこちらの書類に名前を書いてください。来週の火曜日から開始になります。」

「ありがとう。」

戦闘講習は本当にありがたい。なんせ知識ゼロの実戦経験もない。剣なんて握ったこともなければ本物を見たこともないからな。

図鑑も読みたいが先に宿をとろう。『止まり木』に行ってみよう!

ギルドから宿屋の集まった通りに向けて歩く。その途中に思い返すのは先ほどのギルドでの出来事。対応してくれたのは副ギルドマスターのリネーさん。柔和な笑みの似合う美人だが、荒れくれ共の多いギルドでナンバー2を務めているあたり額面通りの人ではないだろう‥‥。実際ににこにこと笑ってはいたが彼女の受付口には誰一人並んでいなかった。他はたくさん並んでいたのに‥‥。ーーそれはそれでいいのだろうか?

美人は怒らせると怖いというが屈強な冒険者たちでも恐れるほどに彼女の怒った姿は怖いらしい。噂だが冒険者たちの暗黙の了解にリネーさんだけは怒らせるなという文言があるらしい。そんなに怖いって逆に見てみたくなるが‥‥。まあ触らぬ神に祟りなし、だな。

あとから知ったのだがリネーさんは詳細まで確認できる鑑定スキルを有していて納品の際の品質基準が高く、査定がかなりシビアなため彼女の受付口に並びたがる冒険者は少ない。大体の冒険者は多少安く買いたたかれようとも数を納品しそれ相応に稼げればいいという考え方だ。しっかりと丁寧に採取、適切に保存して持ってくる少数派にとっては彼女の受付口はありがたいのだ。







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受付嬢side

意外ですね。お礼を言う方なんてあまりいないので新鮮です。それに粗雑な冒険者の中で目立つ品の良さ。貴族に見えるわけではないけれどただの平民とも違うような‥‥?

それに彼、魔力量は少ないけれど全属性が使えるだなんて‥‥。今までいろんな冒険者を見てきましたがそんな方初めてです。かの有名な英雄と同じ。これから面白いものを見せてくれそうだわ。

まぁ、なんにせよ彼はこれから順調にランクも上がるでしょう。

ふふっ、楽しみですね。

彼の成長が。

ーーお前がそんな顔してるなんて珍しいな。なんかあったのか?

あぁ、ギルドマスター。なかなか期待できる新人がいたのですよ。

ーーほぅ、お前がそう言うなら確かだな。楽しみだ。


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