追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ

文字の大きさ
上 下
6 / 9

6話

しおりを挟む
「送っていただいてありがとうございました。」

「いいえ、騎士として当然のことをしたまでです。」

「あのっ、これお礼として受け取ってください。」

「これは??」

「私、薬屋を営んでいるんです。私の作った回復ポーションです。」

「(手作り‥‥嬉しい!)ありがとうございます!大切に使いますね?」

「怪我したら使ってくださいね?」

「はい、ところで旦那さんは‥‥??」

「あの‥‥この子の親は私だけなんです。」

「?!失礼なことを聞いて申し訳ございません。」

「気に病まないでください。今日は遅くまでありがとうございました。いらぬ心配かもしれませんがお気をつけて。」

「ありがとうございます。ではおやすみなさい。」

「ぅーん?お母さま??」

彼が去る直前で目を開けたルーカス。その瞳は紫色をしていた。

瞳の色を確認した瞬間違和感のないように隠した。

きちんと隠せただろうか?

心臓がバクバクなる。

どうしよう?バレた?でも‥‥一瞬だった。彼が見ていたとも限らない。

大丈夫。きっと大丈夫よ。

「お母さま?」

「ああ、ごめんね。ルーカス。目薬しましょう?」

「うん!」

「もう夜も遅いわ。おやすみなさい。」

「おやすみー!!」

すやすやと穏やかな寝息を立てて眠る我が子を見守る。

きっと大丈夫よ。もう彼に会うことはないだろうし。

あと3週間ちょっと。接触のないように気をつけましょう!気を引き締めるのよ!クレア!!



ーーーー

「あっ団長帰ってきた!」

「「「「「お帰りなさい!!」」」」」

「なんだ?お前たち。」

「まあまあ飲みましょう。今日は最後まで付き合いますから!」

「飲んで嫌なことは忘れちゃいましょう!」

「俺も失恋したんです!慰めてください!!」

「お前はいつも失恋してるだろ。大体あって3秒で惚れだって何だよ。しかも毎回彼氏持ちだしさぁ~。」

「だって~うぅ~。」

「何でお前がもう酔ってるんだ!」

「おい、何だこれは?」

「団長を慰める会です!」

「はぁ?何でお前らに慰められなきゃならないんだ??」

「ぇ?だって失恋したんでしょう?あのお嬢さんお子様いたじゃないですかー!」

「あぁ、旦那はいないそうだ。」

「「「「「「「?!」」」」」」」

「じゃあいける?!」

「お前ら、絶対に手出すなよ?」

「おお、怖っ。さすが団長。殺気混じりはマジですね。」

「お嬢さん怖がらせないでくださいよ!」

「それがよ!団長、あのお嬢さんの前では爽やかに笑ってたんだよ!」

「「「嘘だぁ~!」」」

「本当だって!」

「え?団長笑えたんですか?」

「失礼な奴だな。俺だって笑えるさ。さあ!お前ら邪魔だ!どっか行け!!」

「「「「はははっ!!」」」」

「はぁ~結局飲みたいだけだろ。」

「まあまあ良いじゃないですかぁー!!」

「そうだ!そうだ!!」

騒がしい夜は深夜に至るまで続いた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

前世を思い出したので、最愛の夫に会いに行きます!

お好み焼き
恋愛
ずっと辛かった。幼き頃から努力を重ね、ずっとお慕いしていたアーカイム様の婚約者になった後も、アーカイム様はわたくしの従姉妹のマーガレットしか見ていなかったから。だから精霊王様に頼んだ。アーカイム様をお慕いするわたくしを全て消して下さい、と。 ……。 …………。 「レオくぅーん!いま会いに行きます!」

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?

朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!  「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」 王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。 不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。 もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた? 他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

好きにしろ、とおっしゃられたので好きにしました。

豆狸
恋愛
「この恥晒しめ! 俺はお前との婚約を破棄する! 理由はわかるな?」 「第一王子殿下、私と殿下の婚約は破棄出来ませんわ」 「確かに俺達の婚約は政略的なものだ。しかし俺は国王になる男だ。ほかの男と睦み合っているような女を妃には出来ぬ! そちらの有責なのだから侯爵家にも責任を取ってもらうぞ!」

彼女は彼の運命の人

豆狸
恋愛
「デホタに謝ってくれ、エマ」 「なにをでしょう?」 「この数ヶ月、デホタに嫌がらせをしていたことだ」 「謝ってくだされば、アタシは恨んだりしません」 「デホタは優しいな」 「私がデホタ様に嫌がらせをしてたんですって。あなた、知っていた?」 「存じませんでしたが、それは不可能でしょう」

この罰は永遠に

豆狸
恋愛
「オードリー、そなたはいつも私達を見ているが、一体なにが楽しいんだ?」 「クロード様の黄金色の髪が光を浴びて、キラキラ輝いているのを見るのが好きなのです」 「……ふうん」 その灰色の瞳には、いつもクロードが映っていた。 なろう様でも公開中です。

王家の面子のために私を振り回さないで下さい。

しゃーりん
恋愛
公爵令嬢ユリアナは王太子ルカリオに婚約破棄を言い渡されたが、王家によってその出来事はなかったことになり、結婚することになった。 愛する人と別れて王太子の婚約者にさせられたのに本人からは避けされ、それでも結婚させられる。 自分はどこまで王家に振り回されるのだろう。 国王にもルカリオにも呆れ果てたユリアナは、夫となるルカリオを蹴落として、自分が王太女になるために仕掛けた。 実は、ルカリオは王家の血筋ではなくユリアナの公爵家に正統性があるからである。 ユリアナとの結婚を理解していないルカリオを見限り、愛する人との結婚を企んだお話です。

あなたの仰ってる事は全くわかりません

しげむろ ゆうき
恋愛
 ある日、婚約者と友人が抱擁してキスをしていた。  しかも、私の父親の仕事場から見えるところでだ。  だから、あっという間に婚約解消になったが、婚約者はなぜか私がまだ婚約者を好きだと思い込んでいるらしく迫ってくる……。 全三話

二度目の恋

豆狸
恋愛
私の子がいなくなって半年と少し。 王都へ行っていた夫が、久しぶりに伯爵領へと戻ってきました。 満面の笑みを浮かべた彼の後ろには、ヴィエイラ侯爵令息の未亡人が赤毛の子どもを抱いて立っています。彼女は、彼がずっと想ってきた女性です。 ※上記でわかる通り子どもに関するセンシティブな内容があります。

処理中です...