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国のタイプ

  半導体覇権争い

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「話、脱線するんだけどさぁ」
 佐々木が言うと、はい、と吉田が頷く。
「少し前にさぁ、NHKかさっきのテレ東日経ニュースかで、アメリカと中国が半導体で覇権争いしてる、みたいなのやってたのね」
「ああっはい、言いますよね、それ」

「で、アメリカはさぁ、昔、自分たちで半導体作ってたけど、日本に負けて作らなくなってさぁ」
「はい」
「まぁ日本はその後、台湾に負けるんだけど・・・・」
「あははっはい」

「でもその、アメリカは・・・」
 佐々木は首を傾ける。
「作らないけど、設計はしてたのね」
「はい」
「で、今度、台湾のメーカーを誘致して、製造もやるみたいなの、そのテレビでやってたのね」
「はいはい」

「そこでその・・・・設計してるアメリカのメーカーのシーイーオーだ開発主任だかが、インタビューに答えてたのね」
「はい」
「これから自動運転車なんかに半導体が必要になるから、半導体産業は百兆円になるみたいな話してたのね」
「はいはい」
「その人、思いっきりインド人なのね」
「ははははははっ、まぁ当然ですよね」

「それでさぁ、その後、中国の方の企業も映すんだけどさぁ」
「はい」
「こっちはもちろん、当然、中国人なのね」
「まぁ、そうでしょうね」
「じゃぁさぁ、これはさぁ」
 佐々木が手を振る。
「アメリカにいるインド人と、中国にいる中国人の戦いなのか?」
「はい」
「違うよね」
「ハハハハッ、違いますね」

「なぜなら」
「なぜなら」
「そのインド人がいたアメリカの企業には、間違いなく山ほど中国人いるからね」
「そうですね」
 笑いながら吉田は頷く。

「もっと言えばだよ」
 佐々木が指をくるくる回す。
「中国人の優秀な、一流の奴らはみんな、アメリカ行くのね」
「はい、そうっすね」
「中国にいるのは、二流の奴らなのね」
「はいはい」
「日本のプロ野球に例えると・・・」
「例えるな」
 吉田のツッコミを無視して、佐々木が続ける。
「メジャーに行けないから、仕方なく巨人にいる様な奴らだよ」
「ハハハハッ、怒られろ」


「つまりね」
「はい」
「アメリカと中国の半導体の覇権争いって言ってるけど」
「はいはい」
「内情を野球に例えると」
「例えないでください」
 吉田の抗議を佐々木は無視する。
「イチローや大谷や、キューバのすごい選手がいるアメリカのヤンキース対」
「大谷はヤンキースじゃ無いです」
「まぁいいから、そういうヤンキース対、巨人の試合」
「ハハハハッ、例えないでください」
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