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週刊なにがしインターナショナル

  メキシコのボクシング漫画

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「でね」
「はい」
「さっきのメキシコのボクシング漫画の話に戻るんだけさぁ」
 ハハハハッと軽く笑い、
「戻るんだ」
と吉田がツッコむ。

「こう・・・・さっき言ったけどさぁ」
「はい」
「途中で八百長とかするわけよ、生きていく為に、お金の為にね」
「はいはい、仕方なくね」
 仕方なく、と言って佐々木が頷く。

「でその八百長の試合を、ライバルが観る訳なのね」
「はいはい」
「それも、元々主人公はライバルキャラを意識してる、ライバル視している、もっと言うと憧れというか尊敬があるのね」
「ああっ、はいはい」
「でもライバルの方は、眼中に無い」
「はい、王道ですね」
「主人公はライバルに認められてくて頑張って、少しその・・・なんか試合があってライバルが、なんだアイツ、結構強いのか、って少し認めてくれ始めた時に」
「時に」
「そこで八百長なのね」
 手を振って佐々木が熱弁を振るうと、ハハハハッと吉田が笑う。

「最悪ですね」
「最悪だよ、お前そんなもん」
 それも・・・と佐々木が話を続ける。
「酒飲みでさぁ、自分と母親を捨てた親父が戻ってきて、なんか世話になっているやくざの親分に頼まれたんだ、的に言って来るのね」
「ハハハハッ最悪だ」

「で、ふざけんなってなるんだけど」
「なるんだけど、でも・・・・」
「でも母親が病気でその治療費がいるとか、そんなんがあって」
「そんなんがあって、母親の為に」
「そう母親の為に、大事な母親の為に、負けるのね」
「ハハハハッ、いいですね」

「だからその・・・・試合中、最初迷うのね」
「はいはい」
「ライバルが観にきてるから、折角相手がさぁ、こっちを意識し始めてくれてるんだから、良いところを、強いところを見せたいのね」
「でも」
「でも母親の病気の為に、わざと負けないといけない」
「ハハハハッ、燃える展開ですねぇ」

「で、で、で、最後わざと負けてさぁ」
「はい」
「リングで倒れているのね」
「はいはいはい」
「それを観て、ライバルは去って行く訳じゃん」
「そうですね」
「なんだあいつ、八百長なんかやる奴なんだってライバルが思う訳」
「ライバルは八百長って気づくんすね」
「当たり前じゃん、それはもう凄い、ボクシングの才能があるから」
「まぁまぁそうですね」

「でね」
「はい」
「ライバルにとってボクシングは崇高なものなのね」
「はいはいはい」
「八百長なんかするのは、ボクシングを冒涜するクズだと思ってんのね」
「はははっ、はい、そうですね」
「で、主人公もボクシング好きで、ボクシングに対しては正直でありたい」
「でも」
「でも母親の為に、お金の為に八百長をせざるを得ない」
「ハハハハハッ」
「リングでね、わざと負けてね、倒れて泣いてる訳だよ」

「先輩」
「うん?」
「存在しない漫画の話ですよね」
「そうだよ」
 佐々木が頷く。
「俺は今、存在しない漫画を熱く語ってるから」
 ハハハハハハハハッと吉田は大爆笑して、
「あんたほんと、なんなんだよ」
とツッコむ。
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