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漫画家の漫画家による漫画家のための漫画雑誌

 三千五百円

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「でね」
「はい」
「月刊ウラサワが刊行されたとしてね」
「はい・・・・まぁ先輩の妄想ですけどね」
「あのなぁ」
 佐々木が首を振る。
「ずっとおれの妄想だから」
「ハハハハハハッ、はいもちろん」

「で、こう・・・大々的に宣伝してさぁ」
「はい」
「漫画家の漫画家による漫画家の為の漫画雑誌だ」
「はいはい」
「まぁそれだけ聞けば、普通の人は読むなよって話になるけど」
「ハハハハハハッ、そうですね・・・・・そうですか?」
 吉田が笑う。

「まぁとにかく、そういう漫画雑誌が出来ましたと」
「はいはい」
「でそこに、高橋留美子先生を初め、大物の漫画家が自分の本当に描きたい漫画を描いていると」
「はい」
「じゃぁちょっと買ってみようかなと」
「先輩買うんですか?こち亀しか読まない先輩が」
「まぁせっかくだから」
「ハハハハハハッはい」

「で、本屋に行ったら、置いてあるわけじゃん」
「はい」
「一冊、三千五百円」
「えっ?高い」
 吉田は驚く。
「高くないですか?ていうか高すぎでしょう」
 いやいや、と佐々木が手を振る。
「商業作品じゃないから、芸術作品だから、画集みたいな扱いだから」
「いや、それでも・・・・・」
「初回だけだから、次から二百円」
「ハハハハハハッ、なんとかゴスティーニみたい」
「逆だろ、あれ初回だけ安いだろう」
「そうですね」
「だから逆ゴスティーニ」
 ハハハハハハッと吉田は笑う。
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