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二つのドラゴンボール

 夢を売っているんだ

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「でさぁ」
「はい」
「何年かして、その・・・・・話のきりのいい所でさぁ」
「はい」
「鳥山先生がさぁ、また編集者に言うのね」
「はいはい」
「辞めたいんだけど」
「はい辞めたい、当然辞めたい」
「もう描くことが苦痛でしかないんだけど」
「辛い?」
「辛い」
「もう・・・本当に、ほんとぉおおおおに嫌なんだけど」
「魂がこもってる」

「お話も浮かばないし、正直自分でも何描いてるのか分からないと」
「ハハハハハッ、もうそこまで?」
「そこまで来てる」
 佐々木が頷く。
「勘弁してくれと」
「はい」
「頼むと、お願いしますと」
「ハハハハハッ」

「そこまで鳥山先生が頼むんだけど・・・・」
「はいはい」
「編集者は聞き入れない」
「まぁ許すわけないですよね」
「まぁまぁ先生」
「はい」
「今やドラゴンボールは世界中で人気なんです」
「はい、そうですね」
「世界中の子どもたちが待っているんです、先生のドラゴンボールをと」
「ハハハハハッ、はい」
「そこまで言われたらね、鳥山先生も」
「先生も」
「分かったと、金の為なら今すぐ辞めてやるけどなと」
「ハハハハハッ、いや別にいんじゃないですか?金の為で」
「いやいや、鳥山先生はそんな人じゃない」
 佐々木が首を振る。

「漫画家は夢を売っているんだと」
「まぁそうなんだ」
「昔、さんまさんも言ってた」
「言ってた?さんまさんも言ってた?」
「金じゃない、夢を売っているんだと」
「ハハハハッそうなんだ・・・・・でもさんまさん漫画家じゃないじゃないですか」
 違う違うと佐々木は首を振る。
「エンターテイナーは全て夢を売ってるってこと」
「ああはい、なんでもいいです」
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