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唐行き
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「負ければ全てを失う」
遠くを見つめながら輝虎は告げる。
「領地も、国主の座も、全てじゃ」
輝虎の言葉に、小島弥太郎貞興は無表情で黙っている。
貞興にすれば、それがどうしたと言うところなのだろう。
小島弥太郎貞興には命しかない。
命だけ賭けて、戦さに出ている。
その貞興から見れば、領地を失うなど言っている輝虎の言葉など、大した事でないのだ。
ハハハハハッ、と輝虎は笑う。
貞興のその顔が、無性に可笑しかったのだ。
「おい、弥太郎」
微笑みながら輝虎は言う。
「もしわしが全てを失えば、わしと共に唐に渡らぬか?」
クッと輝虎は貞興に顔を近づける。
「わしの軍略とお前の武勇があれば、唐だろうが天竺であろうが、思いのままに戦さをして天下を取れる」
まぁ、日ノ本では取れんかったがな、と輝虎は心の中で苦笑する。
「どうじゃ?」
輝虎が問うと、貞興は顔を顰めている。
「迷惑か?」
ええっ、と短く小さな声で、貞興は答える。
「仕方がない」
顔を正面に戻し、輝虎は呟く。
「唐には一人で行くとしよう」
「殿」
貞興は正面を向いたまま、輝虎の方を見ずに告げた。
「迷惑とは言いましたが、いかぬとは言っておりませぬ」
その言葉に輝虎は苦笑する。
遠くを見つめながら輝虎は告げる。
「領地も、国主の座も、全てじゃ」
輝虎の言葉に、小島弥太郎貞興は無表情で黙っている。
貞興にすれば、それがどうしたと言うところなのだろう。
小島弥太郎貞興には命しかない。
命だけ賭けて、戦さに出ている。
その貞興から見れば、領地を失うなど言っている輝虎の言葉など、大した事でないのだ。
ハハハハハッ、と輝虎は笑う。
貞興のその顔が、無性に可笑しかったのだ。
「おい、弥太郎」
微笑みながら輝虎は言う。
「もしわしが全てを失えば、わしと共に唐に渡らぬか?」
クッと輝虎は貞興に顔を近づける。
「わしの軍略とお前の武勇があれば、唐だろうが天竺であろうが、思いのままに戦さをして天下を取れる」
まぁ、日ノ本では取れんかったがな、と輝虎は心の中で苦笑する。
「どうじゃ?」
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「迷惑か?」
ええっ、と短く小さな声で、貞興は答える。
「仕方がない」
顔を正面に戻し、輝虎は呟く。
「唐には一人で行くとしよう」
「殿」
貞興は正面を向いたまま、輝虎の方を見ずに告げた。
「迷惑とは言いましたが、いかぬとは言っておりませぬ」
その言葉に輝虎は苦笑する。
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