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  酔っ払いの話

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「でね」
「はい」
「話を繰り返すと」
「またですかぁ」
 吉田が呆れる。

「さっきからグルグル同じところ回ってますよ」
「会話ってそういうものだから、リアルな会話ってそういうものだから」
 笑いながら、
「酔っ払いの会話」
と吉田が言うと、
「うるさいわ」
と佐々木が言う。


「でね」
「はい」
「今はさぁ、現状・・・・・」
 佐々木が眉を寄せる。
「俺が深夜のアニメで北斗な拳を観て」
「うそんこの話として」
「もちろん、うそんこの話として」

「このシーズン2が観たいと」
「続きが観たいと」
 吉田が相槌を打つ。
「そしてら北斗な拳のシーズン1のDVDを買って」
「はい、買って」
「それがアニメ会社の制作費になって」
「制作費になって」
「それでDVDが売れたんなら、シーズン2を作ろうかって事じゃん」
「そうですね」

「でも俺はハードディスクに録画してるから、DVD要らないのね」
「確かにそうですね」
「でアニメ会社側は・・・・・」
 佐々木が手を振る。
「ハードディスクにとってるから、DVD要らないんだけどって俺らが言うと、じゃあこのDVDに主演のケン・シーロー役の山寺さんが出る、イベントのチケットがついてますって言うのね」
「ハハハハハッ、ケン・シーローって」
「バッタもんだから」
「バッタもんですからね」

「でも俺は山ちゃんにそんなに会いたくないし」
「失礼な」
「神谷さんならともかく」
「失礼ですよ、山寺さんに」
「まぁとにかくね」
「はい、とにかく」
「イベントに行ったら、山ちゃんにオッハー出来るって言われても、俺はそういう事には興味ないのね」
「はいはい」
「ただこのアニメ、北斗な拳のシーズン2が観たい」
「はいはいはい」
「それもDVDって幾らぐらいするのか分からんけど、一万円とか五千円は出せん」
「はい」
「まぁ千円、二千円」
「はいはい」

「それも俺が、千円二千円出して、シーズン2をやる確率が上がるんならいいよ」
「はいはいはい」
 吉田は笑う、
「シーズン2を作るのに、一億円かかる、七千万集まってるのならいいよ」
「三百万なら?」
「三百万なら出さんよ」

「だから俺が言いたいのは」
「はい」
「制作費は出すけど」
「はい、千円だけど」
「千円だけど制作費は出す」
「だけどDVDは要らないし、別に山寺さんにも会いたくない」
「はいはいはい」
「更に言うと、それとやる可能性が低いなら出さないよって話」
「ハハハハハッ」

「そういうシステムでも、いんじゃないのって話」
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