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  唯一耐えられない屈辱

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「話を戻すと」
「はい」
「とにかく俺が言いたいのは、俺はCMを観て、何か買おうと思った事はないのね」
「まぁそれは先輩がですけどね」
「まぁまぁまぁ」
「はい、まぁまぁまぁ」

「それに俺が言いたいのは」
「はい」
「その番組が、あるいはその芸能人が、存在する権利を売って欲しいってことなのね」
「芸能人が存在する権利って・・・・凄いな」
「まぁまぁまぁ言い方良くないけどね」
「はい」



「例えば・・・・・」
 佐々木が指を回す
「俺ブラタモリ好きじゃん」
「そうですね、よく話しますよね」
「ていうか俺、今、テレビ番組、ブラタモリした観てないのね」
「ああっ、そうなんすか」
「・・・・・・・ちょっと待て」
「はい?」
「今、この流れでブラタモリしたテレビ観てないって言うと、俺、タモさんのこと面白いと思っているって思われるじゃん」
 ハハハハハッと吉田が笑う。
「たけしさんやさんまさんや松本さんや江頭さんより、タモさん面白いと思っているように思われるよね」
「だからその並びに、当然のように江頭さん入れないでください」
「いやいやいやいや、タモさん面白くないからね」

「俺は生きててね」
「はい」
「どんな屈辱にも耐えられるけど」
「そうなんだ・・・・そうかな?」
「あの人、タモさん面白いと思ってるらしいよ、って思われる屈辱には絶対耐えられないから」
「ハハハハハッどれほどの屈辱なんですか、それ」

「あのね」
「はい」
「ブラタモリっていう番組は、四十五分あるんだけど、あの爺さん一回も面白いこと言わないからね」
「ハハハハハッ爺さんいうな、タモさんのこと、爺さん言うな」
「さんまさんなら四十五分あったら三百回は面白いこと言っているから」
「それも異常」

「そんなにつまんないなら、観なけれいいじゃないですか」
 いやいや、と佐々木が首を振る。
「タモさんはつまんないけど、ブラタモリは自体は面白いのね」
「そうっすか」
「違うな」
「違うんかい」

「つまんない組の俺が、つまんないブラタモリが面白いのかな」
「ハハハハハッもうなんでもいいです」
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