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 今の中国は昔の日本で、未来のインド

 植民地だったから、英語が喋れる

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「つまりさぁ」
「はい」
「インド人が上司だったら・・・」
 佐々木が手を合わせる。
「富士通さん、コンニチワって言わなくていいのね」
「そうですね」
 苦笑しながら吉田が頷く。

「まぁ、正確に言うと、ナマステって言わなくていいのね」
「はいはいはい」
「英語が喋れるからね」
「そうですね」

「でもさぁ」
「はい」
「じゃななんでそんなに、インド人が英語が堪能かって言うと・・・・」
 佐々木は空中で三角形を描き、インドを表す。
「インドがイギリスの植民地だったからなんだよね」
「そうですね」

「皮肉だなぁって思うのはさぁ」
「はい」
「日本はその・・・・・まったく植民地じゃなかったわけじゃん」
「そうですね」
「だから英語下手なわけじゃん」
 苦笑しながら、そうですね、と吉田が頷く。
「植民地だったからさぁ、インド人は英語が堪能でさぁ」
「はい」
「だから経済的に豊かになった時、アメリカや他の国に進出するのが上手くいくわけじゃん」
「確かに皮肉ですね」
 吉田が頷く。

「あの・・・・・」
 何?と佐々木が尋ねる。
「話、そっちにいくんですね」
「はぁ?」
「いや、俺が思ってた方向に、先輩の話が行かなかったから」
「なんだそれ」
 
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