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第百七十二話 ダンジョンの3階層
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翌日、朝食を家族と一緒にとったサイリールは、子供達が授業へ向かうのを見送ってからアソートに声をかけた。
「アソート、もうダンジョン行けるけども、どうする?」
「わぁ、早いね!ボクも行くよー。準備してくるね」
「分かった。準備できたら僕の部屋へ来て。ゲートはそこにあるから」
「了解~」
そうして、サイリールは自室へ戻り、アソートが来るのを待った。
しばらくしてサイリールが用意した戦闘用の衣装に着替えたアソートがやってきた。
アソートの為にサイリールが作った物である。
首元まで隠すぴったりとした黒いインナーと、その上には黒い皮のコートで膝下くらいまでの長さがある。
コートの胸元は皮と金属の止め具でしっかりと閉じているが、腰から下は留め具はついておらず動きやすいように加工されている。
そして、下もどちらかというとぴったりした感じの黒いズボンである。
靴も手袋すらもサイリールが作った物だ。
当然すべて体の動きを阻害したりなどはしない。
見た目の雰囲気としてはコートがなければ、暗殺者や裏稼業が着ていそうな服だが、強度はありえない程しっかりしている。
アソートも切られても別に痛みはないし死にもしないのだが、そこはサイリールの過保護が発揮した感じである。
元々アソートは切られれば傷つき、死ぬ事さえある体だったのだ。
やはり気分的にケガを負うというのはよくないだろうと、サイリールが彼の為に作ったのだ。
それでも露出している顔や頭は保護出来ないのでやはりサイリールが気にかける事にはなるのだが。
それでも顔や頭に比べれば防御しにくいのが体なのだ。
複数の敵を相手にした場合、やはりしっかり体を守ってくれる防具があるのは安心できるだろう。
そうしてサイリールとアソートはゲートをくぐってダンジョンへと移動した。
基本的にはサイリールが前衛として動き、アソートがサポートする形になるだろう。
効率よく討伐する為に、すでに薄くした闇は放ち敵の場所は把握している。
あくまでもこれは疑似的な冒険で、彼らにとっては遊びなのだ。
さぁ、ダンジョン討伐の開始だ。
とりあえず近場の敵から倒す事にしたサイリールは足を進めた。
3階層にいたモンスターは2階層とはまた違うモンスターだった。
人型で肌の色と角を除けばソレはぱっと見は人相の悪い人間に見える事だろう。
オーガ、肌の色は赤く、額の両端から10cmはあろうかという角が2本生えている。
顔は凶悪で、下顎からは立派な牙が口から飛び出している。
上半身は何もつけておらず、下半身に粗末な布が巻きついているだけだが、その剥き出しの皮膚の下にはどれだけ強靭な筋肉がついているのだろうかと思わせる体躯をしている。
そんなオーガの手には鉄の棒のような物を持っている。
他に、首から下げる革紐のネックレスを付けているが、それについている石、あれはコボルトが稀に落とす特殊な石だろう。
そんなオーガが2体、更に一緒にいるのは虎だろうか、立派な体躯の獣が2匹、共にいる。
ここの階層はこの2体と2匹で行動しているのがほとんどのようだ。
アソートにはオーガへの攻撃をしてもらい、サイリールは足の速い虎を先に始末する事にした。
剣を握り締めアソートに目で合図をする。
アソートの攻撃手段は至極単純なものだ。
闇を手の平から生み出し、細長い菱形に形成する。
それを数個自らの周りに浮かべた。
その細長い菱形になった闇は非常に硬く鋭い、これが突き刺さればかなりのダメージとなるだろう。
直径は15cm程になるので、うまく心臓に刺せば絶命させる事も可能だし、足を狙えば歩行が困難になるはずだ。
いわば闇の矢といった所だろうか。
そうしてサイリールは姿勢を低くして走り始めた。
すぐに虎が気づき吼える。
その声にオーガが気づき鉄の棒を振り上げた。
そこにアソートが放った闇の矢が見事オーガ二体の脇腹に刺さった。
オーガはたまらず足を止め己の脇腹を押さえる。
その間にサイリールはこちらに走ってくる虎に向けて剣を振るう。
初撃で虎の1匹の眉間に深く突き刺す。
その一撃で最初の虎は命を落とした。
すぐに剣を抜くとこちらに前足を振り上げたもう1匹の虎のその前足を切り落とす。
前足を失った虎はぎゃうっと鳴き声を上げながら失った前足では踏ん張れずに転げる。
サイリールはその場で反転して転がった虎を追いかけ、そのまま胸に剣を突き立てる。
虎はビクンと痙攣した後動かなくなった。
すぐさまに剣を引き抜くとオーガへ向けて走り始める。
いまだオーガは己の脇腹を押さえている状態だ。
そして、サイリールの横をアソートの闇の矢が駆け抜ける。
それは再び2体のオーガの右肩に深く突き刺さった。
オーガ達はたまらず持っていた鉄の棒を落としてしまう。
こうなれば後は簡単だ。
サイリールはそのまま走り続けて剣を一閃、続けてすぐ隣にいるオーガにも剣を突き刺す。
アソートの支援によって痛みと混乱に襲われていたオーガはあっけなくサイリールの剣によって命を絶った。
一息ついて剣をしまうとサイリールは後方を振り返り笑顔を浮かべた。
「助かったよ、アソート」
その言葉にアソートも笑顔を浮かべる。
「役に立てたようでなによりだよ!」
そうして二人は3階層の攻略を進めていった。
「アソート、もうダンジョン行けるけども、どうする?」
「わぁ、早いね!ボクも行くよー。準備してくるね」
「分かった。準備できたら僕の部屋へ来て。ゲートはそこにあるから」
「了解~」
そうして、サイリールは自室へ戻り、アソートが来るのを待った。
しばらくしてサイリールが用意した戦闘用の衣装に着替えたアソートがやってきた。
アソートの為にサイリールが作った物である。
首元まで隠すぴったりとした黒いインナーと、その上には黒い皮のコートで膝下くらいまでの長さがある。
コートの胸元は皮と金属の止め具でしっかりと閉じているが、腰から下は留め具はついておらず動きやすいように加工されている。
そして、下もどちらかというとぴったりした感じの黒いズボンである。
靴も手袋すらもサイリールが作った物だ。
当然すべて体の動きを阻害したりなどはしない。
見た目の雰囲気としてはコートがなければ、暗殺者や裏稼業が着ていそうな服だが、強度はありえない程しっかりしている。
アソートも切られても別に痛みはないし死にもしないのだが、そこはサイリールの過保護が発揮した感じである。
元々アソートは切られれば傷つき、死ぬ事さえある体だったのだ。
やはり気分的にケガを負うというのはよくないだろうと、サイリールが彼の為に作ったのだ。
それでも露出している顔や頭は保護出来ないのでやはりサイリールが気にかける事にはなるのだが。
それでも顔や頭に比べれば防御しにくいのが体なのだ。
複数の敵を相手にした場合、やはりしっかり体を守ってくれる防具があるのは安心できるだろう。
そうしてサイリールとアソートはゲートをくぐってダンジョンへと移動した。
基本的にはサイリールが前衛として動き、アソートがサポートする形になるだろう。
効率よく討伐する為に、すでに薄くした闇は放ち敵の場所は把握している。
あくまでもこれは疑似的な冒険で、彼らにとっては遊びなのだ。
さぁ、ダンジョン討伐の開始だ。
とりあえず近場の敵から倒す事にしたサイリールは足を進めた。
3階層にいたモンスターは2階層とはまた違うモンスターだった。
人型で肌の色と角を除けばソレはぱっと見は人相の悪い人間に見える事だろう。
オーガ、肌の色は赤く、額の両端から10cmはあろうかという角が2本生えている。
顔は凶悪で、下顎からは立派な牙が口から飛び出している。
上半身は何もつけておらず、下半身に粗末な布が巻きついているだけだが、その剥き出しの皮膚の下にはどれだけ強靭な筋肉がついているのだろうかと思わせる体躯をしている。
そんなオーガの手には鉄の棒のような物を持っている。
他に、首から下げる革紐のネックレスを付けているが、それについている石、あれはコボルトが稀に落とす特殊な石だろう。
そんなオーガが2体、更に一緒にいるのは虎だろうか、立派な体躯の獣が2匹、共にいる。
ここの階層はこの2体と2匹で行動しているのがほとんどのようだ。
アソートにはオーガへの攻撃をしてもらい、サイリールは足の速い虎を先に始末する事にした。
剣を握り締めアソートに目で合図をする。
アソートの攻撃手段は至極単純なものだ。
闇を手の平から生み出し、細長い菱形に形成する。
それを数個自らの周りに浮かべた。
その細長い菱形になった闇は非常に硬く鋭い、これが突き刺さればかなりのダメージとなるだろう。
直径は15cm程になるので、うまく心臓に刺せば絶命させる事も可能だし、足を狙えば歩行が困難になるはずだ。
いわば闇の矢といった所だろうか。
そうしてサイリールは姿勢を低くして走り始めた。
すぐに虎が気づき吼える。
その声にオーガが気づき鉄の棒を振り上げた。
そこにアソートが放った闇の矢が見事オーガ二体の脇腹に刺さった。
オーガはたまらず足を止め己の脇腹を押さえる。
その間にサイリールはこちらに走ってくる虎に向けて剣を振るう。
初撃で虎の1匹の眉間に深く突き刺す。
その一撃で最初の虎は命を落とした。
すぐに剣を抜くとこちらに前足を振り上げたもう1匹の虎のその前足を切り落とす。
前足を失った虎はぎゃうっと鳴き声を上げながら失った前足では踏ん張れずに転げる。
サイリールはその場で反転して転がった虎を追いかけ、そのまま胸に剣を突き立てる。
虎はビクンと痙攣した後動かなくなった。
すぐさまに剣を引き抜くとオーガへ向けて走り始める。
いまだオーガは己の脇腹を押さえている状態だ。
そして、サイリールの横をアソートの闇の矢が駆け抜ける。
それは再び2体のオーガの右肩に深く突き刺さった。
オーガ達はたまらず持っていた鉄の棒を落としてしまう。
こうなれば後は簡単だ。
サイリールはそのまま走り続けて剣を一閃、続けてすぐ隣にいるオーガにも剣を突き刺す。
アソートの支援によって痛みと混乱に襲われていたオーガはあっけなくサイリールの剣によって命を絶った。
一息ついて剣をしまうとサイリールは後方を振り返り笑顔を浮かべた。
「助かったよ、アソート」
その言葉にアソートも笑顔を浮かべる。
「役に立てたようでなによりだよ!」
そうして二人は3階層の攻略を進めていった。
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