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第百十四話 お昼ごはん
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ガチャリと開いた扉の向こうからは少し頬をピンク色にした子供達がいた。
メイドに案内されてそれぞれ席についていく。
そこまで席順はしっかり区別はしていないが、サイリール、つまり主人に近い位置に割り振られたのはやはりセイだった。
一応子供達の中では一番リーダー的な位置にいるためだ。
幼い子達はこの後お昼寝なので扉に近い方に配置されている。
もちろんメイドが食事のサポートをするので、まとめられているのだが。
「よくあったまれたかい?」
サイリールの質問にセイが答えた。
「うん!すげーなふろって。からだもすげぇさっぱりしたぜ。おれふろすきだ」
「そっか、よかった。小さい子だとお風呂が苦手な子もいたりするけど、他の子は大丈夫だったかな?」
「あっちはわかんねーけど、こっちのちびたちはけっこうたのしんでたぜ。イーナのほうはどうだった?」
セイに話しを振られたイーナはもじもじしながらもしっかりと答えた。
「エリーがちょっとあついおゆがにがてみたい。たぶんなれてないだけだとおもう。あたしもちょっとあついおゆにびっくりしたもん」
「そっかー。おれはあのあついおゆにつかるとさ、ぜんしんがこう……じーんとしてさ、すげーきもちいいんだよなー。まいにちはいるものらしーから、おれはけっこうたのしみだぜ!」
ニコニコと笑って感想を言うセイを見たイーナはとても嬉しそうに、優しい目でセイを見ていた。
「そっか、よかったね、セイにいちゃん」
「おう!」
そんな二人の会話に釣られてお風呂の感想を言い合う子供達を見てサイリールもアソートもニコニコと笑顔になっていた。
しばらくして使用人達がカートを押してやってきた。
とりあえずしばらくはそこまでマナーにこだわらない予定だ。
食事の時のマナーも勉強として学んで行く事になる。
かといってそこまで厳しくするつもりもないのだが。
そうして上座から順に料理が配膳されていく。
子供にも食べやすい味付け、状態にされている。
メインとサラダ、スープ、ご飯・パン、そして飲み物だ。
メインには肉を細かく刻み、楕円形に成形された物を蒸し焼きにしたもので、上には茶色いソースがかかっている。
これは最近どこかの国で流行って広まった料理だ。
確か……ハンバーグだったと思う。
肉が刻まれているのでとても柔らかく、大変人気な料理なのだ。
ハンバーグにナイフをいれると、ジュワリと中から肉汁が溢れ出した。
一口サイズに切り分けて口に運ぶ。
肉の旨みと、ソースの濃厚な味が絶妙にマッチしている。
口の中を蹂躙してくる味を堪能しつつ、そっとご飯を口に運ぶ。
ご飯の一粒一粒が口の中の味と絡み合って、とても幸せな気分になれる。
ご飯よりもパンが好きな子にはそちらを用意してある。
そしてシャキっとしたサラダに、トマトペーストを溶かして、玉ねぎを煮込んだスープがまた口の中の味を楽しませ、リセットしてくれる。
子供達はもう夢中で食べている。
サイリールとアソートも味を堪能しつつ食事をしていた。
二人とも、エルやファニー、サーシャにも食べさせたかったなと思いながら。
そうして食事が終わり、ラリーとリーア、そしてエリーの三人はハンナに連れられて歯を磨いたあとそれぞれの部屋でお昼寝である。
ラリーとリーアはもう6歳なので本来は必要はないのだが、三人ともまだ体が小さく、体力がついてこれないのだ。
いずれきちんとご飯を食べて運動すれば昼寝は必要なくなるだろう。
残ったのは、セイとイーナとテトである。
「じゃあ、今後について少し話しておこうか」
サイリールの言葉にコクリとみんな頷いた。
「まずは今日は、小さい子達が昼寝から起きたら屋敷の中の案内をするね。それで今日は終わり。で、明日は今後の授業の予定の話しかな。そこらへんはすべて執事であるセドリックにすべて任せてあるから、疑問や質問はセドリックでもいいし、ハンナやモリーでもいいし、聞きやすい人に質問してくれればいいよ」
そこまで話した所でイーナがおずおずと手をあげた。
サイリールがイーナに発言を促した。
「あの……。おにいさんたちは……?」
「ああ、一応セイから聞いていると思うけど、僕達はまだ旅の途中でね、ここにいれるのはあと少しなんだ。本当はずっと一緒にいてあげたいんだけどね、ごめんね」
その言葉に慌ててイーナは首をふる。
「あ、いえ、あの。えっと、たびがおわったらかえってくるんだよね……?」
「うん、もちろんだよ。慌しくなっちゃったけど、必ず帰ってくるから、それまで皆、いい子にしててね」
サイリールの言葉に、セイは笑って頷き、イーナは少しはにかんで頷き、テトもニコリと笑って頷いた。
そんな三人を見てサイリールもアソートも笑顔になる。
「うん、みんないい子だー。ボクに出来る弟や妹はいい子しかいないなぁ。あはは」
「ほんとだね、いい子ばっかりだ」
そうして、後の事はすべて使用人達に任せ、サイリールとアソートは離れの使用人部屋へと移動した。
メイドに案内されてそれぞれ席についていく。
そこまで席順はしっかり区別はしていないが、サイリール、つまり主人に近い位置に割り振られたのはやはりセイだった。
一応子供達の中では一番リーダー的な位置にいるためだ。
幼い子達はこの後お昼寝なので扉に近い方に配置されている。
もちろんメイドが食事のサポートをするので、まとめられているのだが。
「よくあったまれたかい?」
サイリールの質問にセイが答えた。
「うん!すげーなふろって。からだもすげぇさっぱりしたぜ。おれふろすきだ」
「そっか、よかった。小さい子だとお風呂が苦手な子もいたりするけど、他の子は大丈夫だったかな?」
「あっちはわかんねーけど、こっちのちびたちはけっこうたのしんでたぜ。イーナのほうはどうだった?」
セイに話しを振られたイーナはもじもじしながらもしっかりと答えた。
「エリーがちょっとあついおゆがにがてみたい。たぶんなれてないだけだとおもう。あたしもちょっとあついおゆにびっくりしたもん」
「そっかー。おれはあのあついおゆにつかるとさ、ぜんしんがこう……じーんとしてさ、すげーきもちいいんだよなー。まいにちはいるものらしーから、おれはけっこうたのしみだぜ!」
ニコニコと笑って感想を言うセイを見たイーナはとても嬉しそうに、優しい目でセイを見ていた。
「そっか、よかったね、セイにいちゃん」
「おう!」
そんな二人の会話に釣られてお風呂の感想を言い合う子供達を見てサイリールもアソートもニコニコと笑顔になっていた。
しばらくして使用人達がカートを押してやってきた。
とりあえずしばらくはそこまでマナーにこだわらない予定だ。
食事の時のマナーも勉強として学んで行く事になる。
かといってそこまで厳しくするつもりもないのだが。
そうして上座から順に料理が配膳されていく。
子供にも食べやすい味付け、状態にされている。
メインとサラダ、スープ、ご飯・パン、そして飲み物だ。
メインには肉を細かく刻み、楕円形に成形された物を蒸し焼きにしたもので、上には茶色いソースがかかっている。
これは最近どこかの国で流行って広まった料理だ。
確か……ハンバーグだったと思う。
肉が刻まれているのでとても柔らかく、大変人気な料理なのだ。
ハンバーグにナイフをいれると、ジュワリと中から肉汁が溢れ出した。
一口サイズに切り分けて口に運ぶ。
肉の旨みと、ソースの濃厚な味が絶妙にマッチしている。
口の中を蹂躙してくる味を堪能しつつ、そっとご飯を口に運ぶ。
ご飯の一粒一粒が口の中の味と絡み合って、とても幸せな気分になれる。
ご飯よりもパンが好きな子にはそちらを用意してある。
そしてシャキっとしたサラダに、トマトペーストを溶かして、玉ねぎを煮込んだスープがまた口の中の味を楽しませ、リセットしてくれる。
子供達はもう夢中で食べている。
サイリールとアソートも味を堪能しつつ食事をしていた。
二人とも、エルやファニー、サーシャにも食べさせたかったなと思いながら。
そうして食事が終わり、ラリーとリーア、そしてエリーの三人はハンナに連れられて歯を磨いたあとそれぞれの部屋でお昼寝である。
ラリーとリーアはもう6歳なので本来は必要はないのだが、三人ともまだ体が小さく、体力がついてこれないのだ。
いずれきちんとご飯を食べて運動すれば昼寝は必要なくなるだろう。
残ったのは、セイとイーナとテトである。
「じゃあ、今後について少し話しておこうか」
サイリールの言葉にコクリとみんな頷いた。
「まずは今日は、小さい子達が昼寝から起きたら屋敷の中の案内をするね。それで今日は終わり。で、明日は今後の授業の予定の話しかな。そこらへんはすべて執事であるセドリックにすべて任せてあるから、疑問や質問はセドリックでもいいし、ハンナやモリーでもいいし、聞きやすい人に質問してくれればいいよ」
そこまで話した所でイーナがおずおずと手をあげた。
サイリールがイーナに発言を促した。
「あの……。おにいさんたちは……?」
「ああ、一応セイから聞いていると思うけど、僕達はまだ旅の途中でね、ここにいれるのはあと少しなんだ。本当はずっと一緒にいてあげたいんだけどね、ごめんね」
その言葉に慌ててイーナは首をふる。
「あ、いえ、あの。えっと、たびがおわったらかえってくるんだよね……?」
「うん、もちろんだよ。慌しくなっちゃったけど、必ず帰ってくるから、それまで皆、いい子にしててね」
サイリールの言葉に、セイは笑って頷き、イーナは少しはにかんで頷き、テトもニコリと笑って頷いた。
そんな三人を見てサイリールもアソートも笑顔になる。
「うん、みんないい子だー。ボクに出来る弟や妹はいい子しかいないなぁ。あはは」
「ほんとだね、いい子ばっかりだ」
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