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第九十三話 一番年上だから 前書き編集
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部屋から出たセイは、サイリールから貰ったお金がたくさん入った小袋を自分が普段から使っていた腰の小袋と入れ替えた。
不思議なもので本当にお金が入っているのかというくらい膨らみもなく音もしない。
それでも改めて手を突っ込んでみるとたくさんの銅貨に指が当たるのだ。
小袋から目を離して弟達を見ると皆こちらを見ている事に気づいた。
「なんだよ、おまえらどうした?」
イーナと一番仲の良かったリーアがおずおずと口を開いた。
「セイにいちゃん、イーナちゃんは……?」
「……まだだ。でもきっとよくなる。にーちゃんはすげぇひとだからな!」
ニカっと笑って弟達を励ますセイ。
セイのいつもの笑顔に皆ほっとした。
口々に良かった、イーナねーちゃんたすかるんだ!と騒いでいる。
それを見たセイは自分の中にある不安を押し殺し、笑顔で弟達に食い物を買ってくると告げた。
その言葉に子供達は一斉にお腹を鳴らす。
これまでは明るくしていても皆不安でいっぱいだったのだ。
今は安心してお腹が空いているのを思い出したのだろう。
「なんだよ、みんなきゅうだな!じゃあくいもんてにいれてくるから、みんなはまきのようい、しておいてくれよな!」
セイの声に皆、笑顔で頷いた。
その姿を見届けてからセイは家を出て行った。
セイにはする事があった。
まずは弟達の腹ごしらえを先にしないといけないが、その後にサイリールに頼まれた事がもうひとつあった。
彼の家族への伝言だった。
本当は先に伝言に行くつもりだったのだが、サイリールがまずは腹ごしらえをしてからと言ったのだ。
伝言は、今日の家族の移動ルートを聞いたのでそこを周り、いなければ宿に行って伝える予定だ。
とはいえ、多分宿には入れないだろう。
高級な宿と言っていたし、きっと知り合いだと言っても入れてくれない。
ただ、セイにはそんな時の為にサイリールから渡されている不思議な小鳥がいる。
その黒い小鳥は小袋の中に入っている。
彼が作った小鳥だそうで、宿に行く時は宿の近くでこの小鳥を放てば、アソートが宿から出てくるという話しだった。
アソートというのはあの時一緒だった、イーナが懐いていたにーちゃんの事だろう。
そんな事を考えながら、セイはスラム街の近くにある裏市へと急いだ。
スラム街の近くにある市場は裏市と呼ばれ、一般的な市場とは違い、基本的に質のいい物は売っていない。
だからこそ、安く買う事が出来るのだ。
安く買う事も出来るが、時折危険な物を売っている店もある。
所詮管理されていない違法な市場なのでそれは仕方ない事だ。
セイは手早く萎びた野菜や硬いパン、肉の切れ端を購入すると急いで家へと戻った。
サイリールからはゆっくりご飯を食べた後で伝言に行ってくれればいいと言われていたが、自分達の為にここまでしてくれる彼に報うべく、出来るだけ早く行動しようと思っていた。
家に戻ると、台所の窯近くに小枝などが積み上げられていた。
弟達が近くの林から集めてきた分を出しておいてくれたのだろう。
この小枝は乾燥も兼ねて裏の物置に置いてあった分だ。
薪代わりの小枝もまた林に取りに行かねばなるまい。
街中の木からも多少小枝を集めれたりはするが、そんな物では足りないのだ。
薪など購入する余裕がない彼らはいつも街の外の林で薪となる小枝を集めていた。
もちろん行くのは年長組みだけだが。
本当は林に行くのは危ないのだが、それ以外にあまり方法がないので注意を払いつつもいつも薪集めをしている。
「お、まき、だしてくれたんだな、ありがとうな、おまえら。」
セイの言葉に幼い弟や妹達はニカーっと笑顔になる。
「よっしゃ、きょうはたくさんかえたから、にくもちょびっとだけどいれたぐだくさんのスープをつくってやるからな!」
弟達からは喜びの声が上がった。
普段あまり食べさせてやれてないので、セイはそんな弟達の声に笑顔になるのを抑えきれなかった。
不思議なもので本当にお金が入っているのかというくらい膨らみもなく音もしない。
それでも改めて手を突っ込んでみるとたくさんの銅貨に指が当たるのだ。
小袋から目を離して弟達を見ると皆こちらを見ている事に気づいた。
「なんだよ、おまえらどうした?」
イーナと一番仲の良かったリーアがおずおずと口を開いた。
「セイにいちゃん、イーナちゃんは……?」
「……まだだ。でもきっとよくなる。にーちゃんはすげぇひとだからな!」
ニカっと笑って弟達を励ますセイ。
セイのいつもの笑顔に皆ほっとした。
口々に良かった、イーナねーちゃんたすかるんだ!と騒いでいる。
それを見たセイは自分の中にある不安を押し殺し、笑顔で弟達に食い物を買ってくると告げた。
その言葉に子供達は一斉にお腹を鳴らす。
これまでは明るくしていても皆不安でいっぱいだったのだ。
今は安心してお腹が空いているのを思い出したのだろう。
「なんだよ、みんなきゅうだな!じゃあくいもんてにいれてくるから、みんなはまきのようい、しておいてくれよな!」
セイの声に皆、笑顔で頷いた。
その姿を見届けてからセイは家を出て行った。
セイにはする事があった。
まずは弟達の腹ごしらえを先にしないといけないが、その後にサイリールに頼まれた事がもうひとつあった。
彼の家族への伝言だった。
本当は先に伝言に行くつもりだったのだが、サイリールがまずは腹ごしらえをしてからと言ったのだ。
伝言は、今日の家族の移動ルートを聞いたのでそこを周り、いなければ宿に行って伝える予定だ。
とはいえ、多分宿には入れないだろう。
高級な宿と言っていたし、きっと知り合いだと言っても入れてくれない。
ただ、セイにはそんな時の為にサイリールから渡されている不思議な小鳥がいる。
その黒い小鳥は小袋の中に入っている。
彼が作った小鳥だそうで、宿に行く時は宿の近くでこの小鳥を放てば、アソートが宿から出てくるという話しだった。
アソートというのはあの時一緒だった、イーナが懐いていたにーちゃんの事だろう。
そんな事を考えながら、セイはスラム街の近くにある裏市へと急いだ。
スラム街の近くにある市場は裏市と呼ばれ、一般的な市場とは違い、基本的に質のいい物は売っていない。
だからこそ、安く買う事が出来るのだ。
安く買う事も出来るが、時折危険な物を売っている店もある。
所詮管理されていない違法な市場なのでそれは仕方ない事だ。
セイは手早く萎びた野菜や硬いパン、肉の切れ端を購入すると急いで家へと戻った。
サイリールからはゆっくりご飯を食べた後で伝言に行ってくれればいいと言われていたが、自分達の為にここまでしてくれる彼に報うべく、出来るだけ早く行動しようと思っていた。
家に戻ると、台所の窯近くに小枝などが積み上げられていた。
弟達が近くの林から集めてきた分を出しておいてくれたのだろう。
この小枝は乾燥も兼ねて裏の物置に置いてあった分だ。
薪代わりの小枝もまた林に取りに行かねばなるまい。
街中の木からも多少小枝を集めれたりはするが、そんな物では足りないのだ。
薪など購入する余裕がない彼らはいつも街の外の林で薪となる小枝を集めていた。
もちろん行くのは年長組みだけだが。
本当は林に行くのは危ないのだが、それ以外にあまり方法がないので注意を払いつつもいつも薪集めをしている。
「お、まき、だしてくれたんだな、ありがとうな、おまえら。」
セイの言葉に幼い弟や妹達はニカーっと笑顔になる。
「よっしゃ、きょうはたくさんかえたから、にくもちょびっとだけどいれたぐだくさんのスープをつくってやるからな!」
弟達からは喜びの声が上がった。
普段あまり食べさせてやれてないので、セイはそんな弟達の声に笑顔になるのを抑えきれなかった。
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