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第四十二話 ある女の話し 1
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私の昔の話しなんて聞いてどうするの?
そう、まぁいいわよ。
でも嫉妬しないでちょうだいね?
約束よ。
じゃあ話そうかしら……。
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私が捕まって何年が経ったかしら。
もう覚えてないわね、どうでもいい事よ。
私が生まれたのは街の片隅にあった花畑だったわ。
気づいたら私は花畑の中にいたの。
何もわからなかった私は花畑の中をうろうろしていた。
そうして2日くらい経った頃かしら、一人のフードを目深に被った女性がやってきたの。
その人の説明で、人間や、私達のようなモノの事などを色々知ったのよ。
そして、その女性も私達と同じモノだという事を知ったわ。
彼女は姿は人間のようだったけど、手足や体は硬そうな鱗に覆われていて、隠していたけど、尾もあったの。
それに、顔は爬虫類そのものだったわ。
でも、縦長の瞳は金色で、それはとても綺麗だと思ったわ。
それに、時折口から飛び出す赤くて細い、先が二つに割れた舌が、とても艶やかで、妖艶だったわね。
そんな彼女に匿われて2週間、人間社会や闇の住人について学んだわ。
そして私のようなモノは人間の格好の獲物だという事も。
どうなるのか、どうされるのか、どう扱われるのか、彼女は何も隠さずすべて教えてくれたの。
彼女は嫌悪を込めてその話しをしていたのだけど、私はなぜかしらね、別にそれが悪い事だとは思わなかったし嫌でもなかったのよ。
もちろん、自由を奪われるというのは少し嫌だったわ。
でも不思議と、行為にはとても興味を持ったわ。
そうね、きっと私は生まれた時から皆と違ったんでしょうね。
ええ、そうね。
私は愛されて愛でられる為に生まれたものね。
そうして彼女に匿われて数年、彼女は何度も私を街の外へ逃がそうとしていたわ。
でも、そのたびに私が彼女から離れたくないと駄々を捏ねて外へ行くのを拒否したのよ。
ええ、彼女がそれなりに好きだったというのも、もちろんあったわ。
でも、それは本質ではなかったの。
だって、町から出た所でそこ以上の暮らしがあるとは思えなかったんだもの。
私は不自由な生活なんてしたくないの。
彼女は私達にはとてもいい人だったのよ。
人間にはとても残酷だったけど。
だからそんな彼女は私の言葉をいつも信じていたの。
貴女の傍を離れたくないと言えば、目を潤ませて私を抱きしめ、守ってみせるって言ってたわ。
あはは。本当はその家を離れたくなかっただけなんだけどね。
え?なんで離れたくなかったかって?
彼女と一緒にいるのはね、都合が良かったのよ。
彼女、その街のスラムでは絶対的な権力と地位を持っていたの。
スラム内だけでの話しだけどね。
それでもとても忙しくて、1週間家にいないなんて事よくあったわ。
そう、あまり家にいなかったのよ。
ちょうどよかったわね、スラム限定とはいえ、絶対的な地位と権力を持っていて、たまにしか家に帰ってこないんだもの。
だけど、そんな彼女に私は愛されて、大事にされていたの。
彼女が家にいない間、私を守る護衛として、彼女と同種か近い存在のトカゲ男を二人配置していってたわ。
彼らは彼女をとても尊敬していたようね。
二人共彼女に拾われて育てられたみたいよ。
だから、彼女からの頼みだからと、とてもはりきって私の護衛を頑張っていたわ。
まだ若そうな二人はとても逞しい体をしていたわ。
-----
やだ、嫉妬しないでちょうだい、約束したでしょう?
もう話さないわよ?
わかったわ、許してあげる。
そうよ、もう過去の話し。
あなた達と出会う前の、ずーっと昔のお話しよ。
-----
数週間たった頃から、私は時折、隙を見せるようにしたのよ。
お風呂あがりに少し薄い着衣にして家の中を歩いたりしたわ。
どんな反応をするか、ずっと観察していたの。
二人、タガイとザイートっていうんだけど、ザイートはいつもそんな薄着の私を見ないようにしていたわね。
タガイは、見ないふりをしつつもチラチラ私をみていたわ。
だから、タガイを最初に狙ったのよ。
彼が私に堕ちるまでそんなにかからなかったわ。
常に二人一緒にいるわけじゃないの、だからザイートが出かけて、タガイが一人の時に最終的に仕掛けたわ。
もちろん私から手は出さないわよ、私から手を出したら意味がないもの。
彼に私を襲わせる事が大事なのよ。
タガイが一人の時には私は特に丈の短い薄着を着たわ、そして彼とたくさん会話をしたの。
そう、薄着のままで見せ付けるようにね。
彼は話しながらも目線はずっと私の体に向いていたわ。
ザイートがいる時はザイートと多めに会話したの。
そしたら面白いのよ、タガイったらすごく不満そうな顔をするの。
彼女が帰ってきてる時はさすがに私も薄着はやめたわ。
そんな日が数日過ぎたある日、ザイートに少し遠くにある、ある物を手に入れてきて欲しいとお願いしたの。
行き帰りで2日はかかる距離のね。
その話を聞いた時のタガイの目、今でもよく覚えてるわ。
目の奥が燃えているようなそんなギラつきがあったのよ。
わかるかしら?うふふ。
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さぁ、今日はもうこのくらいにしましょう?
続きはまた今度ね。
ええ、私も好きよ。
さ、お帰りなさい。お父様がもうすぐここにいらっしゃるわよ。
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私の昔の話しなんて聞いてどうするの?
そう、まぁいいわよ。
でも嫉妬しないでちょうだいね?
約束よ。
じゃあ話そうかしら……。
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私が捕まって何年が経ったかしら。
もう覚えてないわね、どうでもいい事よ。
私が生まれたのは街の片隅にあった花畑だったわ。
気づいたら私は花畑の中にいたの。
何もわからなかった私は花畑の中をうろうろしていた。
そうして2日くらい経った頃かしら、一人のフードを目深に被った女性がやってきたの。
その人の説明で、人間や、私達のようなモノの事などを色々知ったのよ。
そして、その女性も私達と同じモノだという事を知ったわ。
彼女は姿は人間のようだったけど、手足や体は硬そうな鱗に覆われていて、隠していたけど、尾もあったの。
それに、顔は爬虫類そのものだったわ。
でも、縦長の瞳は金色で、それはとても綺麗だと思ったわ。
それに、時折口から飛び出す赤くて細い、先が二つに割れた舌が、とても艶やかで、妖艶だったわね。
そんな彼女に匿われて2週間、人間社会や闇の住人について学んだわ。
そして私のようなモノは人間の格好の獲物だという事も。
どうなるのか、どうされるのか、どう扱われるのか、彼女は何も隠さずすべて教えてくれたの。
彼女は嫌悪を込めてその話しをしていたのだけど、私はなぜかしらね、別にそれが悪い事だとは思わなかったし嫌でもなかったのよ。
もちろん、自由を奪われるというのは少し嫌だったわ。
でも不思議と、行為にはとても興味を持ったわ。
そうね、きっと私は生まれた時から皆と違ったんでしょうね。
ええ、そうね。
私は愛されて愛でられる為に生まれたものね。
そうして彼女に匿われて数年、彼女は何度も私を街の外へ逃がそうとしていたわ。
でも、そのたびに私が彼女から離れたくないと駄々を捏ねて外へ行くのを拒否したのよ。
ええ、彼女がそれなりに好きだったというのも、もちろんあったわ。
でも、それは本質ではなかったの。
だって、町から出た所でそこ以上の暮らしがあるとは思えなかったんだもの。
私は不自由な生活なんてしたくないの。
彼女は私達にはとてもいい人だったのよ。
人間にはとても残酷だったけど。
だからそんな彼女は私の言葉をいつも信じていたの。
貴女の傍を離れたくないと言えば、目を潤ませて私を抱きしめ、守ってみせるって言ってたわ。
あはは。本当はその家を離れたくなかっただけなんだけどね。
え?なんで離れたくなかったかって?
彼女と一緒にいるのはね、都合が良かったのよ。
彼女、その街のスラムでは絶対的な権力と地位を持っていたの。
スラム内だけでの話しだけどね。
それでもとても忙しくて、1週間家にいないなんて事よくあったわ。
そう、あまり家にいなかったのよ。
ちょうどよかったわね、スラム限定とはいえ、絶対的な地位と権力を持っていて、たまにしか家に帰ってこないんだもの。
だけど、そんな彼女に私は愛されて、大事にされていたの。
彼女が家にいない間、私を守る護衛として、彼女と同種か近い存在のトカゲ男を二人配置していってたわ。
彼らは彼女をとても尊敬していたようね。
二人共彼女に拾われて育てられたみたいよ。
だから、彼女からの頼みだからと、とてもはりきって私の護衛を頑張っていたわ。
まだ若そうな二人はとても逞しい体をしていたわ。
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やだ、嫉妬しないでちょうだい、約束したでしょう?
もう話さないわよ?
わかったわ、許してあげる。
そうよ、もう過去の話し。
あなた達と出会う前の、ずーっと昔のお話しよ。
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数週間たった頃から、私は時折、隙を見せるようにしたのよ。
お風呂あがりに少し薄い着衣にして家の中を歩いたりしたわ。
どんな反応をするか、ずっと観察していたの。
二人、タガイとザイートっていうんだけど、ザイートはいつもそんな薄着の私を見ないようにしていたわね。
タガイは、見ないふりをしつつもチラチラ私をみていたわ。
だから、タガイを最初に狙ったのよ。
彼が私に堕ちるまでそんなにかからなかったわ。
常に二人一緒にいるわけじゃないの、だからザイートが出かけて、タガイが一人の時に最終的に仕掛けたわ。
もちろん私から手は出さないわよ、私から手を出したら意味がないもの。
彼に私を襲わせる事が大事なのよ。
タガイが一人の時には私は特に丈の短い薄着を着たわ、そして彼とたくさん会話をしたの。
そう、薄着のままで見せ付けるようにね。
彼は話しながらも目線はずっと私の体に向いていたわ。
ザイートがいる時はザイートと多めに会話したの。
そしたら面白いのよ、タガイったらすごく不満そうな顔をするの。
彼女が帰ってきてる時はさすがに私も薄着はやめたわ。
そんな日が数日過ぎたある日、ザイートに少し遠くにある、ある物を手に入れてきて欲しいとお願いしたの。
行き帰りで2日はかかる距離のね。
その話を聞いた時のタガイの目、今でもよく覚えてるわ。
目の奥が燃えているようなそんなギラつきがあったのよ。
わかるかしら?うふふ。
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さぁ、今日はもうこのくらいにしましょう?
続きはまた今度ね。
ええ、私も好きよ。
さ、お帰りなさい。お父様がもうすぐここにいらっしゃるわよ。
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