39 / 148
第二章 少年期 後編
39 初めてのコボルト
しおりを挟む
ゴブリンを再度手にかけてから一年の時が経った。
俺は十一歳となり、あれからも頻繁にゴブリン狩りを行った。
時間が合えばミハエルも連れてゴブリン狩りに行き、訓練を繰り返した。
やはりミハエルは剣術強化・大があるだけあって、実に強い。
俺と比べるとミハエルの剣筋は凄く綺麗で、素人の俺から見てもまるで踊るように剣を振るう。
なので、俺はミハエルと共に狩りをする時は基本後衛として魔法を使った攻撃をしている。
――もちろん一人の時はできるだけ剣で攻撃をしているが。
「よし、これで最後だな」
そう言ってミハエルはゴブリンに突き刺した剣を引き抜き剣を振って血を飛ばした。
「ああ、お疲れ、ミハエル」
「おう。とりあえず浄化魔法頼むわ」
「あいよ」
最後のゴブリンを始末し終え、俺はミハエルに浄化魔法をかけつつ、土魔法で穴を掘って倒したゴブリンを放り込んで埋めた。
ここ最近はできるだけミハエルと休みを合わせるようにして、こうしてゴブリン狩りやゴブリンの巣の狩りを行っている。
ミハエルは筋肉がつきやすいのか最近は体格も良くなってなんとも男らしくなっている。
それに比べて俺は筋肉があまりつかないのか、ついても目立たないようで少し羨ましく感じていた。
「しかしそろそろゴブリンは簡単に感じるな」
ミハエルの言葉に俺も頷く。
「そうだなぁ、そろそろワンランク上を狩ってみたくはあるが、さすがに街の近くだとゴブリンとかスライムくらいなんだよな」
「まぁそうだろうな。こんな街の近くに強いモンスターいたらさすがにな。とはいえ、あんまり遠くにも行けねーし、当分はゴブリン狩りかねぇ」
そんな会話をしつつ、俺はアイテムボックスから冷えた水と、サンドイッチを取り出しミハエルに渡す。
「おう、ありがとな。つか、ルカのそのアイテムボックスだっけ? まじで便利だな」
「ああ、かなり便利だな」
俺はすでにミハエルには魔法について色々と明かしている。
本当は冒険者になってから話すつもりだったのだが、こうして一緒に狩りをするなら早めに伝えておいた方が連携もしやすいからだ。
「そこまで容量なくていいから俺も使えりゃいいんだけどな」
「あーそうだよなぁ。金とか放り込んどけば安心安全だしな」
「そうそう。まぁそれもあるが、毎度毎度ルカに武器防具預かってもらったり、飯の用意させたりとかわりーからなぁ」
俺は別に気にはしてないのだが、そうだな、俺も友達におんぶにだっこは嫌だもんな。
魔法がそもそもという話でもあるが、そこはお互い様なので気にしない。
俺はミハエルの剣の腕にとても頼っているし、何より一緒に冒険者になってくれたことに感謝しているのだから。
「そうか、よし、次までにちょっと魔法作っとくわ」
「まじかよ、いいのか?」
「ああ、容量は大きくなくてもいいんだろ?」
「そうだな、武器防具とまぁちょっとしたもん入れられればいいな」
「分かった、作っておくよ」
「ありがとな、ルカ」
「おう」
そうして俺たちは更なる獲物を求めて移動をすることにした。
ミハエルはこの一年で飛行魔法に慣れ今では自分で自由に飛べるまでになっている。
空中に上がり探索魔法で捜索しつつ俺とミハエルは移動を始めた。
光学迷彩をかけているが、今は改良して俺とミハエルはお互いが見えるようにしてある。
時刻はまだ昼の十二時を回ったところなのであと数回はゴブリン討伐をできるだろう。
討伐証明部位に関しては、俺たちは全て捨てている。
冒険者のランク上げに使えると言えば使えるのだが、なんだかちょっとズルをしてる気分になってしまい、ミハエルとも話した結果、冒険者になってから依頼を受けたり見つけて狩ればいいということに落ち着いた。
実際は別にズルでもなんでもないのだが、まぁ気分の問題である。
そうして飛んでいるとなにやらミニマップにおかしな光景を目にした。
赤い光点が七つ走っているのだが、どうも何かおかしい。
どちらかというと、三つの光点を四つが追いかけているように見える。
俺がミニマップをよく見る為に飛ぶ速度を緩めたのに気づいたミハエルが声をかけてきた。
「どうした?ルカ。ゴブリンいたか?」
「――いや、モンスターがいたにはいたんだが……」
俺はミハエルに光点について話し、様子を見に行くことにした。
光点に向かって飛んでいくとやっと詳細が見えた。
「なるほど、モンスター同士でも本当に殺し合いするんだな」
「みてーだな。あれは、コボルト……か」
ミハエルの言葉通り、ゴブリンを追いかけまわしているのはコボルトだ。
――コボルトはゴブリンをエサとすることがあるので、きっとあれはエサとして追いかけているのだろう。
すでにゴブリンは最後の一匹になっている。
やはり移動速度が違いすぎるのだろう、ゴブリンはすぐにコボルトに追い付かれ首を噛みきられ、そして絶命した。
コボルトはゴブリンよりは少し大きく、俺たちより少し低い百五十センチくらいだろうか。
全身に毛が生えており、二足歩行する犬というところだ。
――犬ほど可愛い顔はしてはいないが。
「あれ、やるか?」
ミハエルの言葉に俺は首を振る。
「いや、少し様子を見よう。ゴブリンをその場で食べずに持ち帰ってるから巣の場所が分かるはずだ」
「ああ、そうだな」
コボルトはゴブリンの死体を担ぐとどこかへ向けて歩きはじめた。
俺たちはそんなコボルトの後を空からついていく。
俺は十一歳となり、あれからも頻繁にゴブリン狩りを行った。
時間が合えばミハエルも連れてゴブリン狩りに行き、訓練を繰り返した。
やはりミハエルは剣術強化・大があるだけあって、実に強い。
俺と比べるとミハエルの剣筋は凄く綺麗で、素人の俺から見てもまるで踊るように剣を振るう。
なので、俺はミハエルと共に狩りをする時は基本後衛として魔法を使った攻撃をしている。
――もちろん一人の時はできるだけ剣で攻撃をしているが。
「よし、これで最後だな」
そう言ってミハエルはゴブリンに突き刺した剣を引き抜き剣を振って血を飛ばした。
「ああ、お疲れ、ミハエル」
「おう。とりあえず浄化魔法頼むわ」
「あいよ」
最後のゴブリンを始末し終え、俺はミハエルに浄化魔法をかけつつ、土魔法で穴を掘って倒したゴブリンを放り込んで埋めた。
ここ最近はできるだけミハエルと休みを合わせるようにして、こうしてゴブリン狩りやゴブリンの巣の狩りを行っている。
ミハエルは筋肉がつきやすいのか最近は体格も良くなってなんとも男らしくなっている。
それに比べて俺は筋肉があまりつかないのか、ついても目立たないようで少し羨ましく感じていた。
「しかしそろそろゴブリンは簡単に感じるな」
ミハエルの言葉に俺も頷く。
「そうだなぁ、そろそろワンランク上を狩ってみたくはあるが、さすがに街の近くだとゴブリンとかスライムくらいなんだよな」
「まぁそうだろうな。こんな街の近くに強いモンスターいたらさすがにな。とはいえ、あんまり遠くにも行けねーし、当分はゴブリン狩りかねぇ」
そんな会話をしつつ、俺はアイテムボックスから冷えた水と、サンドイッチを取り出しミハエルに渡す。
「おう、ありがとな。つか、ルカのそのアイテムボックスだっけ? まじで便利だな」
「ああ、かなり便利だな」
俺はすでにミハエルには魔法について色々と明かしている。
本当は冒険者になってから話すつもりだったのだが、こうして一緒に狩りをするなら早めに伝えておいた方が連携もしやすいからだ。
「そこまで容量なくていいから俺も使えりゃいいんだけどな」
「あーそうだよなぁ。金とか放り込んどけば安心安全だしな」
「そうそう。まぁそれもあるが、毎度毎度ルカに武器防具預かってもらったり、飯の用意させたりとかわりーからなぁ」
俺は別に気にはしてないのだが、そうだな、俺も友達におんぶにだっこは嫌だもんな。
魔法がそもそもという話でもあるが、そこはお互い様なので気にしない。
俺はミハエルの剣の腕にとても頼っているし、何より一緒に冒険者になってくれたことに感謝しているのだから。
「そうか、よし、次までにちょっと魔法作っとくわ」
「まじかよ、いいのか?」
「ああ、容量は大きくなくてもいいんだろ?」
「そうだな、武器防具とまぁちょっとしたもん入れられればいいな」
「分かった、作っておくよ」
「ありがとな、ルカ」
「おう」
そうして俺たちは更なる獲物を求めて移動をすることにした。
ミハエルはこの一年で飛行魔法に慣れ今では自分で自由に飛べるまでになっている。
空中に上がり探索魔法で捜索しつつ俺とミハエルは移動を始めた。
光学迷彩をかけているが、今は改良して俺とミハエルはお互いが見えるようにしてある。
時刻はまだ昼の十二時を回ったところなのであと数回はゴブリン討伐をできるだろう。
討伐証明部位に関しては、俺たちは全て捨てている。
冒険者のランク上げに使えると言えば使えるのだが、なんだかちょっとズルをしてる気分になってしまい、ミハエルとも話した結果、冒険者になってから依頼を受けたり見つけて狩ればいいということに落ち着いた。
実際は別にズルでもなんでもないのだが、まぁ気分の問題である。
そうして飛んでいるとなにやらミニマップにおかしな光景を目にした。
赤い光点が七つ走っているのだが、どうも何かおかしい。
どちらかというと、三つの光点を四つが追いかけているように見える。
俺がミニマップをよく見る為に飛ぶ速度を緩めたのに気づいたミハエルが声をかけてきた。
「どうした?ルカ。ゴブリンいたか?」
「――いや、モンスターがいたにはいたんだが……」
俺はミハエルに光点について話し、様子を見に行くことにした。
光点に向かって飛んでいくとやっと詳細が見えた。
「なるほど、モンスター同士でも本当に殺し合いするんだな」
「みてーだな。あれは、コボルト……か」
ミハエルの言葉通り、ゴブリンを追いかけまわしているのはコボルトだ。
――コボルトはゴブリンをエサとすることがあるので、きっとあれはエサとして追いかけているのだろう。
すでにゴブリンは最後の一匹になっている。
やはり移動速度が違いすぎるのだろう、ゴブリンはすぐにコボルトに追い付かれ首を噛みきられ、そして絶命した。
コボルトはゴブリンよりは少し大きく、俺たちより少し低い百五十センチくらいだろうか。
全身に毛が生えており、二足歩行する犬というところだ。
――犬ほど可愛い顔はしてはいないが。
「あれ、やるか?」
ミハエルの言葉に俺は首を振る。
「いや、少し様子を見よう。ゴブリンをその場で食べずに持ち帰ってるから巣の場所が分かるはずだ」
「ああ、そうだな」
コボルトはゴブリンの死体を担ぐとどこかへ向けて歩きはじめた。
俺たちはそんなコボルトの後を空からついていく。
8
お気に入りに追加
2,713
あなたにおすすめの小説
転生王子の異世界無双
海凪
ファンタジー
幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。
特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……
魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!
それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした
御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。
異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。
女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。
――しかし、彼は知らなかった。
転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる