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第二章 少年期 前編
25 教会学校
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カールが生まれてから一年が経った。
俺は七歳となり、カールは一歳になった。
カールはいつも俺の後をついてくるので非常に可愛い!
「にー」
「どうした? カール」
俺はデレた顔でカールに振り向く。
カールはまだあまりたくさん喋れないので、俺を呼ぶ時は「にー」と呼ぶのだ。
それがまた可愛くてたまらない。
そんな俺たちを見ていたマリーが微笑ましく笑いながら言った。
「カールはお兄ちゃんが好きねー」
俺は七歳になってからは『僕』ではなく『俺』と一人称を改めている。
意識して『僕』を使うのに疲れたというのもあるが、カールの兄としてカッコよくありたいというのもあるからだ。
マリーやウードのことも、パパやママではなく、父さん母さんに改めている。
「俺もカール大好きだぞー」
「にーしゅき」
俺のハートは今撃ち抜かれた。
俺はカールをぎゅっと抱きしめる。
どうしてこんなに可愛いんだろうか。
くりくりした目も、長い睫毛も、ピンク色のほっぺも、少しクセのあるふわふわした金色の髪も、全てが天使のようである。
俺たち兄弟は神の采配か、マリーの遺伝子が強いのか、どちらも母であるマリーにそっくりに生まれた。
ウードには悪いが、顔だけはマリーに似たことを感謝している。
「カール、ルカー、ママもぎゅってして頂戴ー」
マリーが手を広げている。
俺とカールは手を繋いでマリーの胸に飛び込み抱き着いた。
「んー!二人とも好きよ。可愛い可愛い私の息子たち」
「俺も好き!」
「まぁましゅきー」
一頻り母子でじゃれ合った後、俺は教会学校に行く時間になった。
名残惜しいがしばしカールとのお別れである。
「じゃあ行ってきます」
「いってらっしゃい。気を付けるのよ」
「うん。カール、バイバイ」
「にー」
寂しそうなカールの顔に胸が痛むが仕方ないのだ。
七歳を迎えた平民の子供は十歳までの三年間、大多数が教会学校に通う。
必要最低限の文字や計算を学ぶためだ。
俺には勉強は必要はないのだが、友達を作る目的もある。
まぁ友達と遊んでる暇があるならカールと遊びたいという気持ちもなくはないのだが、あまりベッタリするのも俺にもカールにも良くない。
何事も限度というものがあるのだ。
――そう、限度というものがあるのだ! カールに会いたくても我慢だ!
家に帰りたい気持ちをぐっと抑えて俺は教会に辿り着いた。
教会学校はこの教会に隣接している建物だ。
扉を開けると中には子供がたくさんいた。
「ルカ!こっちこっち!」
俺を呼ぶ声にそちらに視線をやり俺は手を上げる。
「よー、マルセル。おはよう」
赤い髪のそばかすのある少年に俺は挨拶をしてその隣に座る。
ニカっと笑う彼は俺がこの教会学校に通い始めてから仲良くなった少年の一人だ。
「おはよ! ミハエルもそろそろ来るかな」
「また遅刻するんじゃないか? ミハエルは朝弱いからな」
「はは。そうかもしれないね」
ミハエルもマルセルと同じく俺の友達だ。
大体この二人とつるんでいることが多い。
男三人で煩いせいか、女の子は声をかけると逃げていく。
悲しみが激しいがまぁいいのだ。
そろそろシスターがやってくるという時間帯、扉を開けて駆け込んできたのはミハエルだった。
そのまま俺たちの所に来ると席についた。
「今日もセーフだぜ! おはよう、ルカ、マルセル」
「全然セーフじゃないだろ、おはよう、ミハエル」
「今日もギリギリだね! おはよう、ミハエル!」
「まだシスター来てねぇからセーフなんだぞ、ルカ」
「へーへー」
俺の声にミハエルは口を尖らせる。
黒髪黒目なのに、アジア系ではなく、ちゃんと欧米系の顔なのがおもしろくはある。
この世界は前世の常識は通じず、意外と髪の色がカラフルなのだ。
と言っても人間はさほどカラフルではなく、前世の地球と大体似たような髪色なのだが、エルフや獣人は、青色や緑色、赤色やピンク色、白色などととてもカラフルなのである。
ちなみに特に種族間で何かがあったりはなく、普通に異種族との結婚はあったりする。
ただ、種族が違うと子供はできにくいようで、ハーフはかなり少ない。
まぁそんな数少ないハーフがマルセルで俺の友達なのだ。
マルセルの母は犬の獣人さんで、父親は人間である。
マルセルは姿は人間に似て、髪色などは母親に似たので綺麗な赤色をしている。
ただ、これが興味深いことに、このハーフの人型の子が人間と結婚して子を為すと、その子供は決してハーフの方の髪色を受け継がないのだ。
だから、髪の色がカラフルな人間はハーフ以外には存在しなかったりする。
――とはいえ、別にハーフが差別されたり疎外されたりだとかは一切ないが――
ちなみに、獣人は人間と寿命はさして変わらないのだが、エルフなどは二百年ほど生きるのでその辺で色々大変な面はあるようだ。
自分の子供がエルフとして生れてこない場合は、自分の子供の死を看取るなんてこともあるらしい。
獣人は他種族との間には子供ができにくいだけなのだが、エルフはその上に、相手の種族の子ができやすいらしい。
なので、エルフ族ではできるだけエルフ同士で結婚することを推奨している。
話が逸れたが、まぁそんなマルセルは驚くほどいい子なのだ。
同じ年ではあるのだが、俺の精神はすでに二十三歳になっているのでどうしても弟とかそちらの意識で見てしまう。
ミハエルに関しては手のかかる弟というところだろうか。
――まぁそれも最近では段々と友達としての意識の方が強くなってきてはいるのだが。
マルセルが真面目でコツコツ系だとすれば、ミハエルは適当で奔放系――実は努力家――だろうか。
俺はそつなく適当派だ。
性格は全員バラバラではあるのだが、馬が合って非常に仲はいい。
授業が始まり、俺たちはシスターの話を聞きながら文字の書き取りや計算などをしていく。
俺は文字もかけるし計算もできるが、こういう友人と共にいる時間は大切なので適当に過ごしている。
とはいえ、暇は暇なので、書いてるフリをしつつ俺はスマフォを発動した。
俺は七歳となり、カールは一歳になった。
カールはいつも俺の後をついてくるので非常に可愛い!
「にー」
「どうした? カール」
俺はデレた顔でカールに振り向く。
カールはまだあまりたくさん喋れないので、俺を呼ぶ時は「にー」と呼ぶのだ。
それがまた可愛くてたまらない。
そんな俺たちを見ていたマリーが微笑ましく笑いながら言った。
「カールはお兄ちゃんが好きねー」
俺は七歳になってからは『僕』ではなく『俺』と一人称を改めている。
意識して『僕』を使うのに疲れたというのもあるが、カールの兄としてカッコよくありたいというのもあるからだ。
マリーやウードのことも、パパやママではなく、父さん母さんに改めている。
「俺もカール大好きだぞー」
「にーしゅき」
俺のハートは今撃ち抜かれた。
俺はカールをぎゅっと抱きしめる。
どうしてこんなに可愛いんだろうか。
くりくりした目も、長い睫毛も、ピンク色のほっぺも、少しクセのあるふわふわした金色の髪も、全てが天使のようである。
俺たち兄弟は神の采配か、マリーの遺伝子が強いのか、どちらも母であるマリーにそっくりに生まれた。
ウードには悪いが、顔だけはマリーに似たことを感謝している。
「カール、ルカー、ママもぎゅってして頂戴ー」
マリーが手を広げている。
俺とカールは手を繋いでマリーの胸に飛び込み抱き着いた。
「んー!二人とも好きよ。可愛い可愛い私の息子たち」
「俺も好き!」
「まぁましゅきー」
一頻り母子でじゃれ合った後、俺は教会学校に行く時間になった。
名残惜しいがしばしカールとのお別れである。
「じゃあ行ってきます」
「いってらっしゃい。気を付けるのよ」
「うん。カール、バイバイ」
「にー」
寂しそうなカールの顔に胸が痛むが仕方ないのだ。
七歳を迎えた平民の子供は十歳までの三年間、大多数が教会学校に通う。
必要最低限の文字や計算を学ぶためだ。
俺には勉強は必要はないのだが、友達を作る目的もある。
まぁ友達と遊んでる暇があるならカールと遊びたいという気持ちもなくはないのだが、あまりベッタリするのも俺にもカールにも良くない。
何事も限度というものがあるのだ。
――そう、限度というものがあるのだ! カールに会いたくても我慢だ!
家に帰りたい気持ちをぐっと抑えて俺は教会に辿り着いた。
教会学校はこの教会に隣接している建物だ。
扉を開けると中には子供がたくさんいた。
「ルカ!こっちこっち!」
俺を呼ぶ声にそちらに視線をやり俺は手を上げる。
「よー、マルセル。おはよう」
赤い髪のそばかすのある少年に俺は挨拶をしてその隣に座る。
ニカっと笑う彼は俺がこの教会学校に通い始めてから仲良くなった少年の一人だ。
「おはよ! ミハエルもそろそろ来るかな」
「また遅刻するんじゃないか? ミハエルは朝弱いからな」
「はは。そうかもしれないね」
ミハエルもマルセルと同じく俺の友達だ。
大体この二人とつるんでいることが多い。
男三人で煩いせいか、女の子は声をかけると逃げていく。
悲しみが激しいがまぁいいのだ。
そろそろシスターがやってくるという時間帯、扉を開けて駆け込んできたのはミハエルだった。
そのまま俺たちの所に来ると席についた。
「今日もセーフだぜ! おはよう、ルカ、マルセル」
「全然セーフじゃないだろ、おはよう、ミハエル」
「今日もギリギリだね! おはよう、ミハエル!」
「まだシスター来てねぇからセーフなんだぞ、ルカ」
「へーへー」
俺の声にミハエルは口を尖らせる。
黒髪黒目なのに、アジア系ではなく、ちゃんと欧米系の顔なのがおもしろくはある。
この世界は前世の常識は通じず、意外と髪の色がカラフルなのだ。
と言っても人間はさほどカラフルではなく、前世の地球と大体似たような髪色なのだが、エルフや獣人は、青色や緑色、赤色やピンク色、白色などととてもカラフルなのである。
ちなみに特に種族間で何かがあったりはなく、普通に異種族との結婚はあったりする。
ただ、種族が違うと子供はできにくいようで、ハーフはかなり少ない。
まぁそんな数少ないハーフがマルセルで俺の友達なのだ。
マルセルの母は犬の獣人さんで、父親は人間である。
マルセルは姿は人間に似て、髪色などは母親に似たので綺麗な赤色をしている。
ただ、これが興味深いことに、このハーフの人型の子が人間と結婚して子を為すと、その子供は決してハーフの方の髪色を受け継がないのだ。
だから、髪の色がカラフルな人間はハーフ以外には存在しなかったりする。
――とはいえ、別にハーフが差別されたり疎外されたりだとかは一切ないが――
ちなみに、獣人は人間と寿命はさして変わらないのだが、エルフなどは二百年ほど生きるのでその辺で色々大変な面はあるようだ。
自分の子供がエルフとして生れてこない場合は、自分の子供の死を看取るなんてこともあるらしい。
獣人は他種族との間には子供ができにくいだけなのだが、エルフはその上に、相手の種族の子ができやすいらしい。
なので、エルフ族ではできるだけエルフ同士で結婚することを推奨している。
話が逸れたが、まぁそんなマルセルは驚くほどいい子なのだ。
同じ年ではあるのだが、俺の精神はすでに二十三歳になっているのでどうしても弟とかそちらの意識で見てしまう。
ミハエルに関しては手のかかる弟というところだろうか。
――まぁそれも最近では段々と友達としての意識の方が強くなってきてはいるのだが。
マルセルが真面目でコツコツ系だとすれば、ミハエルは適当で奔放系――実は努力家――だろうか。
俺はそつなく適当派だ。
性格は全員バラバラではあるのだが、馬が合って非常に仲はいい。
授業が始まり、俺たちはシスターの話を聞きながら文字の書き取りや計算などをしていく。
俺は文字もかけるし計算もできるが、こういう友人と共にいる時間は大切なので適当に過ごしている。
とはいえ、暇は暇なので、書いてるフリをしつつ俺はスマフォを発動した。
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