上 下
17 / 148
第一章 幼少期

17 鑑定魔法

しおりを挟む
 昼寝から起きた俺は早速魔法の改良をすることにした。
 まずは部屋内に消音魔法を展開する。
 これで少々音を出しても外には聞こえない。
 更には扉にロックの魔法をかける。
 といっても、この魔法はずっとではなく一回だけ扉を開けられないだけだ。
 というかずっともできるが、マリー対策なので一回だけにしてある。

 さて、今日のお散歩で必要だと思ったのが、鑑定魔法だな。
 後は、探索魔法と氷結槍の改良だ。
 まずは氷結槍の改良からだが、これはすぐに終わるな。

 俺は体内で氷結槍を作り、魔法の再構築をする。
 まぁ結局イメージだけなのでイメージの修正だな。
 氷結槍で氷が全身を凍結するのはいいが、その氷が長時間溶けないのは気軽に使えない。
 せいぜい一時間もすれば溶けるのが望ましい。
 そのイメージをのせて、再度氷結槍を作り出す。
 多分だけどこれで改良はされただろう。
 後はまた遊びに出かけた時に試そう。

 さて、次は探索魔法だな。
 今回の調査で分かったのは、人間とモンスターは魔素が濃いってことだな。
 とはいえ、人間とモンスターの見分けがつかないのは問題がある。
 そこで人間とモンスターの色を分けよう。
 まずは、モンスターは赤色、そして人間は緑色、動物は青色でいいだろう。
 魔法がどういう仕組みでできてるのかは知らないが、結局のとこイメージが全てってのは分かった。
 だからこれも強くイメージして設定してしまえば、後は魔法自体が判断してくれるだろう。

 で、だ。こっからですよ。
 更にこれを強化するんだけど、今日やってみて分かったのはぐるぐる見回して探すのが面倒ってことだ。
 というわけで、ミニマップを視界に追加する。

 強くイメージをして探索魔法を発動する。
 ――よし、成功だ。
 俺の視界の左下にミニマップができた。
 視線をそちらに動かしても別にミニマップは逃げていかない。ゲーム画面見てるみたいな感覚だな。

 そこには緑の光点がたくさん映っている。
 それと、青い点もぽつぽつある。あれ?赤い点もあるぞ!?
 え? 町中にモンスターいるの!?
 今まさに目の前をモンスターが通ってる!
 俺は慌てて窓に近寄って、木窓を開けた。
 そんな俺の目に飛び込んできたのは、赤く光っているあの六本足の顔がバクみたいな変な生き物だった。
 ミニマップを見ても、赤い光点はどうみても、あれだ。
 なるほど、モンスターを馬みたいに使っているのか……。
 俺は木窓を閉じるとほっと胸を撫でおろした。
 とりあえず探索魔法はこれでいい、必要な部分があれば再度追加すればいいだろう。

 さて、次は鑑定魔法だな。
 イメージとしては、その物体に対して俺が魔法を発動すればゲームの説明画面みたいにポップアップすれば便利でいいな。
 ま、イメージさえすれば後は魔法が自動で頑張るだろう。
 よし、イメージイメージ。そう、こんな感じでポップすればいいな。

 俺は目を開けて目の前にある椅子を見て鑑定魔法を発動する。
 すると、視界に電子板みたいなのが現れ、そこに文字が書かれている。
 どうも日本語で書かれているみたいだ。
 それとも日本語に見えてこの世界の文字なんだろうか?
 そういえばまだ文字を見たことがないな。後で調べるとしよう。
 とりあえずはこれだ。えー、どれどれ?

【木でできた椅子 一般的な平民の家にある椅子 評価E】
 評価?なんだこれ。とりあえず他も見てみよう。
【木でできたベッド 一般的な平民の家にあるベッド 評価E】
【木でできた机 一般的な平民の家にある机 評価E】
【木でできた積木 幼児が遊ぶための木でできた玩具 評価E】
【粗末な布 一般的な平民の家にある布 評価E】
【粗末な子供用の服 一般的な平民の子供が着る服 評価E】
 評価Eしかないじゃん。
 というか失礼な。この服はママが縫ってくれた服なんだぞ!
 まぁ生地は確かにゴワゴワしてて着心地は良くないが……。

 気を取り直して俺は他の部屋にある物も見ることにした。
 消音魔法とロックを解除して部屋から出る。
 廊下を歩きながらあちこちに目をやって鑑定していく。
 あ、あれだ。光る石、あれなんて言うんだろう。
【光る石 ダンジョンで多数産出される光る石 評価E】
 そのまんまだった。
 ていうか、ダンジョン! ダンジョンあるんだ! テンションあがるううう!!

 俺は鼻息荒くマリーがいるキッチンへと来た。

「あら、ルカ。目が覚めたの?」
「うん」
「何か飲む?」
「うん」

 俺は椅子によじ登り腰かけた。
 マリーは飲み物を入れてくれているようだ。
 その間にあれこれ鑑定をしていく。
【粗末な食器 一般的な平民の家にある食器 評価E】
【ナイフ とても上質なナイフ 評価B】
 おお!初めてのB評価!

「ママ、そのナイフってパパが作ったの?」
「ええ、そうよ。パパはこの町ではとっても腕のいい鍛冶師なのよ」

 そう言いながらマリーは俺に飲み物を出してくれた。
 ――といってもあっためた牛乳だけど。
 俺は牛乳を飲みつつアレコレ鑑定をした。
 基本的には全て評価Eだが、ウードの作った鉄製品は全て評価Bだった。
 パパ凄いな!

 ちなみに、牛乳は牛の乳ではなかった。
【バッフルホーンの乳 一般的に平民がよく飲む草食の大人しいモンスターの乳 評価E】
 モンスターの乳だったけど、まぁ味は牛乳だ。
 そして最後に気になってた鑑定をしてみた。
【マリー・ローレンツ 人間 女性 21歳 平民 状態:健康】
【ルカ・ローレンツ 人間 男性 4歳 平民 状態:健康 特殊:あらゆる魔法を創造、操ることができる大魔導士】
 え? ナニコレ、特殊? 大魔導士!?
 鑑定さん予想外の仕事してくれるな……。
 俺、ただ魔法の才能あるんだーって思ってたけど、違ったらしい。
 ていうかすごくない? 俺凄くない?
 どんな魔法でも作れて操れるって最強じゃん!
 これは開発のしがいがあるなぁ。思いついたら適当に作ってみよっと。

 俺は鑑定さんの仕事ぶりに驚きながらも新しい魔法の開発に心をときめかせることになった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生王子の異世界無双

海凪
ファンタジー
 幼い頃から病弱だった俺、柊 悠馬は、ある日神様のミスで死んでしまう。  特別に転生させてもらえることになったんだけど、神様に全部お任せしたら……  魔族とエルフのハーフっていう超ハイスペック王子、エミルとして生まれていた!  それに神様の祝福が凄すぎて俺、強すぎじゃない?どうやら世界に危機が訪れるらしいけど、チートを駆使して俺が救ってみせる!

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?

N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、 生まれる世界が間違っていたって⁇ 自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈ 嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!! そう意気込んで転生したものの、気がついたら……… 大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い! そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!! ーーーーーーーーーーーーーー ※誤字・脱字多いかもしれません💦  (教えて頂けたらめっちゃ助かります…) ※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした

御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。 異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。 女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。 ――しかし、彼は知らなかった。 転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

処理中です...