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第一章 幼少期

1 転生

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 キキィ! 車の急ブレーキの音がした。
 次の瞬間、俺の体は宙を舞いあがり、クルクルと回転する。
 回転する視界に、真っ青な青空が飛び込む。
 今日は部活の朝練で急いでいたんだが、間に合わないかな、そんなことを考える。

 俺、車に轢かれたのか、死ぬのかな? 童貞で死ぬのは嫌だな。あの子に告白しておけばよかったな。
 先月十七歳になったばっかりなのに。短い人生だったなぁ。母さん泣くかな。
 ああ、夏だってのに、なんか寒いな。それに眠い。

 死にたく、ねぇなぁ……

 そこで俺の意識は完全に途絶えた。
 意識が閉じる瞬間、俺は暖かい光に包まれたような気がした……


 次に目覚めた時、俺は地面に転がって泣いていた。
 いってぇ。結構撥ね飛ばされたのか? そう思って体を起こそうとしたらふわりと誰かに抱き上げられた。
 十七歳の男を抱き上げられる人がいることに驚き、俺はその相手を見て驚いた。
 俺を抱き上げたのは、俺と同じくらいか、少し上か、そのくらいの若い外国人の女の人だったからだ。

「あら、泣き止んだの? ルカ」

 ルカ? 俺は長瀬達也だが、そう思って口を開いて驚いた。

「おえあなあえたあ……!?」

 事故でまともに話せないのかもと一瞬思ったが、その声はどう考えても俺の声じゃない。
 なんというか、幼い子供の声というか……
 俺を抱き上げる彼女から離れようと体を動かして更に驚くことになった。
 動きにくいと思って見た自分の体が自分の体ではないのだ。
 それはどう見ても幼い子供の体で、俺はパニックに陥った。
 感情が高ぶったせいか俺は涙が溢れて止まらなくなる。
 まるで幼い子供のように泣きじゃくってしまった。

「あらあら、痛いのないないよー泣かないのよー」

 外人の女の人が俺を抱いたままゆらゆらと体を揺らしている。
 恥ずかしくてどうしようもないが、涙が止まらない。
 俺は泣き疲れて寝てしまうまで、わんわんと小さな子供のように泣いてしまった。
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