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第七十二話 対面
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まだアオスには追い付かれていない。どうやら時間をかけてクーリエに罠を仕掛けさせておいて正解だったようだ。
もしかしたら罠にかかってそのまま身動きが取れなくなってしまっているかもしれない。だとすればもう僕の勝ちは決まったようなものである。
今は地下三階、もうすぐ地下二階に通じる階段が見えてくるはずだ。
このまま優勝カップを持って地上に戻れば僕の勝ち。
アオスめ、思い知らせてやる。お前よりもこの僕の方が核が上だということを。
幼い頃から何一つ奴は僕に勝てなかった。いつも宙に視線を泳がせ独り言を言うような気持ち悪い双子の兄。
周りからの評判も最悪。父や母からも見放され、家族として扱われることもなかった。
あんな奴が兄だなんて心底嫌だった。だから逆にそれを利用し、僕の評価を上げるために行動したのだ。
兄とは絶対的に違う存在。何よりも優れていて、誰もが注目する人物になるために。
だから僕は、「兄の代わりに僕が頑張るんです!」と周りに吹聴し、期待と同情を誘った。そうして自ずと僕の評価が高くなっていき、ジェーダン家にカイラ在りとまで称されることになったのである。
そんな僕が、踏み台にしたはずの兄に敗北するなんて有り得ない。そんなことあってはならないのだ。
先の〝代表戦〟では、アオスの卑怯な策にハマってしまった。小石に躓いたのである。
故にもう微塵の油断もしない。相手が僕のことを知っているからこそ模擬試合で勝ちを拾ったように、僕だって奴のことは知っている。
魔力も武力もない、一般人に等しい存在だ。マジックアイテムで補っているようだが、それさえ注意すれば何てことはない。
上手く試験官を騙して特待生を得たようだが、それも完全なメッキ。そのうちこの僕が剥がしてみせる。
この世は強さこそすべて。魔法=強さなのだ。
それは自然の摂理でもあり、決して歪んではならない法則。
だから証明して見せる。
『魔力無者』は絶対に『魔法士』には勝てないことを。
「よし、このまま地下二階に降りて――」
脇道を抜けて、すぐ目の前に階段が現れた。
地下二階はフロア的にはそう広くないし、このまま突っ走れば、たとえアオスが走ってきても追いついては来られないだろう。
僕は勝利を確信しほくそ笑んだ――だがその時である。
――バキィィィィィッ!
突如近くの壁が粉砕し、そこから何かが突出してきた。
僕はその正体を知り、思わず驚愕の声を上げてしまう。
「――アオスッ!?」
後ろから追ってくる気配はなかった。だから相当距離が離れていると思っていて安心していたのだ。
しかしまさか別の道から、壁を壊してショートカットしてくるなんて思わなかった。
「非常識なっ!」
僕はさらに速度を上げて地下二階へと降りていく。すぐ後ろにはアオスが迫っている。
どうする? どうする? どうする!?
これだけの距離だ。後ろから弓で狙われる可能性も否定できない。
地下二階にクーリエに仕掛けさせた罠もあるが、そこまで間に合うかは分からない。
「……仕方ない」
僕は地下二階に辿り着くと、そのままクルリと踵を返す。
するとアオスもまた階段を降りてきて姿を見せた。
「まさか壁を突き破ってくるなんて……君にはセオリーを大切にしようという心構えがないのかい?」
「常識に囚われているから俺に瞬殺されるんだぞ」
っ……コイツ、相変わらず口だけは達者だな。
「まあいい。君は僕の手で直接分からせたいとも思っていたからね」
「分からせたい? 何をだ?」
「僕と君の真の実力の差をだよ」
「それなら〝代表戦〟で十分に知れ渡ったはずだが?」
「おめでたいね。あれが僕の実力だとでも?」
僕が全力を出せば、アオスなんかにやられるわけがないのだ。
「この優勝カップが欲しいんだろ? なら月並みだが、僕を倒して手に入れれば良い。そんなことができるとは思えないけどね」
「相変わらずの自信家だな。だから失敗してしまう。暗殺者の件にしても」
「……何のことかな?」
もちろん僕とグレン兄さんが画策したことだが、何の証拠もないだろうけど、もちろん口頭でも認めるつもりはない。
「ここは狭い。決着をつけるに相応しい場所があるからついてくるといいよ」
よし、このままクーリエに仕掛けさせた罠がある場所まで誘導する。
アオスも警戒はしている様子だが、大人しくついてきているようだ。
ククク、馬鹿正直なことだ。本当に愚かでしかない。
僕なら後ろから奇襲する。冒険者として、強かな面も持っていなくてはならないのだ。そんな甘ちゃんでこの世界を生き抜くなど無理だ。それを僕が教えてやろう。
そして細い道を突き進んでいる時、僕は〝ここだ!〟と壁に手を当てて魔力を流す。
これが罠発動の条件なのだ。
するとアオスの左右に存在する壁に魔法陣が浮かび上がり、そこから鎖が出現しアオスを拘束した。これはボス部屋でシン助がくらったものと同じだ。ただし魔法陣が二つ。拘束力は二倍ある。
「アッハァ! 馬鹿め! 油断してるからそうなる! ほれ、ついでにお土産だぁ!」
僕は身動きの取れないアオスに向かって、模擬試合の時にも放った火球をプレゼントしてやった。
これで完全な無防備だ。マジックアイテムだって使えまい。そのまま直撃して死んでしまえばいい。
多少問題になるかもしれないが、アオスがこの世からいなくなるならそれで良い。それにジェーダン家の威光を使えば、平民がたった一人死んだくらいどうとでもなる。
僕の思惑通り、火球はアオスに命中し、狭い場所で一気に燃え上がる。熱量は骨すら欠片も残さないほどだ。
「ククク……これでようやく僕の…………っ!?」
あとはゆっくり勝利の凱旋といこうと思った矢先、以前の時のように火球が霧散し、そこから鎖すら消失させたアオスが姿を見せた。
もしかしたら罠にかかってそのまま身動きが取れなくなってしまっているかもしれない。だとすればもう僕の勝ちは決まったようなものである。
今は地下三階、もうすぐ地下二階に通じる階段が見えてくるはずだ。
このまま優勝カップを持って地上に戻れば僕の勝ち。
アオスめ、思い知らせてやる。お前よりもこの僕の方が核が上だということを。
幼い頃から何一つ奴は僕に勝てなかった。いつも宙に視線を泳がせ独り言を言うような気持ち悪い双子の兄。
周りからの評判も最悪。父や母からも見放され、家族として扱われることもなかった。
あんな奴が兄だなんて心底嫌だった。だから逆にそれを利用し、僕の評価を上げるために行動したのだ。
兄とは絶対的に違う存在。何よりも優れていて、誰もが注目する人物になるために。
だから僕は、「兄の代わりに僕が頑張るんです!」と周りに吹聴し、期待と同情を誘った。そうして自ずと僕の評価が高くなっていき、ジェーダン家にカイラ在りとまで称されることになったのである。
そんな僕が、踏み台にしたはずの兄に敗北するなんて有り得ない。そんなことあってはならないのだ。
先の〝代表戦〟では、アオスの卑怯な策にハマってしまった。小石に躓いたのである。
故にもう微塵の油断もしない。相手が僕のことを知っているからこそ模擬試合で勝ちを拾ったように、僕だって奴のことは知っている。
魔力も武力もない、一般人に等しい存在だ。マジックアイテムで補っているようだが、それさえ注意すれば何てことはない。
上手く試験官を騙して特待生を得たようだが、それも完全なメッキ。そのうちこの僕が剥がしてみせる。
この世は強さこそすべて。魔法=強さなのだ。
それは自然の摂理でもあり、決して歪んではならない法則。
だから証明して見せる。
『魔力無者』は絶対に『魔法士』には勝てないことを。
「よし、このまま地下二階に降りて――」
脇道を抜けて、すぐ目の前に階段が現れた。
地下二階はフロア的にはそう広くないし、このまま突っ走れば、たとえアオスが走ってきても追いついては来られないだろう。
僕は勝利を確信しほくそ笑んだ――だがその時である。
――バキィィィィィッ!
突如近くの壁が粉砕し、そこから何かが突出してきた。
僕はその正体を知り、思わず驚愕の声を上げてしまう。
「――アオスッ!?」
後ろから追ってくる気配はなかった。だから相当距離が離れていると思っていて安心していたのだ。
しかしまさか別の道から、壁を壊してショートカットしてくるなんて思わなかった。
「非常識なっ!」
僕はさらに速度を上げて地下二階へと降りていく。すぐ後ろにはアオスが迫っている。
どうする? どうする? どうする!?
これだけの距離だ。後ろから弓で狙われる可能性も否定できない。
地下二階にクーリエに仕掛けさせた罠もあるが、そこまで間に合うかは分からない。
「……仕方ない」
僕は地下二階に辿り着くと、そのままクルリと踵を返す。
するとアオスもまた階段を降りてきて姿を見せた。
「まさか壁を突き破ってくるなんて……君にはセオリーを大切にしようという心構えがないのかい?」
「常識に囚われているから俺に瞬殺されるんだぞ」
っ……コイツ、相変わらず口だけは達者だな。
「まあいい。君は僕の手で直接分からせたいとも思っていたからね」
「分からせたい? 何をだ?」
「僕と君の真の実力の差をだよ」
「それなら〝代表戦〟で十分に知れ渡ったはずだが?」
「おめでたいね。あれが僕の実力だとでも?」
僕が全力を出せば、アオスなんかにやられるわけがないのだ。
「この優勝カップが欲しいんだろ? なら月並みだが、僕を倒して手に入れれば良い。そんなことができるとは思えないけどね」
「相変わらずの自信家だな。だから失敗してしまう。暗殺者の件にしても」
「……何のことかな?」
もちろん僕とグレン兄さんが画策したことだが、何の証拠もないだろうけど、もちろん口頭でも認めるつもりはない。
「ここは狭い。決着をつけるに相応しい場所があるからついてくるといいよ」
よし、このままクーリエに仕掛けさせた罠がある場所まで誘導する。
アオスも警戒はしている様子だが、大人しくついてきているようだ。
ククク、馬鹿正直なことだ。本当に愚かでしかない。
僕なら後ろから奇襲する。冒険者として、強かな面も持っていなくてはならないのだ。そんな甘ちゃんでこの世界を生き抜くなど無理だ。それを僕が教えてやろう。
そして細い道を突き進んでいる時、僕は〝ここだ!〟と壁に手を当てて魔力を流す。
これが罠発動の条件なのだ。
するとアオスの左右に存在する壁に魔法陣が浮かび上がり、そこから鎖が出現しアオスを拘束した。これはボス部屋でシン助がくらったものと同じだ。ただし魔法陣が二つ。拘束力は二倍ある。
「アッハァ! 馬鹿め! 油断してるからそうなる! ほれ、ついでにお土産だぁ!」
僕は身動きの取れないアオスに向かって、模擬試合の時にも放った火球をプレゼントしてやった。
これで完全な無防備だ。マジックアイテムだって使えまい。そのまま直撃して死んでしまえばいい。
多少問題になるかもしれないが、アオスがこの世からいなくなるならそれで良い。それにジェーダン家の威光を使えば、平民がたった一人死んだくらいどうとでもなる。
僕の思惑通り、火球はアオスに命中し、狭い場所で一気に燃え上がる。熱量は骨すら欠片も残さないほどだ。
「ククク……これでようやく僕の…………っ!?」
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