上 下
71 / 78

第70話 人を信じられなくなった件について

しおりを挟む
 あの日の出来事を俺は忘れることはないだろう。
 高校生になってからずっとぼっち伝説を築き上げてきた俺ではあるが、小学生の頃は友達も多く毎日一緒にゲームしたり、外で遊んだりと活発な少年時代を過ごしていた。

 そして中学に上がっても、さらに友達を増やして楽しもうという意気込みしかなかった。
 小学生時代からの友人も、数人ではあるが同じ中学だったので不安要素なんてまったく存在していなかったのだ。
 中学に入学して一年間、持ち前のコミュニケーション能力を活かして親友とはいかないまでも、友人と呼べる人数を増やすことに成功していた。

 ただ結構バカなことをやったりスケベな発言などもしていたから、女にはウケが悪かったので彼女なんてできなかったが。
 それでも男どもと毎日バカをやっているのが楽しかった。
 しかし進級して二年生になった時、ある出来事が俺が所属するクラスに起こったのである。

 それは転校生がやって来たことだ。
 何でも地元は北海道らしく、親の仕事の都合で転校してきたのだという。

 名前は――三取屋才輝《みとりやさいき》。

 見た目は中性的な顔立ちで身長も低いから男子なのに女子みたいな奴だった。
転校が多かったこともあり、あまり人付き合いも上手くなく、悪く言えばコミュ障ってやつ。
 実際に転校してからも、初日は質問攻めに遭っていたが、数日後には誰にも話しかけられないような空気を出す、接し方の難しい人物であった。

 ただ俺はせっかくだからみんな仲良くできたらいいと思い、ただ一人才輝に話しかけ続けていたのだ。
 才輝は毎度毎度「僕に構わないで」と言うだけで取り付く島がない状態。
 それでも俺は諦めずに接し続けていたのである。

 そんなある日、才輝が一人でゲームセンターに入るのを見た。興味が惹かれた俺も、彼の後を追って入ると、そこには群衆を囲んだ才輝の姿があったのだ。
 どうやら彼はあらゆるゲームのレコードトップを獲得しているようで、ゲーマーたちからも一目置かれるような存在になっていたらしい。
 ゲームなら俺も得意だし、仲良くなるきっかけになると思い対戦格闘ゲームを挑んだ。

 結果は見事に惨敗。体力ゲージを一センチほどしか削れずに毎回圧倒的なプレイで押し潰されてしまった。
 何度も何度も、ゲームのジャンルを変えてまで挑戦するが、どれもまるで歯が立たずに敗北を喫する。

「……お前、すげえな」

 涼しい顔で勝利宣言を受ける才輝に対し、俺がガックリとしながらそう言うと彼は首を横に振ってこう言った。

「この程度、まだまだだよ。だって僕はプロを目指してるんだから」

 それが初めてまともな会話をした瞬間だった。

「え? プロ? ゲームのプロなんかあんの?」
「知らないの? それでよくゲーム好き名乗ってられるね。恥ずかしい奴だよ君って」

 喋ってみればとんだ毒舌野郎だったが、俺はそれよりもゲームのプロの話の続きを聞きたくて、

「何だよそれ、ゲームのプロってマジであんの? 教えてくれよ! てかプロ目指してるってすっげえな!」

 興味津々で尋ねると、才輝は驚いた顔で口を開く。

「……変だって思わないの?」
「は? 何で?」
「だって……将来ゲームで食べていきたいって言ってるんだよ?」
「うん、だから何?」
「いや…………今まで僕の夢を聞いた人は例外なくバカにしたり笑ったり……否定したから。親だって……」

 ゲームをやっている時と違って、どんよりと曇った表情を見せる才輝。

「う~ん、でもプロを目指すんだろ?」
「え? うん」
「どんな世界でもプロってとんでもねえはずだ。それにプロがあるってことは、世間に認められた立派な職業ってことでもあるじゃねえか」
「……笑わないの?」
「笑うかよ! つか夢があるってこと自体すげえよ。俺なんてどうやったら女子とエッチできるかってことばっか考えてんのに。あとできればセレブな女のヒモになって過ごしたい」
「…………ぷっ、あはははは! 何それ、バッカじゃないの君! あはははははっ!」
「酷えなぁ、男子中学生として至極まっとうだと思うぞ。はっ、もしかしてお前……ホモか!?」
「ちがっ! な、何でそうなるのさ! 僕はこんな見た目だけど、れっきとした男だし、ちゃんと女の子が好きだよ!」
「ほっ、良かったぁ。マジ安心したぜ」
「ならお尻を押さえて僕から遠ざかるのを止めてくれるかな?」

 ジト目で俺を睨みつけてくる才輝。だがフッと笑みを零したと思ったら、

「……そっか。分かってくれる人もいるんだね」

 聞き取り辛かったが、確かに彼はそう言った。
 それからだ。放課後は毎日ゲーセンに行って二人で遊んだ。

 俺の友達も呼べばと言ったが、才輝は俺だけがいてくれるだけでいいと言ったので、二人だけで楽しんでいた。
 今はまだ二人でもいい。いつか才輝にも、大勢の友達を作ってほしいけど、それは時間をかけて育んでいけばいいと思うから。

 そうして気づけば半年、ほぼ毎日一緒にいたからか、互いの趣味や嗜好なども分かり合う親友のような存在になっていた。
 しかしそんなある日のことだ。
 時折才輝の顔色が悪い時があった。本人は決まって「風邪気味だから」と言うだけだ。

 しかしそれは日を追うごとに酷くなり、時には顔に痣や傷をつけてくることもあった。
 さすがにこれはおかしいと思い調べてみると、どうやら才輝がイジメられていることが判明したのである。

 当然親友の窮地を黙っていられるわけもなく、情報を集めて才輝がイジメられている瞬間に出くわして止めてやろうと思った。
 そしてついにその現場に俺は姿を見せたのだが……。

 才輝を囲ってイジメていたのは、俺の小学生時代からの友達だった。
 どいつもこいつも気さくで楽しい連中ばかり。ともに笑ってバカやって、それが今後もずっと続くと思っていたのに。
 いつか才輝に覚悟ができたら、コイツらを紹介しようと考えていたのだ。
それなのに……。

「それなのに何でだよっ、お前らぁっ!」

 たまらず俺は怒声を浴びせかけた。
 さすがに俺に見られて動揺を見せた奴らだったが、すぐに開き直ったような態度をぶつけてくる。

「あのさぁ、六門もいつまでもこんななよっちい奴とつるんでんなよ」
「そうそう、コイツ……ゲームのプロ目指してるんだって? 何それ? バカなの? 現実見ろって」
「大体コイツの家金持ちらしいし、ちょっとくらい俺らにも恵んでくれたって良くね? ほら見てみなよロクちゃん、コイツの財布に十万とか入ってんぜ! マジヤッバ!」

 信じられないほどの自分勝手な考えだった。
 こんなこと言うような奴らじゃなかったのに。
俺はコイツの言動にキレてしまって、気づけば全員を叩きのめしてしまっていた。

「ろ、六門……?」
「……才輝、大丈夫か?」
「六門こそ! そんなにケガして!」
「はは……殴り合いの喧嘩なんて初めてやったわ」

 それなのに三人に勝ったんだから凄くね? まあこっちもボロボロだけども。

「ごめん……ごめんね……六門」
「何でお前が謝るんだよ。これは俺が勝手にしたことだろうが」
「でも……でもっ、ごめん……っ」

 この事件で、俺と三人は一週間の停学をくらった。
 だが俺はこれで三人が頭を冷やしてくれるはずだと思っていた。

 …………しかし俺の希望は、無残にも破られてしまうことになる。

 そう。才輝へのイジメは止むことがなく、それどころか益々エスカレートしていったのだ。
 そしてその矛先は俺にも向かってきた。
 教室では、例の三人だけでなく他の連中までもニヤニヤして俺たちを見つめてくる。

 それで分かった。

 イジメを行っていたのは三人だけじゃなかったのだ。このクラスにいる連中のほとんどが加担していたのである。
 友達だと思っていた奴らが、全員掌を返したかのように攻撃をしてきた。

 凡そイジメと聞いて想像できることは全部されたと思う。
 靴を隠したり、教科書を破られたり、机に落書きなど可愛いものだった。
 酷い時は複数人に囲まれてボコられるなんてのもあったし、教師も気づいているくせに何もしないクソ人間だったので、俺と才輝はどん底の学生生活を送っていたのである。

 それでも俺はまだ耐えることができた。というのも俺の場合は、まだ反発の意思があったし殴られたら殴り返すくらいの気力はあったからだ。
 しかし才輝の場合はそうじゃない。元来気が弱いせいもあり、金持ちの息子ということもあって、陰で俺よりも酷いことをされていたのだと思う。

 どうせこんなくだらないこと、そのうちに無くなるだろうとタカをくくっていた。三年にもなれば受験だし、バカでも時間の重要さくらい理解できるはずだと。

 ……だけど甘かった。

 もうすでに才輝が限界ギリギリだったことに俺は気づけなかったのだ。
 ある日、才輝が両手に包帯を巻いて学校へ来たのである。
 当然理由を尋ねた。
 だが返ってきた言葉は、俺の予想を超えていた。

「もう、僕に構わないで」

 あの時と……このクラスに転入してきた時と同じ冷たい瞳と言葉をしていた。
 もちろんそれから何度も何度も話しかけたが、彼の態度が覆ることはなかったのである、

 そうして三日後に――あの事件が起きた。

 才輝が自宅で首を吊って亡くなったという報せを受けたのである。
 俺の家に警察の人たちが来て、その人たちから初めて聞いたのだ。
 何でも彼が遺した遺書には、俺について書かれていたのだという。
 それもたった一言だけ。

『六門、弱い僕で本当にごめん』

 その言葉を頼りに、親しくしていた俺に警察の人たちが話を聞きに来たというわけだ。
 実は彼の家族も、俺と同じく放任主義で日々を妹と二人で暮らしていたのだという。

 妹は兄の異変に気付いて、俺にも話を聞いてイジメられていることを親に伝えたようとしたらしいが、連絡が取れずに結局はなしのつぶてに終わったとのこと。
 だから彼の――才輝の親も、才輝が苦しんでたこと、自殺したことを後々になって知ることになったのである。

 当然ながら俺は警察に俺とともにイジメられていたことを教えた。
 だが確たる証拠もなく、クラスの連中はまるで口裏を合わせているかのように誤魔化したのである。
 教師も学校の名誉を守るためか、イジメがあったことを決して認めようとはしなかった。

 結果的に、才輝は被害妄想が強かったとされ、イジメをしていた連中には何の裁きも与えられなかったのである。
 警察署に乗り込み、もっと詳しく調べてほしいと何度も嘆願した。
 だがすでに事件ではなく、自殺として処理されたとして受け取ってもらえなかったのだ。

 俺は絶望した。何のための警察だ。何のための学校だ。教師だ。友達だ。クラスメイトだ。
 それに才輝も才輝だ。どうしてそこまで苦しんでいたのなら、俺に相談してくれなかったのだ。どうして最後、俺を拒絶したんだ。

 俺たちは―――親友じゃなかったのかよっ!

 それから俺は、両親を無理矢理説得して東京の【才羽市】へと引っ越すことにした。
 すべての関係をまっさらな状態で、新たな生活を送りたかったからだ。
 そうして何もかもを失った俺は、もう誰も信用することはしないと誓ったのである。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

最強パーティーのリーダーは一般人の僕

薄明
ファンタジー
ダンジョン配信者。 それは、世界に突如現れたダンジョンの中にいる凶悪なモンスターと戦う様子や攻略する様子などを生配信する探索者達のことだ。 死と隣り合わせで、危険が危ないダンジョンだが、モンスターを倒すことで手に入る品々は、難しいダンジョンに潜れば潜るほど珍しいものが手に入る。 そんな配信者に憧れを持った、三神《みかみ》詩音《しおん》は、幼なじみと共に、世界に名を轟かせることが夢だった。 だが、自分だけは戦闘能力において足でまとい……いや、そもそも探索者に向いていなかった。 はっきりと自分と幼なじみ達との実力差が現れていた。 「僕は向いてないみたいだから、ダンジョン配信は辞めて、個人で好きに演奏配信とかするよ。僕の代わりに頑張って……」 そうみんなに告げるが、みんなは笑った。 「シオンが弱いからって、なんで仲間はずれにしないといけないんだ?」 「そうですよ!私たちがシオンさんの分まで頑張ればいいだけじゃないですか!」 「シオンがいないと僕達も寂しいよ」 「しっかりしなさいシオン。みんなの夢なんだから、諦めるなんて言わないで」 「みんな………ありがとう!!」 泣きながら何度も感謝の言葉を伝える。 「よしっ、じゃあお前リーダーな」 「はっ?」 感動からつかの間、パーティーのリーダーになった詩音。 あれよあれよという間に、強すぎる幼なじみ達の手により、高校生にして世界トップクラスの探索者パーティーと呼ばれるようになったのだった。 初めまして。薄明です。 読み専でしたが、書くことに挑戦してみようと思いました。 よろしくお願いします🙏

人気MMOの最恐クランと一緒に異世界へ転移してしまったようなので、ひっそり冒険者生活をしています

テツみン
ファンタジー
 二〇八✕年、一世を風靡したフルダイブ型VRMMO『ユグドラシル』のサービス終了日。  七年ぶりにログインしたユウタは、ユグドラシルの面白さを改めて思い知る。  しかし、『時既に遅し』。サービス終了の二十四時となった。あとは強制ログアウトを待つだけ……  なのにログアウトされない! 視界も変化し、ユウタは狼狽えた。  当てもなく彷徨っていると、亜人の娘、ラミィとフィンに出会う。  そこは都市国家連合。異世界だったのだ!  彼女たちと一緒に冒険者として暮らし始めたユウタは、あるとき、ユグドラシル最恐のPKクラン、『オブト・ア・バウンズ』もこの世界に転移していたことを知る。  彼らに気づかれてはならないと、ユウタは「目立つような行動はせず、ひっそり生きていこう――」そう決意するのだが……  ゲームのアバターのまま異世界へダイブした冴えないサラリーマンが、チートPK野郎の陰に怯えながら『ひっそり』と冒険者生活を送っていた……はずなのに、いつの間にか救国の勇者として、『死ぬほど』苦労する――これは、そんな話。 *60話完結(10万文字以上)までは必ず公開します。  『お気に入り登録』、『いいね』、『感想』をお願いします!

異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた
ファンタジー
日本のとある高校生たちが異世界に召喚されました。 高1で15歳の主人公は弱キャラだったものの、ある存在と融合して力を得ます。 様々なスキルや魔法を用いて、人族や魔族を時に服従させ時に殲滅していく、といったストーリーです。 なかには一筋縄ではいかない強敵たちもいて・・・・?

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

Another World〜自衛隊 まだ見ぬ世界へ〜

華厳 秋
ファンタジー
───2025年1月1日  この日、日本国は大きな歴史の転換点を迎えた。  札幌、渋谷、博多の3箇所に突如として『異界への門』──アナザーゲート──が出現した。  渋谷に現れた『門』から、異界の軍勢が押し寄せ、無抵抗の民間人を虐殺。緊急出動した自衛隊が到着した頃には、敵軍の姿はもうなく、スクランブル交差点は無惨に殺された民間人の亡骸と血で赤く染まっていた。  この緊急事態に、日本政府は『門』内部を調査するべく自衛隊を『異界』──アナザーワールド──へと派遣する事となった。  一方地球では、日本の急激な軍備拡大や『異界』内部の資源を巡って、極東での緊張感は日に日に増して行く。  そして、自衛隊は国や国民の安全のため『門』内外問わず奮闘するのであった。 この作品は、小説家になろう様カクヨム様にも投稿しています。 この作品はフィクションです。 実在する国、団体、人物とは関係ありません。ご注意ください。

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

私のスローライフはどこに消えた??  神様に異世界に勝手に連れて来られてたけど途中攫われてからがめんどくさっ!

魔悠璃
ファンタジー
タイトル変更しました。 なんか旅のお供が増え・・・。 一人でゆっくりと若返った身体で楽しく暮らそうとしていたのに・・・。 どんどん違う方向へ行っている主人公ユキヤ。 R県R市のR大学病院の個室 ベットの年配の女性はたくさんの管に繋がれて酸素吸入もされている。 ピッピッとなるのは機械音とすすり泣く声 私:[苦しい・・・息が出来ない・・・] 息子A「おふくろ頑張れ・・・」 息子B「おばあちゃん・・・」 息子B嫁「おばあちゃん・・お義母さんっ・・・」 孫3人「いやだぁ~」「おばぁ☆☆☆彡っぐ・・・」「おばあちゃ~ん泣」 ピーーーーー 医師「午後14時23分ご臨終です。」 私:[これでやっと楽になれる・・・。] 私:桐原悠稀椰64歳の生涯が終わってゆっくりと永遠の眠りにつけるはず?だったのに・・・!! なぜか異世界の女神様に召喚されたのに、 なぜか攫われて・・・ 色々な面倒に巻き込まれたり、巻き込んだり 事の発端は・・・お前だ!駄女神めぇ~!!!! R15は保険です。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

処理中です...