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婚約解消か?受け入れただろ。
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しおりを挟むレミーと教室へ向かう途中、
「兄妹でやる事が同じって」
「兄妹だからじゃない?女性の基準が猫ちゃんなら軽い男性を演じた方が落としやすいって思っても仕方がないと思うわ」
「猫ちゃん基準だとね」
「でもこれからは素の自分になるんじゃない?バカじゃないなら」
「バカじゃないならね?それこそ妹が婚約解消させた令嬢を狙えば良いのに」
「それはそれで警戒されそうだけど」
「それもそうね。でもまさか猫ちゃんにお兄様がいるとは思わなかったわ」
ミアさんのお兄様がバカじゃない事を願うしかないわね。
でもミアさんのお兄様のおかげでマシュー様が近寄って来なくなっただけ良かったわ。
オスカー様が教室まで迎えに来てくれ、馬車まで向かう途中、
「オスカー様!」
オスカー様の元婚約者が声をかけてきた。
「またお前か」
「どうして婚約者になってくれないの?」
「何度も言うが俺はもう婚約者がいる。お前と婚約者に戻る事はない」
「どうしても?」
「ああ」
「お願いよ」
「嫌だ」
「こんなに頼んでいるのに酷いじゃない」
「どれだけ頼まれても嫌なものは嫌だ」
「オスカー様が婚約者になってくれないと私困るの!可愛い婚約者が出来るのよ?オスカー様だって嬉しいでしょ?」
「俺には可愛い婚約者のアイラがいる」
「その子より私の方が可愛いでしょ?」
「俺にはアイラの方が可愛いと思う」
元婚約者さんは私の方を向き、
「ねぇ、貴女、貴女には他にも婚約者になりたい男性が現れるわ。でも私にはオスカー様しかいないの。お願い、オスカー様を私に譲ってほしいの」
「譲れません。私の婚約者はオスカー様だけです」
「お願いよー!オスカー様が婚約者にしてくれないと私、私、後妻になっちゃうの!後妻なんて嫌よ!私と変わらない子供がいるのよ?おじさんよ?
私まだ若いのにおじさんなんて嫌よーーー!」
「ですが自業自得ですよね?今も醜態をさらしていると分かっていますか?そんな貴女を婚約者にしたい男性がいると思いますか?」
「いないから頼んでるんじゃない!」
「オスカー様と婚約を解消して他の男性と別れたとしても、オスカー様に縋ったりしなければまた違う婚約者が出来たんですよ?それを貴女は自分で自分の首を絞めたんです」
「言われなくても分かってるわよ!」
「このまま醜態をさらし続けていれば後妻の話もなくなり修道院に入れられますよ?」
「修道院は嫌よ」
「それなら後妻を受け入れるしかありませんね」
「簡単に言わないで!」
「ですがそれしかないですよ?」
「うわぁぁぁぁん、うわぁぁぁぁん」
元婚約者さんが泣き出した。
「お前がどうなろうと俺達には関係ない」
「お願い、私を助けて!」
「後妻になれば良いだろ。年が離れているならお前の我儘も可愛いものだと受け入れてくれるかもしれないぞ?それにお前を可愛いがってくれるぞ?毎日可愛い可愛いって言ってくれるぞ?お前が欲しい物は何でも買ってくれるかもしれないぞ?」
「それでもおじさんじゃない」
「渋いおじさんかもしれないだろ」
「それでも老い先短いじゃない」
「未亡人になれば好きな事が出来るだろ?遺産で遊ぶ事も出来るぞ?」
「え?そう?それもそうね。未亡人でお金があったら、ふふっ、私を取り合う男性達が目に浮かぶわ!」
「お前が望む姿じゃないのか?少し我慢すれば良いだけだ」
「そうね、少し我慢すれば良いだけね。それまで媚びを売れば私に遺産を全部くれるわよ。だって私可愛いもの。
今までごめんなさいね?二人の邪魔をするつもりは無かったのよ?でも私の将来の方が大事でしょ?でももう邪魔をしないから安心して?」
「お前も幸せにな」
「私は幸せよ?オスカー様と結婚するより幸せだと思うわ!」
オスカー様の元婚約者さんは足取り軽く私達の前からいなくなった。
「バカだと思うのは私だけかしら」
「いや、実際バカだろ。いくら後妻だからと前妻の子供が跡を継ぐ以上遺産が手に入る訳がない」
「ですよね」
それでももう絡まれないだけ良かったわ。
マシュー様もあれから絡んで来なくなり、というより私の顔を見るとなぜか逃げて行くんだけど…?
それよりも…、
「アイラ、会長は今日は家か?商会か?」
「商会だと思いますが」
「そうか、なら後で挨拶に行ってくる」
ミアさんのお兄様、ワンス様が良く話しかけてくるようになった。
ワンス様もあれから伯爵令嬢と縁があり、今は私のお父様に商売のいろはを教わりたいと何日も通って頭を下げている。なかなか良い返事は貰えていないようだけど、それでもいきいきしている姿の方が男として格好良いと思う。
いずれお父様も根負けしそうだけどね。好きな女性の為に頑張ろうと努力する若者に弱い人だから。
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