12 / 18
婚約解消か?受け入れただろ。
12
しおりを挟む私は目の前で仲良く話しているお互いの元婚約者達を見ていた。
突然手を引かれ、
「オスカー様?」
「シッ!」
オスカー様に手を繋がれ馬車に乗り込んだ。
今は馬車の中、
「良いのですか?」
「俺達にはもう関係のない人だ」
「それもそうですね」
「それよりもアイラの元婚約者、アイラの事がまだ好きなんじゃないか?」
「まさか!やめてくださいよ!」
「あれは好きな子をいじめるってやつじゃないのか?」
「違います。もし仮に私を好きだとして、好きな子をいじめたら普通に嫌いになると思います。いじめてくる子を好きになりますか?
好きな子をいじめて好きになってくれるってどこをどうしたら思えるんですか?」
「それもそうか」
「はい。いじめられたら私は嫌いになります。好きなら好きと分かる方が良いです」
「どうすれば分かるんだ?」
「照れたり?ですかね?
何度も目が合ったり、話す時に照れて顔を見れなかったり、もし素っ気なくても好意を持ってくれてると分かります」
「そうか…。俺の好意は分かってくれてるだろうか」
「好意ですか?私に持ってくれてるんですか?話しやすいだけじゃなくて?楽しいだけじゃなくて?」
「あ、ああ」
オスカー様の少し赤くなった照れた顔が…、
私は少し赤くなった顔を俯けた。
「アイラは可愛いと思う。何度も話すうちにいい子だなと思っていた。毎日図書室へ通うのが楽しみだった。だけどアイラは結婚にあまりこだわっていなかっただろ?」
「確かにそうですね。お父様の商会で働けば良いと思っていたので」
「他人だから知らない人だから話しやすくて話すのが楽しいと思っていたんだが、父上から婚約者が出来そうだと言われた時、フッとアイラの顔が浮かんだ。婚約者が出来たらあの楽しい時間が無くなるのか、と思ったら寂しくて辛かった」
「私もオスカー様から婚約者が出来そうと聞いた時寂しくて辛かったです。オスカー様と過ごす時間はあまりに楽しい時間で癒やしの時間でしたから」
「アイラ、好きだ」
「私もオスカー様が好きです」
二人で顔を真っ赤にさせて俯いた。
馬車が街へ着きオスカー様に手を借りて馬車を降りた。繋がれた手は離される事がなくそのまま街へ入っていった。
「アイラ、髪飾りを贈ったらつけてくれるか?」
「はい」
宝石店に入り髪飾りを選ぶ。
「どれが良い?」
「私はオスカー様が選んでくれたものをつけたいです」
「そうか、ならこれはどうだ」
オスカー様は花のモチーフの髪飾りを指差した。
「可愛いです」
「ならこれにするか」
「はい」
オスカー様に初めて贈ってもらった髪飾りを大事にしたい。でもつけてる所も見てほしい。
オスカー様から髪飾りを受け取り、
「ありがとうございます。大事にします」
それからお茶をして家まで送ってもらった。
次の日の朝、オスカー様が迎えに来てくれ馬車に乗り込む。
「オスカー様おはようございます」
「おはよう。やっぱり似合うな。一目見たときからアイラに似合うと思っていたんだ」
「ありがとうございます」
私は嬉しくて、
「アイラの笑った顔は可愛いな。前から思っていたが」
「それならオスカー様の笑った顔も素敵です」
またまた二人して真っ赤になった顔を俯けた。
「前にアイラに言われたからじゃないぞ?似合うと本当に思ったし可愛いと本当に思う」
「はい、ありがとうございます」
「確かに言わないと分からないかもしれないが、言いたいと思ったのはアイラだけだ。アイラには思わず言いたくなるというか、考えるより先に言葉が出る」
「私もオスカー様に似合うと言ってもらえて嬉しいです。それにオスカー様も、その、格好良くて素敵です」
「隣に座ってもいいか?」
「はい」
オスカー様は隣に座り私の手を繋いだ。
馬車が学園に着き、馬車を降りても手は繋がれたまま。
「オスカー様!どうして手を繋いでいるの?私の時は繋いでって言っても繋いでくれなかったじゃない!それに私ずっと家で迎えに来てくれるのを待っていたのよ?」
「ならそのままずっと待ってれば良かっただろ」
「そしたら遅れるじゃない。どうして迎えに来ないのよ!」
「どうして婚約者でもない他人を迎えに行かないといけない。俺は婚約者のアイラと一緒に通いたい。
それに俺はアイラの手を繋ぎたいと初めて思った、離したくないと初めて思った。元々人と手を繋ぐのはあまり好きじゃない、だからお前とも繋がなかっただけだ」
オスカー様は手を繋ぐの好きじゃないのね…。
ん?
そうするとオスカー様の元婚約者が他の人に目を移しても仕方がないんじゃ…。私もマシュー様と手を繋いだ事はないけど。
「好き」はまぁ好きじゃないと言えないとして手を繋ぐぐらいは…、
でも好きじゃない人と手は繋ぎたくないわね。肌と肌が直接触れ合うんだもの、私は嫌ね。だからマシュー様とも繋ぎたいとも思わなかったもの。
62
お気に入りに追加
2,207
あなたにおすすめの小説
──いいえ。わたしがあなたとの婚約を破棄したいのは、あなたに愛する人がいるからではありません。
ふまさ
恋愛
伯爵令息のパットは、婚約者であるオーレリアからの突然の別れ話に、困惑していた。
「確かにぼくには、きみの他に愛する人がいる。でもその人は平民で、ぼくはその人と結婚はできない。だから、きみと──こんな言い方は卑怯かもしれないが、きみの家にお金を援助することと引き換えに、きみはそれを受け入れたうえで、ぼくと婚約してくれたんじゃなかったのか?!」
正面に座るオーレリアは、膝のうえに置いたこぶしを強く握った。
「……あなたの言う通りです。元より貴族の結婚など、政略的なものの方が多い。そんな中、没落寸前の我がヴェッター伯爵家に援助してくれたうえ、あなたのような優しいお方が我が家に婿養子としてきてくれるなど、まるで夢のようなお話でした」
「──なら、どうして? ぼくがきみを一番に愛せないから? けれどきみは、それでもいいと言ってくれたよね?」
オーレリアは答えないどころか、顔すらあげてくれない。
けれどその場にいる、両家の親たちは、その理由を理解していた。
──そう。
何もわかっていないのは、パットだけだった。
この恋に終止符(ピリオド)を
キムラましゅろう
恋愛
好きだから終わりにする。
好きだからサヨナラだ。
彼の心に彼女がいるのを知っていても、どうしても側にいたくて見て見ぬふりをしてきた。
だけど……そろそろ潮時かな。
彼の大切なあの人がフリーになったのを知り、
わたしはこの恋に終止符(ピリオド)をうつ事を決めた。
重度の誤字脱字病患者の書くお話です。
誤字脱字にぶつかる度にご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く恐れがあります。予めご了承くださいませ。
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。
そして作者はモトサヤハピエン主義です。
そこのところもご理解頂き、合わないなと思われましたら回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんでも投稿します。
婚約者に選んでしまってごめんなさい。おかげさまで百年の恋も冷めましたので、お別れしましょう。
ふまさ
恋愛
「いや、それはいいのです。貴族の結婚に、愛など必要ないですから。問題は、僕が、エリカに対してなんの魅力も感じられないことなんです」
はじめて語られる婚約者の本音に、エリカの中にあるなにかが、音をたてて崩れていく。
「……僕は、エリカとの将来のために、正直に、自分の気持ちを晒しただけです……僕だって、エリカのことを愛したい。その気持ちはあるんです。でも、エリカは僕に甘えてばかりで……女性としての魅力が、なにもなくて」
──ああ。そんな風に思われていたのか。
エリカは胸中で、そっと呟いた。
【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?
曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」
エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。
最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。
(王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様)
しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……?
小説家になろう様でも更新中
「……あなた誰?」自殺を図った妻が目覚めた時、彼女は夫である僕を見てそう言った
Kouei
恋愛
大量の睡眠薬を飲んで自殺を図った妻。
侍女の発見が早かったため一命を取り留めたが、
4日間意識不明の状態が続いた。
5日目に意識を取り戻し、安心したのもつかの間。
「……あなた誰?」
目覚めた妻は僕と過ごした三年間の記憶を全て忘れていた。
僕との事だけを……
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)
青空一夏
恋愛
従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。
だったら、婚約破棄はやめましょう。
ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!
悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる