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部屋を出た私達は違う部屋に案内され、


「今日は申し訳ありませんでした。それで子爵にはなりますがレオは今迄通りエリザちゃんの婚約者として認めていただけますでしょうか」

「こちらはそのつもりだ」

「ありがとうございます」

「婚姻は喪があけてからにしようと思うが」

「こちらへのご配慮ありがとうございます」

「後は子爵当主を交えての話し合いになる」

「はい」



私達は子爵家の当主様を待って、それから私の家に場所を移した。


私とレオは庭に来てベンチに座った。


「今迄ごめん」

「レオ」

「手紙が届いているとばかり…」

「私も返事がこないのがレオの気持ちだと思っていたもの。レオの気持ちをはっきり聞くのが私は怖かったの。イザベラお姉様を好きだって言われるのが、怖かったの」

「俺ももっと伝えれば良かった。俺はあの公園で初めて会った子供の時からずっとエリザが好きだ。初恋の女の子で今は愛する女性だ。そんな昔からずっと好きだったなんて、あんな一瞬で好きになったなんて気持ち悪いって言われるのが、それを聞いたエリザに嫌われるかもと思っていた。俺の気持ちが重いと、気持ちを伝えすぎて嫌われたらと思うと、だから今迄あまり気持ちを伝えてこなかった。もっとエリザに伝えれば良かったと今は後悔している」

「私もあの公園で初めて会った時からずっとレオが好きなのよ?私の初恋もレオなの。そして今は愛する男性よ?」

「本当か?」

「ええ」

「エリザ好きだ、愛してる」

「私もレオが好き、愛してるわ」

「抱きしめてもいいか?」

「ええ」


レオは私を抱きしめ、私もレオを抱きしめた。


「ねぇ、レオ、これからはもっと言葉にしない?もうすれ違うのは嫌だわ。今回は人為的もあるけどお互いの気持ちを知っていたら防げたと思うの」

「言葉にして嫌わないか?」

「嫌わないわよ。前にも言ったでしょ?どんなレオでも嫌いにならないって」

「紳士じゃなくても?」

「この前弱みを見せてくれたじゃない。私は嬉しかったわ」

「格好つけなくても?」

「格好悪いレオも好きよ?」

「本当はもっとこうやって抱きしめたかった。膝の上に座らせて、その、キスも、したい。好きだって何度も言いたいし、エリザにも言ってもらえたら嬉しい。いつも兄上達を見て羨ましかった。俺もエリザと兄上達みたいになりたいって」

「ふふっ、レオ好きよ」

「エリザ」

「レオは言葉を選んで話すから口数少ないって思っていたけど、気にしなかったら案外話すほうなのね」

「エリザ限定だけどな。他の女性は苦手だ」

「ふふっ、レオらしいわ。そんなレオが大好きよ?」

「エリザ、ありがとう……それとごめん……たくさん傷つけただろ?」

「そうね。でもレオも傷ついていたでしょ?辛かったでしょ?」

「俺はエリザと結婚する為ならと思っていたから」

「私もよ?レオと結婚できるなら例えレオが私を好きじゃなくてもって思っていたわ」

「好きだ!俺はエリザが好きだ!」

「今迄お互い少し遠慮があったのよ。お互いが嫌われるかもって思っていたから。

でもこれからはお互い言葉に出しましょ?それにどんな事を言っても、どんな姿を見せてもお互い嫌わないって分かったもの」

「ああ。エリザ、」


レオの顔が近づいてきて、私の唇にレオの唇が重なった。

初めてのキスに、


「エリザ、俺もう死ぬかも」

「え?」

「心臓が、もたない…」


抱き合ってる私にも伝わるくらい心臓の音がしていた。でもそれは私も同じ。心臓の音がドクドクと大きな音をたてている。


「私も…」


どちらの心臓の音が分からない。重なる心臓の音に、私はレオの胸に真っ赤な顔を埋め心臓の音を聞いていた。



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