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婚約破棄の手続きをする為に伯爵家へやって来た。

一週間ぶりに見たレオはすごくやつれていた。


「レオ君の不貞により婚約は破棄する。慰謝料などはおって連絡する」

「…はい、すみませんでした」

「レオ君、確認なんだが本当に婚約を破棄していいんだな」

「……はい」

「レオもこう言っていることだし早くお互いサインをさせよう。慰謝料もそちらの提示する額を支払う」

「レオ君私を見なさい」


俯いていたレオが顔をあげた。


「これが最後だ。意味は分かるね?

もう一度確認する。エリザと婚約を破棄していいんだな」

「……い、や、だ……、エリザと、婚約破棄したくない」

「君は義理のお姉さんと不貞をしているのだろ?」

「違います!俺が愛しているのはエリザだけです!」

「レオーーー!!」


レオの体がビクッと震えた。


「レオ君、お父上の事は気にするな。今は私と話しをしているんだ。正直に答えなさい」

「はい」

「レオ君が婚約を白紙に戻してほしいと言ったらしいが、義理のお姉さんと結婚したいのか?君のお父上はそう言っていたよ?」

「違います!それだけは絶対に違います!

兄上が死んでから俺は兄上として生きろと言われ続けました。エリザと結婚したいなら我慢しろと…。ですが、もう限界です。俺はレオとして生きたい。

エリザと結婚したいです。俺の初恋の女の子で愛する女性です。ですが、平民では婿養子にはなれません」

「平民?」

「俺は勘当してもらいます。もうこの家にいるのも、ここで暮らすのも、父上に従うのも、イザベラに付き合うのも、もううんざりだ…」

「義理のお姉さんに付き合うとは?」

「イザベラは記憶が混濁していて俺を兄上だと思っています。父上はエリザと結婚したいなら兄上のように振る舞えと、だから俺は…。

それに、イザベラのお腹には兄上の子がいて、医者からも精神的な不安を与えないようにと言われ…」

「それでか、なるほどな。レオ君は家を出るつもりなのか?」

「はい」

「それならもっと早く出れば良かっただろ」

「勘当してほしいと言ってから、その、」

「監禁されていたのか?」

「はい。部屋を塞がれ部屋の前には騎士達がいました。窓から出ようとしたのですが見つかり、窓も塞がれました」

「お前!!」

「父上、もう俺を解放して下さい。俺はレオです。兄上は死んだんだ!」

「レオ君、君はエルザと婚姻したいんだな?」

「はい!出来ることなら、平民になった俺でもいいならエルザと結婚したいです」

「今はまだ勘当はされていないのか?」

「今はまだ勘当されていません」

「そうか。それならまだ伯爵家の息子の内に婚姻すれば良い。今すぐ婚姻だけ済ませよう」

「いいんですか?」

「そのつもりで婚姻の届け出の書類も持って来た」

「私はサインなどしないぞ!」

「別にいりませんよ。親のサインなら貴方じゃなくても良い。それに喪があけたら婚姻する予定だったんだ、それが少し早くなっただけのこと、何も問題はない」

「それなら今すぐ勘当してやる!レオ!お前はたった今勘当した!この家から出て行け!」

「ハハハッ、ありがとうございます。これでレオ君はこの家とは関係ない人間になりました」

「な、なんだと!」

「どうぞお入り下さい」



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