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おまけ ローレンス視点 ①
しおりを挟む「ローレンスどういう事よ。説明してよ……」
隣の牢屋からミリアの声。
うるさい、うるさい、うるさい、私もなぜだかまだ状況が分からないんだ。
ここは王宮の中にある薄暗い地下の牢屋。重大な罪を犯した罪人か従者など平民が入る所。確かに身分が剥奪されれば平民、でもそれでも私は王子だ。王子の私がこんな汚い所になぜ入れられる。騎士達め、間違えて私を入れたな!
「おい、衛兵、衛兵!そこに居るんだろ!」
何度叫んでも誰も来ない。職務怠慢だ、父上に言って罰してもらわないとな。
「おい!聞こえているのか!」
「うるさいですよ、静かにしなさい。衛兵達もそれぞれ任務があるんです。貴方一人に構ってはいられないんですよ」
「宰相!これはどういう事だ。私は王子だぞ。王子の私が入るような所ではない」
「もうお忘れですか?貴方は先程身分を剥奪されました」
「それは、あの場では仕方がなかったからだ。父上の立場上ああ言うしかなかっただけだ。父上も本意ではない」
「貴方の言うようにもし仮に陛下が本意ではなかったとして、貴族が集まる場で発した言葉は取り消せません」
「父上を、父上を呼んでほしい。息子のローレンスが会いたいとそう伝えてほしい。私が呼んでいると知れば父上は直ぐに会いに来てくれる」
「陛下は忙しい身、一応伝えますが会いに来られるかは約束できません」
「ならせめてここではない所に移してくれ。こんな汚い所一分たりとも居たくない」
「はあぁ、貴方はなぜ身分を剥奪されたのか分かっているんですか」
「それは…、それは分かっている。私が悪かった。だが婚約破棄されたのは私の方だ、違うか」
「婚約破棄されたと言いますが、されるのは当たり前でしょう。婚約者を蔑ろにしただけでなく不貞までしておいて、婚約破棄されて当然です。私でもこんな婚約者嫌ですよ」
「だからそれは悪かったと言っている。エリーナにも謝罪をする。だからここから早く出してくれ。そもそもたかが婚約破棄したぐらいでどうして牢に入れられる」
「たかが婚約破棄と言いますが、されど婚約破棄です。本来、婚約を結んだら白紙や解消でもあってはならないんですよ。それでも我々は人形ではない、生身の人間です。やむを得ない場合があります。病気で婚約が困難になった、没落し貴族ではなくなった、相手の素行の悪さ、その応急措置です。性格の不一致、心変わり、本来そのような事で白紙や解消は出来ないんです。ですが当主同士がやむを得ないと認めたのならと周りは静観しているだけです。
政略結婚とは個々ではなく家、家の繁栄の為のものです。時代が変わり子孫達の心も大事にしようと婚約期間を設けるようになりました。婚約期間とは互いに相手の事を受け入れる準備期間です。言葉を交わし同じ時間を過ごし相手を知り少しづつ受け入れる。初めは意にそぐわない相手でも長い時間一緒に過ごせば情が湧き、相手の良い所が見えてくる。婚約とは前提は家の繁栄の為の結婚ですが心も大事にしてほしいと先人達が未来へ願った希望の期間です。
貴方に先人達のような優しさはありますか?」
「私に無いと言うのか」
「無いから貴方はここに居る。ここに居るのは貴方自身がそう選んだからだ。
これからの事を説明します」
宰相に説明された内容は何一つ納得出来ない事ばかり。それでも父上がさっき言った内容だった。ミリアと夫婦になりこの国から一生出る事は出来ない。王都への立入りも禁止されたら誰に頼ればいいんだ。友に匿ってもらう事も養ってもらう事も出来ない。ならどうやって連絡を取ればいい。どうやって暮らしていけと言うんだ。
去勢も何やら難しい内容で良く分からなかったが、私は動物じゃない人間だ。私は王子だ。父上は何を考えているんだ、私の子が出来なければ誰がこの国の後継者になれる。
エリーナに謝罪すると言っているのに、謝罪さえすればいいだけだろ?ならしてやるよ。
エリーナさえ何も言わなければ、今までのように黙ってれば良かったものを、そしたら私はこんな事にはならなかった。全てエリーナが悪いんだ。そうだ、エリーナのせいだ。あいつも身分を剥奪されていた。必ず見つけ出して報いを受けさせてやる。
あれから数日、衛兵は食事を運んできても受け答えはしない。私の声が聞こえてないのか?お前の耳はきちんと付いているのか。私は王子だぞ。お前達みたいな下々の者が私を無視していいと思っているのか。お前達が敬う存在だぞ。それに食事もなんだこの食事は、私は病人じゃないぞ。
父上も母上も一度も会いに来てくれない。二人が会いに来てくれないとここから出れないではないか。
何もする事がない。隣のミリアは毎日うるさくてただでさえ地下は響くのにずっとミリアの声を聞いていると頭が痛くなる。私はあんな女のどこが良かったのか。ああ、初めから体だけだったな。どうせなら可愛い顔がいい、胸もあったしな。あの時は声さえも可愛いと思っていたが、今となっては耳障りな声だ。
「痛い、痛い、痛い、あああああ…」
「うるさいぞミリア、少し黙れ!」
ああ!もう嫌だ!早くここから出してくれ!
私は毎日耳を塞いでいる。耳を塞いでいてもミリアの声が聞こえ、このままでは私の方が気が狂う。
カツンカツンと足音が響き、その足音が近付いてくる。
ようやく父上か?
私は期待の眼差しで待っていた。
「宰相か…、何の様だ。
それよりミリアがうるさくて眠れない。早くここから出してくれ。毎日毎日あの声を聞いていると私の方が気が狂いそうだ。昨日から一日中痛い痛いと、私の気が滅入る」
「当たり前です。腹を切ったので痛みは伴います」
「腹を、切った…?なぜだ」
「私も専門ではないので詳しくは知りませんが、男性に子種があるように女性にも子供を作る核があるそうです。それがあると子供が出来るのでその核を取り除きました」
「なぜ…」
「子供が出来た場合、貴方の子だと言われたらどうするんですか。彼女が子を産めば貴方の子だと勘違いされても困りますから。なら子が出来ないようにするしかありません。貴方の子種を取り除いたら終わりではないんですよ。
もし貴方の子種が無いと知らない人が居たら?その人にとって彼女の子は王族の血を引くと思うでしょう。一滴も入っていない王族の血でも彼女の夫が貴方な限りその子には利用価値がある。それではこちらも困るんです。その為の処置です」
「ならせめて痛まないようにしてやってくれ」
「痛みを取る薬は貴重なんです。痛いならどうぞと簡単には渡せないんですよ」
「そうか、なら仕方がないか。我慢させるしかないな。
それよりあの食事はなんだ。野菜ばかりではないか。スープはもう飽きた、私は肉が食べたい。果物も付けてくれ」
「ローレンス君、貴方は何様ですか」
「おい宰相!ローレンス『君』だと!?」
「何も間違いではありませんよ、貴方は平民で私は貴族。私は私が雇用する者は呼び捨てで呼びますが、その他の者には『君』か『さん』を付けて呼びます。
何か問題でも?」
「私は確かに不本意ではあるが平民になった。それはもう変えられない事実なんだろう。でも私は父上の息子だ、この国の王の息子だぞ。父上は最も敬う相手だ」
「ええ、陛下は敬う相手です。ですが貴方は元王子、今は平民のローレンスです。貴方が誰の息子であっても貴方はもう王族ではない、ましてや王子でもない」
「父上を呼んでくれ、父上をここに呼んでくれ」
「いい加減にしなさい。貴方は平民になったんです。貴方が言う下々の者と同じになったんです。いや、それ以下です。これからはローレンスと呼び捨てにされるでしょう。馬鹿だの阿呆だの貴方が今まで言われた事もない名で呼ばれるんです。その時に不敬だの王子だの言っても誰も取り合ってくれませんよ。貴方はもう王子ではないし何ら不敬にもあたりません。
それはなぜか、罪を犯したからです。じゃあ何が罪か、婚約者を蔑ろにし婚約者以外と不貞を働いたからです。
それの何が罪だ、貴方はそう思っているのでしょう。人を殺した訳でも横領した訳でもない。ただ婚約者に好意を持てなかっただけだ、婚約者以外に好意を持っただけだ、それだけでどうして重い罰を受けないといけない、そう言いたいのでしょう。
婚約を白紙に戻したり解消しても何の罰も受けないのにどうしてと。ただ婚約破棄になっただけだ、それの何が違うと。どうして自分ばかりが、自分の他にも同じように婚約者以外に好意を持っていた者はいると、そう思っているんでしょう」
「ああ、実際婚約を破棄しただけだ。白紙や解消と同じだ。それに私だけじゃない、他にも私と同じように婚約者を蔑ろにし不貞を働いていた者もいる。その者達と私は同じだ。だがどうして私だけが罰を受けないといけない」
「それは貴方が散々言っている『王子』だからです。皆の手本になり導く、それは悪い方ではなく良い方へ。貴方は悪い方へ皆を導いた。本来、王子とは悪い方へ進む者達を制し愉し良い方へ導かないといけない。貴方は第一王子で王の後継者になる人でしたから。
私は陛下の幼い頃からの友です。そして学友です。陛下の時代にも婚約者以外に心を移す者達はいました。ですが陛下はその者達を制し諭した。何度も何度も言葉を交わし双方の意思を聞いて、それで上手くいった者も上手くいかなかった者もいました。婚約を白紙に戻す際、相手に陛下も一緒に謝罪し頭を下げた。『私の力が及ばす申し訳ない。貴女は何も悪くない、悪いのはこの者だ。この者を許さなくていい。貴女はこの者に尽くした、それを私は知っている。必ず貴女の良さを分かってくれる男性が現れる。自分に自信を持ってほしい。非があるのは貴女ではなくこちら、この者の目が曇っていただけだ』彼女の心が落ち着くまで王妃様は側で寄り添った。陛下は言葉で態度で『婚約者は特別だ』そう言い続けた。
陛下はいつも言っていました『私の婚約者になってくれたロザンヌには感謝しかない。私の妃など重圧しかないのにだ。人より多く勉学を学び、体に染み込むまで作法を身につけ、暇な時間もない。私の婚約者でなければもっと自由だったのにな。始まりは決められた婚約者だが今はロザンヌが愛しい。なあローマン、この身はこの国へ捧げるが私の心はロザンヌへ捧げてもいいだろうか、皆は許してくれるだろうか』陛下は王妃様をとても大事に大切にしていました。誰から見ても王妃様を好きで仕方がないと分かるくらいに。でもそれはお互いが歩み寄る努力をした先に得た愛情です。
陛下は『努力は己自身の為だ。だがその努力も己次第だ』貴方が幼い頃よりずっと伝えてきたのを覚えていますか?勉強だけじゃない王族としてだけじゃない、全てに対してです。その言葉の意味をもう一度考えこれからは忘れないでいてほしいと願います。
貴方はどうして王族が学園に入学するか分かりますか。学園の中では平等、平等とはいえ王子は王子です。ですが不敬にはならず対等に言葉を交わす事が出来る唯一の場。己の人脈、味方を増やす事も出来ます。意見の交換も口喧嘩も許される。
『学園は国そのもの。時に臣下になり時に民になる。それを制し諭し導くのが王子の私。今は学生だ、何度失敗しても何度間違えてもやり直しが出来る。ひいては王になるその時の為に私が皆から学べる機会をもらえた唯一の場だ』
陛下のように殿下にも気付いてほしかった…。
貴方はそれに気付かず皆を悪い方へ導いた。貴方の学園での行いが他の者達を助長させた。貴方が愚王ならエリーナ嬢は謀反人。愚かな王へ皆を護る為に反逆した。そしてどんな理由でも謀反を起こせば罰せられる。それが皆を護る為の反逆だとしてもそれが善行だとしてもです。そして謀反を起こす者は自分しかいないと、まだ妃ではない婚約者だったエリーナ嬢は王族としての覚悟を持っていた。今後このような事が起こらないように自ら見せしめになり罪を認め厳しい処罰を受けたんです。貴方を止めれなかったと、貴方を咎めなかったと、静観していた自分にも非があると言って。
貴方にその覚悟がありますか。王子だ王子だと言うだけで王族としての覚悟もない貴方にエリーナ嬢の心が分かりますか。
学園の愚かな王よ、貴方は愚王としてどのような覚悟をお持ちですか。そして自らの罪に自らどう判決を下しますか」
宰相はそう言い残し私の目の前から去って行った。
全て私が悪いと言うのか?私以外の者達の責任までどうして私が負う必要がある。その者達はその者達で責任を負えばいい。
婚約者以外に現を抜かした、それだって私にも心がある。歩み寄る努力だと?なぜ私が歩み寄らないといけない。王子の私の婚約者に選ばれたんだぞ、光栄な事だ。私の気持ちも聞かず勝手に婚約者を決められ、その婚約者にどうして私が気遣いをしないといけない。それだって学園に入るまではきちんと配慮した。いや、ミリアに出会うまでは婚約者として接してきた。贈り物も贈った。時間も作った。それでも心が動かない者にこれ以上どうすればいい。ようやく私の心が動いた相手がミリアだっただけだ。だから私はミリアを愛した。妃になって欲しいと言ってもミリアでは無理なのは分かっていた。だからエリーナを側に置いていたんだ。
私にとってのミリアがたまたま父上には母上だった、それだけだ。だから私は父上が母上に接するようにミリアに接した。手を取り抱きしめ愛を囁やき口付けする。不貞は確かにまずかったがそれだって学友達もしていた。私が初めにした訳ではない、皆がしていたから私は皆を真似ただけだ。それなのにどうして私だけ罰せられないといけない。どうして私が悪者にならないといけない。どうして皆の分まで全て背負わせられないといけない。
私は間違っていない。
エリーナが謀反人というのなら罰せられるのは王に刃を向けた謀反人だけでいいはずだ。
私は何一つ悪くない。
「痛い…、痛い…、痛い…、母上!母上…、痛、い…です!母上ー」
牢を出ろと言われたからようやく罪を償ったと思った。臣下に罪を償ったという事実が必要なだけで数週間牢に入れられた、そう思ったからだ。
連れて行かれた部屋に入る前に目を隠され誘導されるままに横になった。そしたらいきなり薬を嗅がされ…、目が覚めた時には体のどこが痛いか分からないほどの激痛が走った。特に下半身は自分の体に付いているのかいないのかその感覚さえないほどだ。
「痛い、痛い…、あああああー!薬を…、薬を、早くしろ!」
「ローレンス君静かにしなさい」
「宰相!早く…、早く、薬、を……、痛く、て…痛く、て……」
「薬は貴重だとミリアさんの時に言いましたよ。そして貴方はそれなら仕方がない、我慢させるしかない、そう言いました。なら貴方も我慢するしかない。数日我慢すればその激痛も治まるそうです。だから最近ミリアさんは痛いと言っていないでしょう」
「ミリアと…、私、では…違う……」
「同じです」
「なら…、なら、せめて……、母上を……、父上を……、呼んで、くれ、たら……。
母上!父上!」
「静かにしなさい!貴方がいくら叫んでも陛下も王妃様もこちらには来ません」
「父上…も、母上、も……、私を、捨てた…、のか……」
「いい加減にしなさい!貴方が馬鹿でも阿呆でも愚かな息子でも子を愛さない親はいない。陛下も王妃様もこんな息子でも心では心配しているんだ。心を痛めてそれでも耐えているんだ。どんな息子であろうと可愛い子供に会いたくない訳がない。顔を見て言葉を交わし手を取り助けたいそう思うのが親だ。己を制し会いたいのを我慢しているお二人の気持ちが分からないのか。
貴方は捨てられたと言ったが、二人に捨てさせたのは貴方だ。
そもそもの発端は貴方の愚行。陛下の忠告を散々無視し己の身勝手で撒いた種。それをいつも人のせいにし自分は悪くないと言う。都合の悪い時は聞こえないふりをし都合の良い時だけ頼ろうとする。陛下は確かに愚息を作った。だがな、陛下の言葉に耳を傾けなかったのは貴方だ。周りは貴方を排除しようとしていた。王太子には第二王子を、その声に頷きながらも貴方に残された道をずっと探していた。王位継承権を剥奪しても第一王子として暮らせる道はないかと。貴方自ら弟に王位を譲る、もしそれならこの国で貴方が暮らせる道を準備し、もしそれが無理なら王として育てられ王になれなくなった貴方が自暴自棄にならないようにと隣国の王配殿下になられたエリーナ嬢の兄君に口添えをしてもらい隣国の侯爵家の養子になれるようにと準備していたんです。『どんな愚息でも親の私が諦めたり見捨てたりしてはローレンスが孤独になってしまう。愚息に私がしてやれるのは信じてやる事だけだ。どんな道でも王でも臣下でも平坦な道はない。立ち止まり戻ってきても、それでも道がある限りどこかに繋がりまた進める。だがその道は辛く険しい道になるがな』そう言って辛そうにしていた陛下の気持ちが貴方に分かるのか!陛下の信頼を先に裏切ったのは貴方だ。子に裏切られる親の気持ちを、可愛い子に罰を下す親の気持ちを貴方は考えた事があるのか!
私は心底貴方の事などどうでもいい。だがな、陛下は貴方がやり直すと今も信じているんだ。
貴方がこれから進む道は辛く険しく死んだほうがましと思えるような道です。ですが生きて下さい。貴方には償わなくてはいけない人達が大勢います。その事を心に刻んで下さい」
…………………私は……
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