完結した作品の番外編特集

ガネット・フォルンは愛されたい

疑似家族……いや、娘だ

最近娘のローゼと街の家で過ごせるようになった。

ローゼは毎日来ては俺の世話をしてくれる。

初めてローゼが家を訪ねて来た時は


「ようやく帰って来てくれた」


と喜んだ。


ローゼは今は寮生活の為に一緒に過ごす事は出来ない。それでも父親の俺の為に休学して会いに来てくれたみたいだ。


「ガネットに似て優しい娘だ！」




娘と一緒に家の掃除をした。

久しぶりに父親と会えた事が嬉しいみたいだ。鼻歌を歌いながら床を掃いていた。俺はローゼの鼻歌を聞きながら窓を拭く。


娘と一緒に街へ買い物にも行った。

早く早くと俺を急かし父親との買い物を喜んでいるみたいだ。


ここにガネットも居れば家族で過ごせるのだがな…。

一人で来たローゼに、


「ガネットも連れて来てくれれば良かったのに」


と俺が心の中で思ったのは内緒だ。

ローゼだけでも一緒に過ごせるなら我儘は言えない。


宿屋に泊まらず家で泊まれば良いものを！


それでも毎日来てくれるローゼを心待ちにしている。


「母様は元気にしてるか？」


と、ガネットの様子を聞いてみた。


「俺もガネットに会いたい」


ローゼに伝わっただろうか。

今度は母様も一緒に連れて来てくれるはずだと、愛しい妻が恋しいと、

優しい俺達の娘なら気付くだろう。


ただ、


俺を


「おじちゃん」


と呼ぶ。


「父様」


と呼ぶのが恥ずかしい年齢なのだろうが、父は寂しいよ…。

明日来たら聞いてみよう。

恥ずかしくても、


「父様」


と呼んでほしいと、

頼んでみよう。

早くローゼに、


娘に会いたい…