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妹がいなくなった
ギル
しおりを挟むギルとの出会いは本当に偶然だった。普段行かない街へ行った時だった。
露天商のようにアクセサリーを並べて売っていたギル。そのアクセサリーを手に取って見た時「綺麗」そう思った。ガラス玉のはずなのにまるで宝石のように輝いて見えた。銀細工も細部まで繊細に作られていて「一つの作品」まさにそれ。
私は思わず声をかけた。「縛られて働くのは嫌だ」と言うギル。「自由に好きな物だけを作りたい」自分の腕に自信があり、自由に自分が作りたい物だけを作る。
今は小さい宝石の石を買う為にこうしてガラス玉でアクセサリーを作り、売って生活しているらしい。
誰かに雇われるのを嫌がり、宝石商と契約もしていない平民が作るアクセサリーを買う宝石商はいない。
それでも、その職人気質と独自の発想力、そしてなにより腕が良い。
私は雇うという形ではなく、材料と宝石の確保、後は作ったアクセサリーをいい値で買い取るという約束だけをして、ギルにアクセサリー作りに打ち込んでもらった。
数個出来るといい値で買い取る。どれも綺麗なアクセサリー、それでもギルは完成品ではないと言う。アクセサリーは身につけその人に合った長さ、角度、それを調節して初めて完成すると言う。
チャーリーがこの国に支店を出したいと連絡があってから、エディーナに支店を任せる事になり、私はどうしてもギルにミリー商会の一員になって欲しかった。
あの腕に惚れ込み私よりも条件の良い人が現れたらギルはそっちに行くだろうと。そしてそれもギルの自由だと。
私はエディーナと一緒にギルの所へ行った。これからはエディーナと直接やり取りをして貰う為に。
エディーナを見たギルは「この女の為に商会へ入る」ギルの一目惚れだ。
ギルは「雇われる」を選んだ。それでも作業は今迄通り、ギルの好きなように自由に作って貰い、最終調整をして完成させる。
エディーナを口説き落としたギルは、エディーナと結婚し、今は息子と娘を持つ父親になった。
手先が器用な2人の子供達、将来有望間違いなしね!
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