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ガネット・フォルンは愛されたい
俺はネイソン
しおりを挟む俺はガネットの兄のネイソンだ。
少し俺の話をしようと思う。お前は関係ない?出てくるな?そう言うな。
俺は至ってシンプルだ。大事な者かそうじゃないか。
子供の頃は可愛いガネットは勿論だ。母上、後、一応父上、まあ父上はギリギリだがな。それだけだった。今は大事な者が増えたが。
俺は母上の病気を治そうと子供心にそう思っていた。だが、俺は正義の方じゃないと直感で思った。じわじわ蝕む毒のような、いや、毒か、そっちに目がいった。だが、この国を出て行く事は出来ない。可愛いガネットを一人残してまで出て行けない。俺の一番はガネットだからだ。
子供の頃の俺の楽しみは父上の愛人達へする悪戯だ。可愛らしい子供のする悪戯だ。ドレスに毛虫をくっつけたり、まあ10匹くらい付けたが、あの時は刺繍に隠れ飾りのようだったがな。まあ色々だ。「ギャー」と叫び声を聞いてニタニタしたのは仕方がない。度々本宅から叫び声が聞こえたがな。
ガネットは母上の側を離れない。だから俺は度々一人で街へ行った。
その時大通りで父親らしき人が俺と変わらないくらいの女の子を打ったんだ。
打たれた女の子は父親をキッと睨んでいた。俺はその顔に心を撃たれた。
それが俺の一目惚れだった。
平民だとしても必ず見つけ出して嫁にする!それだけを支えに探した。
俺が隠密になるきっかけになったかもしれない。
街へ繰り出し、探し、情報を集める。俺は皮を被るのは得意だ。その人その人に合わせて皮を被る。またそれが楽しかった。
半分諦めた頃、学院へ通って俺は運命的な出会いをした。
あの彼女が同じ学年に居たんだ。
もう逃さない!
俺はじわじわと毒が蝕むように、じわじわと俺をすり込ませた。
騎士クラスに入り、剣の腕を磨く。同じ騎士クラスに腕の立つ奴がいたから毎度勝負していたら友になった。俺は直感でこいつは同類だと思った。
正義風を吹かしているが、根の奥は違う。それにそいつも大事な者かそうじゃないかはっきりしている。
俺達はそうじゃない者に情けはかけない。それが例え愛しい人の身内でも。
愛しい妻アビーは天涯孤独になった。父親と義母親は不慮の事故で亡くなった。馬車の点検を怠ったらしい。フフッ
俺の一番はガネットからアビーへ代わった。アビーには俺しかいない。
今も薄っすらと残る無数の鞭で打たれたあと。
アビーはこれからも俺が護る。
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