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ガネット・フォルンは愛されたい
if 違う未来 2
しおりを挟む「ガネットただいま」
「おかえりなさいザック」
今私は辺境の街のザックの家で一緒に暮らしています。
あれからザックは一週間生死を彷徨い、私は毎日看病しました。
手を握り、
「生きて」
それだけを繰り返しました。
一週間後、意識を取り戻したザックを見て涙が出ました。
それから動けるようになるまで辺境の医療室で治療をし、この家に戻る時、
「ガネット、看病ありがとう。看病して貰える立場じゃないのは分かっているが嬉しかった。それにいい夢も見たんだ。ガネットが生きたらもう一度やり直すって。そんな訳がないのにな。それでもその夢のおかげで俺は生きよう、生きてガネットとやり直したい、今度こそガネットを裏切らない、今度こそ2人で幸せになりたい、そう思ってた」
「あの…」
「分かってる。俺を愛していないのも、俺のしてきた事を許せないのも、もう俺を信じられないのも、分かってる。でもありがとな。看病してくれて純粋に嬉しかった」
「そう…」
ザックは街の家に帰って行きました。
私は毎日ザックの家を見つめます。
今なら、ザックと前とは違う関係が築けるかもしれない。生きてくれて嬉しかった、それは本心です。
私は夕刻、街のザックの家の前で待っています。
「ガネット?」
「あの、」
「どうした?」
「傷はもう」
「大丈夫だ。仕事にも行ってる」
「仕事?」
「ここに暮らしてから鍛冶職人に弟子入りしたんだ。騎士にはもうなれないが、剣には携わっていたくてな」
「そう」
「それでどうした?」
「貴方はまだ私とやり直したいと思ってるの?」
「それは忘れてくれ」
「…もう…他に、」
「違う!俺が愛してるのはガネットだけだ。それは変わらない」
「なら」
「俺には子種がない」
「あの傷で?」
「あの時、刺された場所も刺された場所だったから医師が調べたらしい。俺は刺される前から子種が無かったみたいだ。元々不能気味だったんだが別にこれといって不能でも気にならなかった。だけど今はもう」
「もう?」
「完全にその、不能なんだ。全く勃たない」
「それは…」
「俺は気にしてない。これも天罰だと思ってる。だけどガネットは違う。まだ若い。子だって望める。だからその言葉は忘れてほしい。暗くなった、送って行くよ」
「待って。ザックは子供が出来ないと私を愛せないの?」
「違う!俺はガネットとやり直したい。その気持ちに嘘はない。ガネットを愛してるのも、今後も俺は勝手にガネットを愛し続ける」
「なら、」
「もし俺とやり直したとしてガネットが子が欲しくても俺とは子は望めない」
「子供がいなくても仲が良い夫婦はいるわ」
「なら!ガネットは俺と仲が良い夫婦になれると、子供がいなくても良いと言えるか?俺を信じられないだろ?俺のしてきた事はガネットを裏切ってきた行為だ、違うか?」
「そうよ。貴方は私の心を踏み躙って愛人を作った」
「そうだ」
「でも、それでも、貴方を心の奥では忘れられないの。今なら貴方と前とは違う、本当の夫婦になれると、なりたいと、そう、思うの」
「子が望めないんだぞ」
「分かってる」
「それでも、それでも俺とやり直してくれるのか?」
「ザックは?」
「俺はやり直したいに決まってる」
「私もやり直してみたい」
「ガネット」
ザックは私を抱きしめました。
「愛してる。もうガネットを裏切らない。今度こそガネットを幸せにする」
「うん」
それから私は侍女を辞め、ザックと暮し始めました。
街の一軒の家、今日も灯りを灯す。
幸せな家の灯りがずっと続くように。
一軒の家の灯りが消え、
男は妻の体だけを絶頂にさせ、何度も果てる妻の、淫れた妻の姿を見るのに幸せを感じ、今日も愛する妻の体を…
「ガネット愛してる」
完
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