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ガネット・フォルンは愛されたい
ハルク編 4
しおりを挟む俺はガネットに話しかけ、何度も食事に誘った。
閉ざした心を開けさせ、前に進む為に、俺は俺に意識が向くように、少し冗談っぽく、少し本気な気持ちを覗かして、ガネットに話しかけ続け誘い続けた。
俺には女性を口説く方法なんて分からない。
初めての彼女は彼女から告白された。
その次の彼女は何度も通い話しかけ誘い続けた。
情けないが俺にはこれが精一杯の口説き方なんだ。
初めは一言も話してくれなかったガネットが少しづつ心を許し、話しかけたら答えてくれるようになった。
警戒してる猫を手懐ける気分だったよ。
侍女と騎士、一線は引くものの辺境で働く仲間として受け入れられた、仲間として見てくれる、それでもガネットの心は固く閉じたままだ。
そんな時、傭兵として数十人雇った者の経歴書を見ていた。
ガネットの元旦那の名前は知らなかった。ただ、騎士で王宮勤めで騎士隊長だったと、父親の騎士団長に剣を折られ騎士剥奪になったとだけ聞いた。
一人の男の経歴書には元王宮勤め元騎士隊長と書いてあった。その後は各地転々とし、その場限りの商会の護衛、傭兵についていた。辺境にも各地転々としている一箇所として傭兵になった。
俺は直ぐにガネットの元旦那だと分かった。
俺はずっとガネットを陰ながら見つめ、陰ながら護ってきた。
俺なら今のガネットごと愛してやるのに、
俺なら今のガネットごと護ってやるのに、
俺なら今のガネットの心ごと護って愛してやるのに、
辺境で共に暮らすようになって、何度も話すようになって、俺はガネットを愛してしまった。
俺が護りたい
俺が助けたい
俺が支えたい
俺が幸せにしたい
俺が愛したい
ガネットが一方通行の愛しかいらないと言うなら俺が愛を注ぐ。
ガネットが自分だけ愛してほしいと言うなら俺がガネットだけを愛す。
ガネットが幸せになりたいと言うなら俺が幸せにしたい。
ガネットへの気持ちの芽生え、
ガネットの心の奥に固く閉じたガネットの心、
憎しみ、
後悔、
心残り、
元旦那が現れても俺の気持ちは変わらなかった。
それでもガネットが「幸せ」になるなら元旦那とよりを戻してやり直す、それでガネットが「幸せ」になるならそれならそれで俺は一生二人を見守るつもりだった。
なあ、ガネット、もう愛してもない男なら
「とうの昔に忘れました」
「他人の事など気にならない」
「変わりのきく妻」
とは他人に言わないんだよ。
忘れてないから、
気になるから、
未だに心の奥にある気持ち、
それはな、まだ思いがあるからだ。
憎しみ、愛、それのどちらかか、それとも両方か、それは俺には分からない。
けどな、今愛してないなら
「元気にしてたか」
「愛人ばかり作ったクズだった」
「クズと別れて良かった」
思いがないとな、元気にしてるか、懐かしい、そんな相手もいたな、
相手を思う気持ちに疚しい気持ちがないからこそ今元気なら良かったと思える。
だから俺は最後まで渡すか渡さないか迷いお前に黄色の花を渡した。
お前がいつも眺め撫でていた花は黄色の花だったしな。
フッ、お前の心が誰にも向かないはずだな。
俺はガネットが辺境に来てからずっと側で見てきた。
唯一お前の心が動いたのは元旦那の話と元旦那からのこの黄色の花だけだったな………
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