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ガネット・フォルンは愛されたい
ハルク 1
しおりを挟む俺は男爵家の三男、爵位を継ぐ事も出来ない。
だから俺は幼い頃から騎士を目指した。
男爵家の領地は辺境近くにあり、騎士になるなら辺境で、と、学院を卒業して辺境の騎士になった。
男爵家の三男に婚約者なんかいない。いずれ平民になる俺の婚約者になりたい令嬢はいない。
学院では剣の稽古に明け暮れた。
そんな俺に、
辺境で働きはじめて数ヶ月、初めて恋人が出来た。
街に住む女の子。
俺は初めての恋人を大事に大切にした。
いずれ平民になる、と言っても男爵家で産まれ育ち、貴族として学院へ通う。
貴族の令息として恋人には誠実であろうとした。
だから俺は恋人には優しくした。
結果、
「ハルクは優しいだけね」
と、振られた。
22歳の時、俺は2歳年上の女性と出会った。彼女は両親を相次いで亡くし、一人で頑張る姿に俺は助けたい、護りたい、力になりたい、そう思った。
俺は彼女に会う為に足繁く街の食堂に通いようやく彼女と付き合えた。
辺境の騎士として彼女一人養うだけの給金は貰える。俺は彼女の家族になりたいと思うようになった。
時間を見つけてはデートを重ね、俺の色の贈り物もした。
付き合って1年、俺は揃いの指輪を購入した。
初めて手を繋いだ相手
初めて口付けした相手
初めて体を繋げた相手
俺は彼女にプロポーズする。
ちょうどその頃、国境で隣国と小競り合いになり俺も国境へ行く事になった。
必ず生きて帰ってくる
必ずお前の元に帰ってくる
だから
俺の帰りを待っててほしい
帰って来たら大事な話がある
そう伝えて俺は国境へ向かった。
隣国との戦い、
同僚の死、
後輩の死、
明日は俺か、
明日は友か、
戦い中は戦いに集中しているからいい。
だけど夜になると、ふと思いだす。
同僚の最期の言葉、
愛する恋人へ贈る最期の愛の言葉、
後輩の最期の言葉、
両親へ贈る最期のお礼の言葉、
そして、
「死にたくない…」
「生きたい…」
「幸せにしたかった…」
「幸せになってくれ…」
「俺を忘れないで…」
「ごめん…」
この世への心残りの涙、
この世への未練の言葉、
俺は彼女の元に生きて帰り結婚する事だけを思い、眠れない夜を過ごした。
半年後ようやく小競り合いがおさまり辺境の街へ帰って来た俺は揃いの指輪を持って彼女の家に向かった。
そこで目にしたのは、
彼女が男性とベッドの上で眠っている光景だった。
目を覚ました彼女と目が合い、
俺はその場を去った…。
そして俺は彼女と別れた。
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